預金保険法


公布:昭和46年4月1日法律第34号
施行:昭和46年4月1日
改正:昭和56年6月1日法律第61号
施行:昭和57年4月1日
改正:昭和61年5月27日法律第72号
施行:昭和61年7月1日
改正:平成2年6月29日法律第65号
施行:平成3年4月1日
改正:平成4年6月26日法律第87号
施行:平成5年4月1日
改正:平成8年6月21日法律第94号
施行:平成9年4月1日
改正:平成8年6月21日法律第96号
施行:平成8年6月21日(附則第1条ただし書:平成9年4月1日)
改正:平成9年6月6日法律第72号
施行:平成9年10月1日
改正:平成9年6月18日法律第89号
施行:平成10年4月1日
改正:平成9年6月20日法律第102号
施行:平成10年6月22日
改正:平成9年12月12日法律第120号
施行:平成10年3月11日
改正:平成9年12月19日法律第128号
施行:平成9年12月19日
改正:平成10年2月18日法律第4号
施行:平成10年2月18日
改正:平成10年3月31日法律第23号
施行:平成10年4月1日
改正:平成10年6月15日法律第107号
施行:平成10年12月1日
改正:平成10年10月16日法律第133号
施行:平成10年10月23日(附則第1条ただし書:平成11年4月1日)
改正:平成11年7月16日法律第87号
施行:平成12年4月1日
改正:平成11年8月13日法律第125号
施行:平成11年10月1日
改正:平成11年12月22日法律第160号
施行:平成13年1月6日
改正:平成12年5月31日法律第91号
施行:平成13年4月1日
改正:平成12年5月31日法律第93号
施行:平成13年4月1日(附則第1条第2号:平成12年6月30日)
改正:平成12年5月31日法律第97号
施行:平成13年4月1日
改正:平成13年3月30日法律第7号
施行:平成13年4月1日
改正:平成13年6月27日法律第75号
施行:平成14年4月1日
改正:平成13年6月29日法律第80号
施行:平成13年10月1日
改正:平成13年6月29日法律第88号
施行:平成13年10月1日
改正:平成13年11月9日法律第117号
施行:平成14年4月1日
改正:平成13年11月28日法律第129号
施行:平成14年4月1日
改正:平成14年5月29日法律第45号
施行:平成15年4月1日
改正:平成14年7月3日法律第79号
施行:平成14年8月1日
改正:平成14年12月13日法律第155号
施行:平成15年4月1日
改正:平成14年12月18日法律第175号
施行:平成15年4月1日
改正:平成16年6月2日法律第76号
施行:平成17年1月1日
改正:平成16年6月18日法律第129号
施行:平成16年8月1日
改正:平成16年6月18日法律第124号
施行:平成17年3月7日
改正:平成16年12月1日法律第147号
施行:平成17年4月1日
改正:平成16年12月3日法律第154号
施行:平成16年12月30日
改正:平成17年7月26日法律第第87号
施行:平成18年5月1日
改正:平成17年11月2日法律第106号
施行:平成18年4月1日
改正:平成18年6月2日法律第50号
施行:平成20年12月1日
改正:平成18年6月15日法律第75号
施行:平成19年4月1日
改正:平成18年12月15日法律第109号
施行:平成19年9月30日
改正:平成19年6月1日法律第74号
施行:平成20年10月1日
改正:平成20年6月13日法律第65号
施行:平成20年12月12日
改正:平成23年5月20日法律第45号
施行:平成23年10月29日(附則第1条ただし書:平成24年5月19日)

目次

 第一章 総則(第一条・第二条)
 第二章 預金保険機構
  第一節 総則(第三条−第八条)
  第二節 設立(第九条−第十三条)
  第三節 運営委員会(第十四条−第二十三条)
  第四節 役員等(第二十四条−第三十三条)
  第五節 業務(第三十四条−第三十七条)
  第六節 財務及び会計(第三十八条−第四十四条)
  第七節 監督(第四十五条・第四十六条)
  第八節 補則(第四十七条・第四十八条)
 第三章 預金保険
  第一節 保険関係(第四十九条)
  第二節 保険料の納付(第五十条−第五十二条)
  第三節 保険金等の支払(第五十三条−第五十八条の三)
  第四節 資金援助(第五十九条−第六十九条)
 第三章の二 資金決済に関する債権者の保護(第六十九条の二−第六十九条の四)
 第四章 預金等債権の買取り(第七十条−第七十三条)
 第五章 金融整理管財人による管理(第七十四条−第九十条)
 第六章 破綻した金融機関の業務承継(第九十一条−第百一条)
 第六章の二 金融機関の特定回収困難債権の買取り(第百一条の二)
 第七章 金融危機への対応(第百二条−第百二十六条)
 第八章 雑則(第百二十七条−第百四十条)
 第九章 罰則(第百四十一条−第百五十三条)
 附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、預金者等の保護及び破綻金融機関に係る資金決済の確保を図るため、金融機関が預金等の払戻しを停止した場合に必要な保険金等の支払と預金等債権の買取りを行うほか、破綻金融機関に係る合併等に対する適切な資金援助、金融整理管財人による管理及び破綻金融機関の業務承継その他の金融機関の破綻の処理に関する措置、特定回収困難債権の買取りの措置並びに金融危機への対応の措置等の制度を確立し、もつて信用秩序の維持に資することを目的とする。

(金融機関の自主性の尊重)
第一条の二 この法律の運用に当たつては、金融機関の自主性を尊重するよう配慮しなければならない。

(定義)
第二条 この法律において「金融機関」とは、次に掲げる者(この法律の施行地外に本店を有するものを除く。)をいう。
 一 銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行(以下「銀行」という。)
 二 長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行(以下「長期信用銀行」という。)
 三 信用金庫
 四 信用協同組合
 五 労働金庫
 六 信用金庫連合会
 七 中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会(以下「信用協同組合連合会」という。)
 八 労働金庫連合会
 九 株式会社商工組合中央金庫
2 この法律において「預金等」とは、次に掲げるものをいう。
 一 預金
 二 定期積金
 三 銀行法第二条第四項に規定する掛金
 四 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第六条の規定により元本の補てんの契約をした金銭信託(貸付信託を含む。)に係る信託契約により受け入れた金銭
 五 長期信用銀行法第八条の規定による長期信用銀行債及び金融機関の合併及び転換に関する法律(昭和四十三年法律第八十六号)第八条第一項(同法第五十五条第四項において準用する場合を含む。)の規定による特定社債(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第八十七号)第百九十九条の規定による改正前の金融機関の合併及び転換に関する法律第十七条の二第一項(同法第二十四条第一項第七号において準用する場合を含む。)の規定により発行される債券を含む。)、信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十四条の二の四第一項の規定による全国連合会債並びに株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)第三十三条の規定による商工債(同法附則第三十七条の規定により同法第三十三条の規定により発行された商工債とみなされたものを含む。)(その権利者を確知することができるものとして政令で定めるものに限る。第五十八条の二第一項及び第七十三条第一項において「長期信用銀行債等」という。)の発行により払込みを受けた金銭
3 この法律において「預金者等」とは、預金者その他の預金等に係る債権者をいう。
4 この法律において「破綻金融機関」とは、業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻し(預金等に係る債務の弁済をいう。以下同じ。)を停止するおそれのある金融機関又は預金等の払戻しを停止した金融機関をいう。
5 この法律において「銀行持株会社等」とは、次に掲げる者をいう。
 一 銀行法第二条第十三項に規定する銀行持株会社
 二 破綻金融機関に該当する銀行の株式を取得することにより銀行を子会社とする持株会社(銀行法第五十二条の十七第一項に規定する銀行を子会社とする持株会社をいう。第六十一条第七項において同じ。)となることについて同法第五十二条の十七第一項の認可を受けた会社
 三 長期信用銀行法第十六条の四第一項に規定する長期信用銀行持株会社
 四 破綻金融機関に該当する長期信用銀行の株式を取得することにより長期信用銀行を子会社とする持株会社(長期信用銀行法第十六条の二の四第一項に規定する長期信用銀行を子会社とする持株会社をいう。第六十一条第七項において同じ。)となることについて同法第十六条の二の四第一項の認可を受けた会社
 五 前各号に掲げる会社以外の会社(銀行及び長期信用銀行を除く。)で銀行又は長期信用銀行(以下「銀行等」という。)を子会社(会社がその総株主の議決権株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主の有する株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下この号及び第十三項において同じ。)の百分の五十を超える議決権を保有する他の会社をいう。以下この号において同じ。)とするもの又は子会社としようとするもの
6 この法律において「優先株式等」とは、優先株式(その発行の時において議決権を行使することができる事項のない株式であつて、剰余金の配当及び残余財産の分配について優先的内容を有するものをいう。以下同じ。)、劣後特約付社債(元利金の支払について劣後的内容を有する特約が付された社債であつて、銀行等若しくは銀行持株会社等又は株式会社商工組合中央金庫の自己資本の充実に資するものとして政令で定める社債に該当するものをいう。以下同じ。)又は優先出資(協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号。第百七条の四第一項において「優先出資法」という。)に規定する優先出資をいう。以下同じ。)をいう。
7 この法律において「株式等」とは、優先株式以外の株式及び優先株式等をいう。
8 この法律において「優先株式等の引受け等」とは、優先株式等の引受け又は劣後特約付金銭消費貸借(元利金の支払について劣後的内容を有する特約が付された金銭の消費貸借であつて、金融機関又は銀行持株会社等の自己資本の充実に資するものとして政令で定める金銭の消費貸借に該当するものをいう。)による貸付けをいう。
9 この法律において「株式等の引受け等」とは、優先株式以外の株式の引受け又は優先株式等の引受け等をいう。
10 この法律において「損害担保」とは、貸付けに係る債務の全部又は一部の弁済がなされないこととなつた場合において、あらかじめ締結する契約に基づきその債権者に対してその弁済がなされないこととなつた額の一部を補てんすることをいう。
11 この法律において「付保預金移転」とは、破綻金融機関の預金等に係る債務の他の金融機関による引受けであつて、当該債務に第五十四条第一項から第三項まで(同項の規定を第五十四条の二第二項において準用する場合を含む。)及び第五十四条の二第一項の規定(以下「保険金計算規定」という。)により計算した保険金の額に対応する預金等に係る債務を含むもの(事業の譲渡又は譲受け(以下「事業譲渡等」という。)に伴うものを除く。)をいう。
12 この法律において「被管理金融機関」とは、第七十四条第一項若しくは第二項又は第百十条第一項の規定により、第七十四条第一項に規定する管理を命ずる処分を受けた金融機関をいう。
13 この法律において「承継銀行」とは、事業の譲受け、付保預金移転又は合併(以下「事業の譲受け等」という。)により被管理金融機関の業務を引き継ぎ、かつ、当該引き継いだ業務を暫定的に維持継続することを主たる目的とする銀行であつて、預金保険機構の子会社(預金保険機構がその総株主の議決権の百分の五十を超える議決権を保有する会社をいう。以下同じ。)として設立されたものをいう。

第二章 預金保険機構

第一節 総則

(法人格)
第三条 預金保険機構(以下「機構」という。)は、法人とする。

(数)
第四条 機構は、一を限り、設立されるものとする。

(資本金)
第五条 機構の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。
2 機構は、必要があるときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。

(名称)
第六条 機構は、その名称中に預金保険機構という文字を用いなければならない。
2 機構でない者は、その名称中に預金保険機構という文字を用いてはならない。

(登記)
第七条 機構は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の準用)
第八条 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条及び第七十八条の規定は、機構について準用する。

第二節 設立

(発起人)
第九条 機構を設立するには、金融に関して専門的な知識と経験を有する者七人以上が発起人となることを必要とする。

(定款の作成等)
第十条 発起人は、すみやかに、機構の定款を作成し、政府以外の者に対し機構に対する出資を募集しなければならない。
2 前項の定款には、次の事項を記載しなければならない。
 一 目的
 二 名称
 三 事務所の所在地
 四 資本金及び出資に関する事項
 五 運営委員会に関する事項
 六 役員に関する事項
 七 業務及びその執行に関する事項
 八 財務及び会計に関する事項
 九 定款の変更に関する事項
 十 公告の方法

(設立の認可)
第十一条 発起人は、前条第一項の募集が終わつたときは、すみやかに、定款を内閣総理大臣及び財務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。

(事務の引継ぎ)
第十二条 発起人は、前条の認可を受けたときは、遅滞なく、その事務を機構の理事長となるべき者に引き継がなければならない。
2 機構の理事長となるべき者は、前項の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政府及び出資の募集に応じた政府以外の者に対し、出資金の払込みを求めなければならない。

(設立の登記)
第十三条 機構の理事長となるべき者は、前条第二項の規定による出資金の払込みがあつたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
2 機構は、設立の登記をすることにより成立する。

第三節 運営委員会

(設置)
第十四条 機構に、運営委員会(以下「委員会」という。)を置く。

(権限)
第十五条 この法律(第一章、第二章、第五章及び第九章を除く。)で別に定めるもののほか、次に掲げる事項は、委員会の議決を経なければならない。
 一 定款の変更
 二 業務方法書の作成及び変更
 三 予算及び資金計画
 四 決算
 五 その他委員会が特に必要と認める事項

(組織)
第十六条 委員会は、委員八人以内並びに機構の理事長及び理事をもつて組織する。
2 委員会に委員長一人を置き、機構の理事長をもつて充てる。
3 委員長は、委員会の会務を総理する。
4 委員会は、あらかじめ、委員及び機構の理事のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代理する者を定めておかなければならない。

(委員の任命)
第十七条 委員は、金融に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから、機構の理事長が内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて任命する。

(委員の任期)
第十八条 委員の任期は、一年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。

(委員の解任)
第十九条 機構の理事長は、委員が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、その委員を解任することができる。

 一 破産手続開始の決定を受けたとき。
 二 禁錮以上の刑に処せられたとき。
 三 心身の故障のため職務を執行することができないと認められるとき。
 四 職務上の義務違反があるとき。

(委員の報酬)
第二十条 委員は、報酬を受けない。ただし、旅費その他職務の遂行に伴う実費を受けるものとする。

(議決の方法)
第二十一条 委員会は、委員長又は第十六条第四項に規定する委員長の職務を代理する者のほか、委員及び機構の理事のうち六人以上が出席しなければ、会議を開き、議決をすることができない。
2 委員会の議事は、出席した委員長、委員及び機構の理事の過半数をもつて決する。可否同数のときは、委員長が決する。
3 内閣総理大臣及び財務大臣がそれぞれ指名するその職員は、第一項の会議に出席し、意見を述べることができる。
4 日本銀行政策委員会が指名する日本銀行の理事は、第一項の会議に出席し、意見を述べることができる。

(委員の秘密保持義務)
第二十二条 委員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。委員がその職を退いた後も、同様とする。

(委員の公務員たる性質)
第二十三条 委員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

第四節 役員等

(役員)
第二十四条 機構に、役員として理事長一人、理事四人以内及び監事一人を置く。

(役員の職務及び権限)
第二十五条 理事長は、機構を代表し、その業務を総理する。
2 理事は、理事長の定めるところにより、機構を代表し、理事長を補佐して機構の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
3 監事は、機構の業務を監査する。
4 監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は内閣総理大臣及び財務大臣に意見を提出することができる。

(役員の任命)
第二十六条 役員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
2 役員の任期が満了し、又は欠員が生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、役員を任命することができる。
3 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその役員を解任しなければならない。

(役員の任期)
第二十七条 役員の任期は、二年とする。
2 役員は、再任されることができる。
3 役員の任期が満了したときは、当該役員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。

(役員の欠格条項)
第二十八条 政府又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)は、役員となることができない。

(役員の解任)
第二十九条 内閣総理大臣は、役員が前条の規定に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
2 内閣総理大臣は、役員が第十九条各号の一に該当するに至つたとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

(役員の兼職禁止)
第三十条 役員(監事を除く。)は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。ただし、内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

(代表権の制限)
第三十一条 機構と理事長又は理事との利益が相反する事項については、これらの者は、代表権を有しない。この場合には、監事が機構を代表する。

(代理人の選任)
第三十一条の二 理事長は、機構の職員のうちから、機構の業務の一部に関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する代理人を選任することができる。

(職員の任命)
第三十二条 機構の職員は、理事長が任命する。

(役員等の秘密保持義務等)
第三十三条 第二十二条及び第二十三条の規定は、役員及び職員について準用する。

第五節 業務

(業務の範囲)
第三十四条 機構は、第一条の目的を達成するため、次の業務を行う。
 一 次章第二節の規定による保険料の収納
 二 次章第三節の規定による保険金及び仮払金の支払
 三 次章第四節の規定による資金援助その他同節の規定による業務
 四 第六十九条の三の規定による資金の貸付け
 五 第四章の規定による預金等債権の買取り
 六 第七十八条第二項の規定による金融整理管財人又は金融整理管財人代理の業務
 七 第六章の規定による承継銀行の経営管理その他同章の規定による業務
 八 第六章の二の規定による金融機関の特定回収困難債権の買取りその他同章の規定による業務
 九 第七章の規定による株式等の引受け等その他同章の規定による業務
 十 第百二十七条又は第百二十八条において準用する第六十九条の三の規定による資金の貸付け及び第百二十九条の規定による資産の買取り
 十一 金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)第四章第四節、第五章第二節及び第六章第二節の規定による預金者表の提出その他これらの規定による業務
 十二 前各号に掲げる業務に附帯する業務

(業務の委託)
第三十五条 機構は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、日本銀行、金融機関又は金融機関代理業者(銀行法第二条第十五項に規定する銀行代理業者、長期信用銀行法第十六条の五第三項に規定する長期信用銀行代理業者、信用金庫法第八十五条の二第三項に規定する信用金庫代理業者、協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)第六条の三第三項に規定する信用協同組合代理業者、労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第八十九条の三第三項に規定する労働金庫代理業者及び株式会社商工組合中央金庫法第二条第四項に規定する代理又は媒介に係る契約の相手方をいう。以下同じ。)に対し、その業務の一部を委託することができる。
2 日本銀行、金融機関及び金融機関代理業者は、他の法律の規定にかかわらず、前項の規定による委託を受け、当該業務を行うことができる。
3 第二十三条の規定は、第一項の規定による委託を受けた金融機関又は金融機関代理業者の役員又は職員で、当該業務に従事するものについて準用する。

(業務方法書)
第三十六条 機構は、業務開始の際、業務方法書を作成し、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2 前項の業務方法書には、保険料に関する事項その他内閣府令・財務省令で定める事項を記載しなければならない。

(資料の提出の請求等)
第三十七条 機構は、その業務を行うため必要があるときは、金融機関(当該金融機関を所属金融機関(銀行法第二条第十六項に規定する所属銀行、長期信用銀行法第十六条の五第三項に規定する所属長期信用銀行、信用金庫法第八十五条の二第三項に規定する所属信用金庫、協同組合による金融事業に関する法律第六条の三第三項に規定する所属信用協同組合及び労働金庫法第八十九条の三第三項に規定する所属労働金庫をいう。以下同じ。)とする金融機関代理業者及び株式会社商工組合中央金庫法第二条第四項に規定する代理又は媒介に係る契約の相手方を含む。次項において同じ。)又は銀行持株会社等(第三十四条第三号、第七号又は第九号に掲げる業務に係る銀行持株会社等に限る。)に対し、資料の提出を求めることができる。
2 前項の規定により資料の提出を求められた金融機関又は銀行持株会社等は、遅滞なく、これを提出しなければならない。
3 機構は、破綻金融機関の取締役、会計参与、監査役及び会計監査人(破綻金融機関が委員会設置会社である場合にあつては取締役、執行役、会計参与及び会計監査人、破綻金融機関が信用金庫若しくは信用金庫連合会、信用協同組合若しくは信用協同組合連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会(以下「信用金庫等」という。)である場合にあつては理事、監事及び会計監査人)並びに支配人(破綻金融機関が信用協同組合若しくは信用協同組合連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会である場合にあつては、参事)その他の使用人並びに破綻金融機関を所属金融機関とする金融機関代理業者(金融機関代理業者が法人である場合にあつては、役員及び使用人)並びにこれらの者であつた者に対し、破綻金融機関の業務及び財産の状況(これらの者であつた者については、その者が当該破綻金融機関の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は破綻金融機関及び破綻金融機関を所属金融機関とする金融機関代理業者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
4 国、都道府県又は日本銀行は、機構がその業務を行うため特に必要があると認めて要請をしたときは、機構に対し、資料を交付し、又はこれを閲覧させることができる。

第六節 財務及び会計

(事業年度)
第三十八条 機構の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

(予算等の認可)
第三十九条 機構は、毎事業年度、予算及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

(財務諸表等)
第四十条 機構は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下この条において「財務諸表」という。)を作成し、当額事業年度の終了後三月以内に内閣総理大臣及び財務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
2 機構は、前項の規定により財務諸表を内閣総理大臣及び財務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
3 機構は、第一項の規定による内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見書を、各事務所に備えて置き、内閣府令・財務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

(区分経理)
第四十条の二 機構は、次に掲げる業務ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理しなければならない。
 一 第三十四条各号に掲げる業務(次号に掲げるものを除く。)
 二 第百七条第一項の規定による株式等の引受け等に係る業務、第百二十二条第一項の規定による負担金の収納及びこれらの業務に附帯する業務

(責任準備金の積立て)
第四十一条 機構は、一般勘定(前条第一号に掲げる業務に係る勘定をいう。以下同じ。)について、内閣府令・財務省令で定めるところにより、毎事業年度末において、責任準備金を計算し、これを積み立てなければならない。

(借入金及び預金保険機構債)
第四十二条 機構は、第四十条の二第一号に掲げる業務を行うため必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、金融機関その他の者(日本銀行を除く。)から資金の借入れ(借換えを含む。)をし、又は預金保険機構債(以下「機構債」という。)の発行(機構債の借換えのための発行を含む。)をすることができる。この場合において、機構は、機構債の債券を発行することができる。
2 機構は、前項に規定する業務を行う場合における一時的な資金繰りのために必要があると認めるときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、日本銀行から資金の借入れ(借換えを含む。)をすることができる。
3 第一項の規定による借入金の現在額、同項の規定により発行する機構債の元本に係る債務の現在額及び前項の規定による借入金の現在額の合計額は、政令で定める金額を超えることとなつてはならない。
4 日本銀行は、日本銀行法(平成九年法律第八十九号)第四十三条第一項の規定にかかわらず、機構に対し、第二項の資金の貸付けをすることができる。
5 第一の規定による機構債の債権者は、機構の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
6 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
7 機構は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、機構債の発行に関する事務の全部又は一部を銀行等又は信託会社に委託することができる。
8 会社法第七百五条及び第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行等又は信託会社について準用する。
9 第一項及び第五項から前項までに定めるもののほか、機構債に関し必要な事項は、政令で定める。

(政府保証)
第四十二条の二 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の前条第一項若しくは第二項の借入れ又は同条第一項の機構債に係る債務の保証をすることができる。

(余裕金の運用)
第四十三条 機構は、次の方法によるほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
 一 国債その他内閣総理大臣及び財務大臣の指定する有価証券の保有
 二 内閣総理大臣及び財務大臣の指定する金融機関への預金
 三 その他内閣府令・財務省令で定める方法

(内閣府令・財務省令への委任)
第四十四条 この法律に規定するもののほか、機構の財務及び会計に関し必要な事項は、内閣府令・財務省令で定める。

第七節 監督

(監督)
第四十五条 機構は、内閣総理大臣及び財務大臣が監督する。
2 内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関して監督上必要な命令をすることができる。

(報告及び検査)
第四十六条 内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対しその業務に関し報告をさせ、又はその職員に機構の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
2 前項の規定により職員が立入検査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第八節 補則

(定款の変更)
第四十七条 定款の変更は、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。

(解散)
第四十八条 機構は、解散した場合において、その債務を弁済してなお残余財産があるときは、これを各出資者に対し、その出資額を限度として分配するものとする。
2 前項に規定するもののほか、機構の解散については、別に法律で定める。

第三章 預金保険

第一節 保険関係

(保険関係)
第四十九条 金融機関がその業務を営み又は事業を行うときは、当該金融機関が預金等に係る債務を負うことにより、各預金者等ごとに一定の金額の範囲内において、当額預金等の払戻しにつき、機構と当該金融機関及び預金者等との間に保険関係が成立するものとする。
2 前項の保険関係においては、預金等に係る債権の額を保険金額とし、次に掲げるものを保険事故とする。
 一 金融機関預金等の払戻しの停止(以下「第一種保険事故」という。)
 二 金融機関の営業免許の取消し(信用金庫若しくは信用金庫連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会にあつては、事業免許の取消しとし、信用協同組合又は信用協同組合連合会にあつては解散の命令。第五十五条第二項第一号において同じ。)、破産手続開始の決定又は解散の決議(以下「第二種保険事故」という。)

第二節 保険料の納付

(保険料の納付)
第五十条 金融機関は、事業年度ごとに、当該事業年度の開始後三月以内に、機構に対し、内閣府令・財務省令で定める書類を提出して、保険料を納付しなければならない。ただし、当該保険料の額の二分の一に相当する金額については、当該事業年度開始の日以後六月を経過した日から三月以内に納付することができる。
2 機構は、次の各号に掲げる場合には、前項の規定にかかわらず、定款で定めるところにより、当該各号に定める金融機関の保険料を免除することができる。
 一 保険事故が発生したとき。 当該保険事故に係る金融機関
 二 第六十五条に規定する適格性の認定等が行われたとき。 当該適格性の認定等に係る破綻金融機関
 三 第七十四条第一項に規定する管理を命ずる処分があつたとき。 当該管理を命ずる処分に係る被管理金融機関
 四 承継銀行が設立されたとき。 当該承継銀行
 五 第百十一条第一項の規定による決定があつたとき。 当該決定に係る銀行等

(一般預金等に係る保険料の額)
第五十一条 預金等(決済用預金(次条第一項に規定する決済用預金をいう。次項において同じ。)以外の預金等に限るものとし、外貨預金その他政令で定める預金等を除く。以下「一般預金等」という。)に係る保険料の額は、各金融機関につき、当該保険料を納付すべき日を含む事業年度の直前の事業年度の各日(銀行法第十五条第一項(長期信用銀行法第十七条、信用金庫法第八十九条第一項、協同組合による金融事業に関する法律第六条第一項及び労働金庫法第九十四条第一項において準用する場合を含む。)又は株式会社商工組合中央金庫法第三十一条第一項に規定する休日を除く。次条第一項において同じ。)における一般預金等の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む事業年度の月数を乗じて計算した金額に、機構が委員会の議決を経て定める率(以下この条において「保険料率」という。)を乗じて計算した金額とする。
2 保険料率は、保険金の支払、資金援助その他の機構の業務(第四十条の二第二号に掲げる業務を除く。)に要する費用(決済用預金に係るものを除く。)の予想額に照らし、長期的に機構の財政が均衡するように、かつ、特定の金融機関に対し差別的取扱い(金融機関の経営の健全性に応じてするものを除く。)をしないように定められなければならない。
3 機構は、第四十二条第一項若しくは第二項の資金の借入れ又は同条第一項の機構債の発行をした場合において、その借入金を返済し、又はその機構債を償還することが困難であると認められるときは、委員会の議決を経て、保険料率を変更するものとする。
4 機構は、保険料率を定め、又はこれらを変更しようとするときは、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。
5 機構は、前項の認可を受けたときは、遅滞なく、その認可に係る保険料率を公告しなければならない。

(決済用預金に係る保険料の額)
第五十一条の二 次に掲げる要件のすべてに該当する預金(外貨預金その他政令で定める預金を除く。以下「決済用預金」という。)に係る保険料の額は、各金融機関につき、当該保険料を納付すべき日を含む事業年度の直前の事業年度の各日における決済用預金の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む事業年度の月数を乗じて計算した金額に、機構が委員会の議決を経て定める率を乗じて計算した金額とする。
 一 その契約又は取引慣行に基づき第六十九条の二第一項に規定する政令で定める取引に用いることができるものであること。
 二 その預金者がその払戻しをいつでも請求することができるものであること。
 三 利息が付されていないものであること。
2 前条第二項から第五項までの規定は、前項に規定する率について準用する。この場合において、同条第二項中「係るものを除く。」とあるのは、「係るものに限る。」と読み替えるものとする。

(延滞金)
第五十二条 金融機関は、保険料をその納期限までに納付しない場合には、機構に対し、延滞金を納付しなければならない。
2 延滞金の額は、未納の保険料の額に納期限の翌日からその納付の日までの日数に応じ年十四・五パーセントの割合を乗じて計算した金額とする。

第三節 保険金等の支払

(保険金等の支払)
第五十三条 機構は、保険事故が発生したときは、当該保険事故に係る預金者等に対し、その請求に基づいて、保険金の支払をするものとする。ただし、第一種保険事故については、機構が第五十六条第一項の規定により保険金の支払をする旨の決定をすることを要件とする。
2 前項に規定する保険事故には、当該保険事故が発生した金融機関につき、その発生した後(同項ただし書の規定が適用される場合には、機構が同項ただし書の決定をした後)に当該保険事故に関連して他の保険事故が発生した場合における当該他の保険事故(第五十七条第一項第二号において「関連保険事故」という。)を含まないものとする。
3 保険金の支払は、機構が、保険事故に係る各預金者等ごとに当該保険事故に係る保険金に相当する金額を金融機関に預金として預入し、当該預金に係る債権を当該保険事故に係る預金者等に対して譲渡する方法により行うことができる。
4 機構は、保険事故が発生したときは、当該保険事故に係る預金者等に対し、その請求に基づいて、政令で定める金額の範囲内で政令で定めるところにより、仮払金の支払をすることができる。
5 第一項又は前項の請求は、第五十七条第一項、第二項又は第四項の規定により公告した支払期間内でなければ、することができない。ただし、その支払期間内に請求しなかつたことにつき災害その他やむを得ない事情があると機構が認めるときは、この限りでない。

(一般預金等に係る保険金の額等)
第五十四条 一般預金等(他人の名義をもつて有するものその他の政令で定める一般預金等を除く。以下「支払対象一般預金等」という。)に係る保険金の額は、一の保険事故が発生した金融機関の各預金者等につき、その発生した日において現にその者が当該金融機関に対して有する支払対象一般預金等に係る債権(その者が前条第一項の請求をした時において現に有するものに限るものとし、同条第四項の仮払金(支払対象一般預金等に係るものに限る。以下この条において同じ。)の支払又は第百二十七条において準用する第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象一般預金等の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。次項において同じ。)のうち元本の額(支払対象一般預金等のうち第二条第二項第五号に掲げるものにあつては、当該金銭の額。以下同じ。)及び利息等(当該元本以外の部分であつて利息その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)の額の合算額(その合算額が同一人について二以上ある場合には、その合計額)に相当する金額とする。
2 支払対象一般預金等に係る保険金の額は、前項の元本の額(その額が同一人について二以上あるときは、その合計額)が政令で定める金額(以下「保険基準額」という。)を超えるときは、保険基準額及び保険基準額に対応する元本に係る利息等の額を合算した額とする。この場合において、元本の額が同一人について二以上あるときは、保険基準額に対応する元本は、次の各号に定めるところにより保険基準額に達するまで当該各号に規定する元本の額を合計した場合の当該元本とする。
 一 支払対象一般預金等に係る債権のうちに担保権の目的となつているものと担保権の目的となつていないものがあるときは、担保権の目的となつていないものに係る元本を先とする。
 二 支払対象一般預金等に係る債権で担保権の目的となつていないものが同一人について二以上あるときは、その弁済期の早いものに係る元本を先とする。
 三 前号の場合において、支払対象一般預金等に係る債権で弁済期の同じものが同一人について二以上あるときは、その金利(利率その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう。次号において同じ。)の低いものに係る元本を先とする。
 四 前号の場合において、支払対象一般預金等に係る債権で金利の同じものが同一人について二以上あるときは、機構が指定するものに係る元本を先とする。
 五 支払対象一般預金等に係る債権で担保権の目的となつているものが同一人について二以上あるときは、機構が指定するものに係る元本を先とする。
3 保険事故に係る預金者等が当該保険事故について前条第四項の仮払金の支払を受けている場合又は第百二十七条において準用する第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象一般預金等の払戻しを受けている場合におけるその者の支払対象一般預金等に係る保険金の額は、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による金額につき政令で定めるところにより当該仮払金の支払及び第百二十七条において準用する第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象一般預金等の払戻しを受けた額(次項の規定により機構に払い戻されるべき額を除く。)を控除した金額に相当する金額とする。
4 保険事故に係る預金者等について支払われた前条第四項の仮払金の額が、第一項及び第二項の規定による保険金の額のうち政令で定めるところにより計算した額を超えるときは、その者は、その超える金額を機構に払い戻さなければならない。

(決済用預金に係る保険金の額)
第五十四条の二 決済用預金(他人の名義をもつて有するものその他の政令で定める決済用預金を除く。以下「支払対象決済用預金」という。)に係る保険金の額は、一の保険事故が発生した金融機関の各預金者につき、その発生した日において現にその者が当該金融機関に対して有する支払対象決済用預金に係る債権(その者が第五十三条第一項の請求をした時において現に有するものに限るものとし、同条第四項の仮払金(支払対象決済用預金に係るものに限る。次項において同じ。)の支払又は第六十九条の三第一項(第百二十七条において準用する場合を含む。次項において同じ。)の貸付けに係る支払対象決済用預金の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。)のうち元本の額(その額が同一人について二以上あるときは、その合計額)に相当する金額とする。
2 前条第三項の規定は、その有する支払対象決済用預金に関し保険事故に係る預金者が当該保険事故について第五十三条第四項の仮払金の支払を受けている場合又は第六十九条の三第一項の貸付けに係る支払対象決済用預金の払戻しを受けている場合について準用する。この場合において、前条第三項中「前二項の規定にかかわらず、これらの規定」とあるのは、「第五十四条の二第一項の規定にかかわらず、当該規定」と読み替えるものとする。

(確定拠出年金に係る預金等の特例)
第五十四条の三 一の保険事故が発生した金融機関の預金者等が確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)第二条第七項第一号ロに規定する資産管理機関(同法第八条第一項第一号に規定する信託の受託者に限る。)又は同法第二条第五項に規定する連合会若しくは同法第六十一条第一項第三号に規定する事務の受託者(信託会社(信託業務を営む金融機関を含む。)に限る。)(以下「資産管理機関等」という。)である場合におけるその者の保険金の額は、保険金計算規定にかかわらず、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額に第三号に掲げる金額を加えた金額とする。
 一 当該資産管理機関等の支払対象預金等(支払対象一般預金等又は支払対象決済用預金をいう。以下同じ。)に係る債権(当該支払対象預金等を有する預金者等が第五十三条第一項の請求をした時において現に有するものに限るものとし、同条第四項の仮払金の支払又は第六十九条の三第一項(第百二十七条において準用する場合を含む。)の貸付けに係る支払対象預金等の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。以下この条において同じ。)のうち確定拠出年金の積立金(確定拠出年金法第八条第一項に規定する積立金をいう。以下この条において同じ。)の運用に係るものについて、当該運用を指図した加入者等(同法第二条第七項第一号イに規定する加入者等をいう。以下この条において同じ。)のそれぞれにつき、当該保険事故が発生した日(以下この項において「保険事故日」という。)において現に当該資産管理機関等が当該金融機関に対して有する支払対象預金等に係る債権のうち当該加入者等の個人別管理資産額(同法第二条第十三項に規定する個人別管理資産額をいう。)に相当する金額の部分(次項において「個人別管理資産額相当支払対象預金等債権」という。)を当該加入者等の支払対象預金等に係る債権とみなして保険金計算規定を適用した場合に保険金の額とされる金額の合計額
 二 保険事故日において現に当該加入者等が当該金融機関に対して有する支払対象預金等に係る債権について保険金計算規定によりそれぞれ保険金の額とされる金額の合計額
 三 保険事故日において現に当該資産管理機関等が当該金融機関に対して有する支払対象預金等に係る債権のうち確定拠出年金の積立金の運用に係るもの以外のものについて保険金計算規定により保険金の額とされる金額
2 前項第一号の規定により第五十四条第二項の規定を適用する場合における保険基準額に対応する元本は、次の各号に定めるところにより、保険基準額に達するまで当該各号に規定する元本の額を合計した場合の元本とする。
 一 前項第一号の規定を適用する前の当該加入者等の支払対象預金等に係る債権と当該資産管理機関等の支払対象預金等に係る債権のうち当該加入者等の個人別管理資産額相当支払対象預金等債権があるときは、当該加入者等の支払対象預金等に係る債権の元本を先とする。
 二 当該資産管理機関等の支払対象預金等に係る債権のうち当該加入者等の個人別管理資産額相当支払対象預金等債権が二以上あるときは、機構が指定するものに係る元本を先とする。
3 第一項の場合において、第五十三条第一項の規定により資産管理機関等に保険金の支払が行われたときは、当該保険金のうち加入者等に係る第一項第一号に掲げる金額から同項第二号に掲げる金額を控除した額に相当する額は、当該加入者等の個人別管理資産(確定拠出年金法第二条第十二項に規定する個人別管理資産をいう。)に積み立てられたものとみなす。
4 第一項の場合における第二条第十一項の規定の適用については、同項中「及び第五十四条の二第一項」とあるのは、「、第五十四条の二第一項並びに第五十四条の三第一項及び第二項」とする。

(保険事故の通知)
第五十五条 金融機関は、当該金融機関に係る保険事故が発生したときは、直ちに、その旨を機構に通知しなければならない。
2 内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣又は経済産業大臣は、次に掲げる場合には、直ちに、その旨を機構に通知しなければならない。
 一 その監督に係る金融機関の営業免許の取消し又は解散の決議に係る認可をしたとき。
 二 その監督に係る金融機関の第一種保険事故の発生を知つたとき。
 三 第百三十七条の二第一項の規定による通知を受けたとき。
3 機構は、第一項の規定による通知を受けたとき又は前項の規定により厚生労働大臣又は経済産業大臣から通知を受けたときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
4 機構は、第二項の規定により内閣総理大臣から通知を受けたときは、直ちに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。
5 機構は、第二項の規定により財務大臣から通知を受けたときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。

(預金等に係る債権の額の把握)
第五十五条の二 機構は、保険事故が発生したことを知つたときは、速やかに、当該保険事故が発生した金融機関の各預金者等がその発生した日において現に当該金融機関に対して有する預金等に係る債権の額を把握しなければならない。
2 機構は、前項に規定する預金等に係る債権の額を速やかに把握するため必要があると認めるときは、金融機関に対し、その旨を明示して、預金者等の氏名又は名称及び住所、預金等に係る債権の内容その他内閣府令・財務省令で定める事項について資料の提出を求めることができる。
3 前項の規定により資料の提出を求められた金融機関は、内閣府令・財務省令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して又は磁気テープ(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)により、遅滞なく、これを提出しなければならない。
4 金融機関は、前項の規定による資料の提出に必要な預金等に関するデータベース(預金等に係る情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)及び電子情報処理組織の整備その他の措置を講じなければならない。

(支払の決定)
第五十六条 機構は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる日から一月以内に、委員会の議決を経て、当該各号の保険事故につき保険金の支払をするかどうかを決定しなければならない。

 一 第一種保険事故に関して第五十五条第一項又は第二項の規定による通知があつたとき。 その通知があつた日
 二 前号に掲げる場合のほか、第一種保険事故が発生したことを機構が知つたとき。 その知つた日
 三 第一種保険事故の発生した金融機関を一部の当事者とする合併、事業譲渡等、付保預金移転、株式交換又は株式移転に係る第六十六条第一項の決議若しくは議決又は同意が得られなかつた旨の同項の規定による通知があつたとき。 その通知があつた日
 四 前号に掲げる場合のほか、第一種保険事故の発生した金融機関を一部の当事者とする合併、事業譲渡等、付保預金移転、株式交換又は株式移転に係る第六十六条第一項の決議若しくは議決又は同意が得られなかつたことを機構が知つたとき。 その知つた日
2 内閣総理大臣及び財務大臣は、機構が、委員会の議決を経て、前項の期限の延長を申請した場合には、一月を超えない期間を限り、同項の期限を延長することができる。
3 機構は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる日から一週間以内に、委員会の議決を経て、当該各号の保険事故につき第五十三条第四項の仮払金の支払をするかどうかを決定しなければならない。
 一 保険事故に関して第五十五条第一項又は第二項の規定による通知があつたとき。 その通知があつた日
 二 前号に掲げる場合のほか、保険事故が発生したことを機構が知つたとき。 その知つた日
 三 第一種保険事故の発生した金融機関を一部の当事者とする合併、営業譲渡等、付保預金移転、株式交換又は株式移転に係る第六十六条第一項の決議又は議決が得られなかつた旨の同項の規定による通知があつたとき。 その通知があつた日
 四 前号に掲げる場合のほか、第一種保険事故の発生した金融機関を一部の当事者とする合併、営業譲渡等、付保預金移転、株式交換又は株式移転に係る第六十六条第一項の決議又は議決が得られなかつたことを機構が知つたとき。 その知つた日
4 機構は、第一項又は前項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣(当該決定が労働金庫又は労働金庫連合会に関するものである場合には内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫に関するものである場合には内閣総理大臣及び財務大臣並びに経済産業大臣とする。)に報告しなければならない。

(支払の公告等)
第五十七条 機構は、次に掲げる場合には、速やかに、委員会の議決を経て保険金の支払期間、支払場所、支払方法その他政令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。
 一 前条第一項の規定により第一種保険事故に係る保険金の支払をする旨の決定をしたとき。
 二 第二種保険事故(関連保険事故を除く。次号において同じ。)に関して第五十五条第一項又は第二項の規定による通知があつたとき。
 三 前号に掲げる場合のほか、第二種保険事故が発生したことを機構が知つたとき。
2 機構は、前条第三項の規定により第五十三条第四項の仮払金の支払をする旨の決定をしたときは、速やかに、委員会の議決を経て当該仮払金の支払期間、支払場所その他政令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。
3 機構は、前二項の公告をした後に当該金融機関について破産法(平成十六年法律第七十五号)第百九十七条第一項(同法第二百九条第三項において準用する場合を含む。)の規定による公告、第百三十七条の二第二項の規定による通知その他の政令で定める事由があつたときは、政令で定めるところにより、前二項の規定により公告した支払期間を変更することができる。
4 機構は、前項の規定により支払期間を変更したときは、遅滞なく、その変更に係る事項を公告しなければならない。
5 前条第四項の規定は、第一項又は第二項に規定する事項を定めた場合及び第三項の規定により支払期間を変更した場合について準用する。

(債権の取得等)
第五十八条 機構は、第五十三条第一項に規定する保険金の支払の請求があつたときは、当該請求に係る預金者等に対して保険金計算規定により支払われるべき保険金の額に応じ、政令で定めるところにより、当該預金者等が金融機関に対して有する支払対象預金等に係る債権を取得する。
2 機構は、前項の規定により取得した支払対象預金等に係る債権のうちに担保権の目的となつているものがあるときは、当該担保権に係る被担保債権が消滅するまでを限り、当該担保権の目的となつている支払対象預金等に係る債権(機構が取得した部分に限る。)の額に相当する金額を限度として、政令で定めるところにより、保険金の支払を保留することができる。
3 機構は、預金者等に対し第五十三条第四項の仮払金の支払をしたときは、その支払金額(第五十四条第四項の規定により機構に払い戻されるべき金額を除く。)に応じ、当該預金者等が金融機関に対して有する支払対象預金等に係る債権を取得する。

(課税関係)
第五十八条の二 預金者等がその有する支払対象預金等(第二条第二項第五号に掲げるもののうち割引の方法により発行される長期信用銀行債等に係るものを除く。)に係る債権(以下この項において「預金等債権」という。)について保険金の支払を受ける場合において、当該支払を受ける保険金の額に応じて機構が取得する預金等債権のうちに利息等があるときは、当該利息等の額に相当する金額は、当該預金等債権に係る支払対象預金等の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定めるものの額とみなして、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)その他の所得税に関する法令の規定を適用する。
 一 預金 当該預金の利子
 二 定期積金 当該定期積金に係る契約に基づく給付補てん金(所得税法第百七十四条第三号に掲げる給付補てん金をいう。)
 三 第二条第二項第三号に掲げる掛金 当該掛金に係る契約に基づく給付補てん金(所得税法第百七十四条第四号に掲げる給付補てん金をいう。)
 四 第二条第二項第四号に掲げる金銭 当該金銭に係る同号に規定する金銭信託の収益の分配
 五 第二条第二項第五号に掲げる金銭 長期信用銀行債等(割引の方法により発行されるものを除く。)の利子
2 前項の規定の適用がある場合における租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第四条の二及び第四条の三の規定の特例その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(決済用預金に係る保険金の支払等のための措置)
第五十八条の三 金融機関は、保険事故が発生した場合における支払対象決済用預金に係る保険金の支払又はその払戻しの円滑の確保を図るため、電子情報処理組織の整備その他の内閣府令で定める措置を講じなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項に規定する措置が講ぜられていないと認めるときは、金融機関に対し、その必要の限度において、期限を付して当該措置を講ずるよう命ずることができる。

第四節 資金援助

(資金援助の申込み)
第五十九条 合併等を行う金融機関で破綻金融機関でない者(以下「救済金融機関」という。)又は合併等を行う銀行持株会社等(以下「救済銀行持株会社等」という。)は、機構が、合併等を援助するため、次に掲げる措置(第六号に掲げる措置にあつては、第二条第五項第五号に掲げる会社に対して行うものを除く。以下「資金援助」という。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
 一 金銭の贈与
 二 資金の貸付け又は預入れ
 三 資産の買取り
 四 債務の保証
 五 債務の引受け
 六 優先株式等の引受け等
 七 損害担保
2 前項の「合併等」とは、次に掲げるものをいう。
 一 破綻金融機関と合併する金融機関が存続する合併
 二 破綻金融機関と他の金融機関が合併して金融機関を設立する合併
 三 事業譲渡等で破綻金融機関がその事業を他の金融機関に譲渡するもの(事業の一部を譲渡するものにあつては、破綻金融機関の預金等に係る債務の引受けであつて当該債務に保険金計算規定により計算した保険金の額に対応する預金等に係る債務を含むものが伴うものに限る。)
 三の二 付保預金移転
 四 破綻金融機関の株式の他の金融機関又は銀行持株会社等による取得で当該破綻金融機関の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な事項として内閣総理大臣及び財務大臣が定めるものを実施するために行うもの
3 第一項に規定する資金援助のうち前項第二号に掲げる合併を援助するために行うものは、救済金融機関又は当該合併により設立される金融機関に対して行うものとし、当該合併を行う金融機関のうちに二以上の救済金融機関がある場合には、第一項の規定による申込みは、当該二以上の救済金融機関の連名で行うものとする。
4 第一項第三号に掲げる資産の買取りは、合併等(第二項に規定する合併等をいう。以下同じ。)に係る破綻金融機関の資産又は次の各号に掲げる合併等の区分に応じ当該各号に定める資産について行うものとし、第一項の規定による申込みに係る資金援助のうちに合併等に係る破綻金融機関の資産の買取りが含まれているときは、当該合併等に係る救済金融機関又は救済銀行持株会社等は、当該破綻金融機関と連名で、機構が当該資産の買取りを行うことを機構に申し込むものとする。
 一 第二項第一号に掲げる合併当該合併により存続する金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)
 二 第二項第二号に掲げる合併当該合併により設立される金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)
 三 第二項第三号に掲げる事業譲渡等同号の他の金融機関の資産で当該事業譲渡等により譲り受けたもの
 四 第二項第四号に掲げる株式の取得当該株式の取得をされた金融機関の資産
5 第一項第七号に掲げる損害担保は、前項各号に掲げる合併等の区分に応じ当該各号に定める資産である貸付債権について行うものとする。
6 第一項又は第四項の規定による申込みを行つた金融機関及び銀行持株会社等は、速やかに、その旨を内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。)に報告しなければならない。
7 機構は、第一項又は第四項の規定による申込みを受けたときは、速やかに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。ただし、当該申込みを行つた金融機関が株式会社商工組合中央金庫である場合は、この限りでない。

(資金援助の申込みの特例)
第五十九条の二 合併等(前条第二項第三号に掲げる事業譲渡等のうち破綻金融機関がその事業の一部を他の金融機関に譲渡するもの又は付保預金移転に限る。)を行う救済金融機関は、機構が、破綻金融機関の債権者間の衡平を図るため、当該破綻金融機関に対して資金援助(同条第一項第一号に掲げるものに限る。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
2 前項の規定による申込みは、当該合併等に係る破綻金融機関と連名で行うものとする。
3 前条第六項の規定は前二項の規定による申込みを行つた救済金融機関及び破綻金融機関について、同条第七項の規定は前二項の規定による申込みを受けた機構について、それぞれ準用する。

第六十条 内閣総理大臣の指定する金融機関で合併等を援助するため当該合併等に係る金融機関(破綻金融機関を除く。)又は当該合併等に係る銀行持株会社等に対し資金の貸付けその他の政令で定める行為を行うものは、機構が資金援助(第五十九条第一項第二号又は第四号に掲げるものに限る。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
2 前項の規定による申込みを行つた金融機関は、速やかに、その旨を内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては、内閣総理大臣及び厚生労働大臣。)に報告しなければならない。
3 機構は、第一項の規定による申込みを受けたときは、速やかに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。

(適格性の認定)
第六十一条 第五十九条第一項、第五十九条の二第一項又は前条第一項の規定による申込みに係る合併等については、当該合併等に係る破綻金融機関及び救済金融機関又は破綻金融機関及び救済銀行持株会社等は、これらの規定による申込みが行われる時までに、当該合併等について、内閣総理大臣の認定を受けなければならない。
2 前項の認定の申請は、同項の破綻金融機関及び救済金融機関又は破綻金融機関及び救済銀行持株会社等の連名で行わなければならない。
3 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、第一項の認定を行うことができる。
 一 当該合併等が行われることが預金者等その他の債権者の保護に資すること。
 二 機構による資金援助が行われることが、当該合併等を行うために不可欠であること。
 三 当該合併等に係る破綻金融機関について、合併等が行われることなく、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該破綻金融機関が業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。
4 内閣総理大臣は、労働金庫又は労働金庫連合会に対し第一項の認定を行うときは厚生労働大臣の同意を、株式会社商工組合中央金庫に対し同項の認定を行うときは財務大臣及び経済産業大臣の同意を、それぞれ得なければならない。
5 内閣総理大臣は、第一項の認定を行うときは、当該認定に係る金融機関のうち、いずれが破綻金融機関であるかを明らかにしなければならない。
6 内閣総理大臣は、第一項の認定を行つたときは、その旨を機構に通知しなければならない。
7 機構は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。
8 破綻金融機関の株式を取得しようとする会社が、当該株式の取得により銀行を子会社とする持株会社又は長期信用銀行を子会社とする持株会社になることについて、銀行法第五十二条の十七第一項又は長期信用銀行法第十六条の二の四第一項の認可(以下この項において「持株会社認可」という。)の申請をしている場合には、内閣総理大臣は、当該会社について持株会社認可をした後でなければ、第一項の規定による認定を行うことができない。

(合併等のあつせん)
第六十二条 内閣総理大臣は、前条第二項の申請が行われない場合においても、金融機関が破綻金融機関に該当し、かつ、当該破綻金融機関が同条第三項第三号に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該破綻金融機関及び他の金融機関又は当該破綻金融機関及び銀行持株会社等に対し、書面により、合併等(第五十九条第二項第二号に掲げる合併を除くものとし、当該合併等が行われることが預金者等その他の債権者の保護に資するものであり、かつ、機構による資金援助が行われることが当該合併等を行うために不可欠であるものに限る。)のあつせんを行うことができる。
2 前項のあつせんを受けた同項の他の金融機関又は銀行持株会社等は、前条第一項の規定にかかわらず、第五十九条第一項又は第五十九条の二第一項の規定による申込みを行うことができる。
3 第六十条第一項に規定する内閣総理大臣の指定する金融機関で、第一項のあつせんを受けた同項の他の金融機関又は銀行持株会社等に対し当該あつせんに係る合併等を援助するため同条第一項に規定する資金の貸付けその他の政令で定める行為を行うものは、前条第一項の規定にかかわらず、第六十条第一項の規定による申込みを行うことができる。
4 前条第四項から第七項までの規定は、第一項のあつせんを行う場合について準用する。
5 内閣総理大臣は、第一項のあつせんを行うため必要があると認めるときは、その必要の限度において、破綻金融機関又は破綻金融機関となる蓋然性が高いと認められる金融機関につきその業務又は財産の状況に関する資料を他の金融機関又は銀行持株会社等に対して交付し、その他当該あつせんに必要な準備行為を行うことができる。
6 内閣総理大臣は、機構に対し、第一項のあつせん又は前項の準備行為の実施に関し、必要な協力を求めることができる。

第六十三条 削除

(資金援助)
第六十四条 機構は、第五十九条第一項若しくは第四項、第五十九条の二第一項又は第六十条第一項の規定による申込みがあつたときは、遅滞なく、委員会の議決を経て、当該申込みに係る資金援助を行うかどうかを決定しなければならない。
2 委員会は、前項の議決を行う場合には、機構の財務の状況並びに当該議決に係る資金援助に要すると見込まれる費用及び当該資金援助に係る破綻金融機関の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用を考慮し、機構の資産の効率的な利用に配意しなければならない。
3 機構は、第一項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣(当該決定が労働金庫又は労働金庫連合会を当事者とする合併等に係るものである場合には内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣とし、当該決定が株式会社商工組合中央金庫を当事者とする合併等に係るものである場合には内閣総理大臣及び財務大臣並びに経済産業大臣とする。)に報告しなければならない。
4 機構は、第一項の規定による資金援助を行う旨の決定をしたときは、当該資金援助の申込みに係る金融機関又は銀行持株会社等との間で当該資金援助に関する契約を締結するものとする。
5 前項の契約に係る資金援助のうちに損害担保が含まれているときは、当該契約に係る金融機関又は銀行持株会社等は、当該契約において、当該損害担保に係る貸付債権について利益が生じたときは当該利益の額の一部を機構に納付し、又は当該合併等により当該貸付債権を有することとなる者をして機構に納付させるための措置を講ずる旨を約するものとする。

(優先株式等の引受け等に係る資金援助)
第六十四条の二 第五十九条第一項の規定による申込みが優先株式等の引受け等に係るものであるときは、当該申込みに係る救済金融機関又は救済銀行持株会社等(第二条第五項第五号に掲げる会社を除く。以下この条において同じ。)は、第五十九条第一項の規定による申込みと同時に、機構に対し、財務内容の健全性の確保等のための方策として政令で定める方策を定めた計画を提出しなければならない。
2 委員会は、前条第一項の規定により行う議決が優先株式等の引受け等の申込みに係るものであるときは、当該優先株式等の引受け等が当該申込みに係る救済金融機関又は救済銀行持株会社等の自己資本の充実の状況に照らし当該合併等の円滑な実施のために必要な範囲を超えないことその他の内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣及び経済産業大臣が定めて公表する基準に適合するものである場合に限り、当該優先株式等の引受け等を行う旨の決議をすることができる。
3 機構は、第五十九条第一項の規定による申込みが優先株式等の引受け等に係るものである場合において、当該資金援助を行う旨の決定をしようとするときは、前項の決議を経た後、あらかじめ、内閣総理大臣及び財務大臣(当該申込みをした者が労働金庫又は労働金庫連合会である場合には内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣とし、当該申込みをした者が株式会社商工組合中央金庫である場合には内閣総理大臣及び財務大臣並びに経済産業大臣とする。)の承認を受けなければならない。
4 第五十九条第一項の規定による申込みが合併等(同条第二項第二号に掲げるものに限る。)を援助するための優先株式等の引受け等に係るものである場合において、機構が前条第一項の決定をしたときは、第一項の規定により提出された計画は、当該合併等の後においては、当該合併等により設立された金融機関が提出したものとみなして、この条の規定を適用する。
5 機構は、取得優先株式等又は取得貸付債権(機構が前条第一項の決定に基づいてした優先株式等の引受け等により取得した貸付債権をいう。以下この条から第六十八条の三までにおいて同じ。)の全部につきその処分をし、又は償還若しくは返済を受けるまでの間、救済金融機関(当該優先株式等の引受け等に係る合併により設立された金融機関を含む。以下この条から第六十八条の三までにおいて同じ。)又は救済銀行持株会社等であつて、機構が現に保有する当該取得優先株式等又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者であるものに対し、第一項の規定により提出を受けた計画の履行状況につき報告を求め、これを公表することができる。
6 前項の「取得優先株式等」とは、次に掲げるものをいう。
 一 機構が前条第一項の決定に基づいてした優先株式等の引受け等により取得した優先株式等(次に掲げるものを含む。)その他の政令で定める株式等
  イ 当該優先株式等が優先株式である場合にあつては、次に掲げる株式
   (1) 当該優先株式が他の種類の株式への転換(当該優先株式がその発行会社に取得され、その引換えに他の種類の株式が交付されることをいう。以下この項において同じ。)の請求が可能とされるものである場合にあつては、その請求により転換された他の種類の株式
   (2) 当該優先株式が一定の事由が生じたことを条件として転換されるものである場合にあつては、その事由が生じたことにより転換された他の種類の株式
   (3) 当該優先株式又は(1)若しくは(2)に掲げる他の種類の株式について分割され又は併合された株式
  ロ 当該優先株式等が劣後特約付社債である場合にあつては、当該劣後特約付社債に新株予約権が付されているときにその行使により交付された株式及びこれについて分割され又は併合された株式
  ハ 当該優先株式等が優先出資である場合にあつては、当該優先出資について分割された優先出資
 二 機構が前条第一項の決定により優先株式等の引受け等を行つた金融機関又は銀行持株会社等が行う株式交換又は株式移転により当該金融機関又は銀行持株会社等の株式交換完全親株式会社(会社法第七百六十八条第一項第一号に規定する株式交換完全親株式会社をいう。以下同じ。)又は株式移転設立完全親会社(同法第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社をいう。以下同じ。)となつた会社から機構が割当てを受けた優先株式(次に掲げるものを含む。)その他の政令で定める株式等
  イ 当該優先株式が他の種類の株式への転換の請求が可能とされるものである場合にあつては、その請求により転換された他の種類の株式
  ロ 当該優先株式が一定の事由が生じたことを条件として転換されるものである場合にあつては、その事由が生じたことにより転換された他の種類の株式
  ハ 当該優先株式又はイ若しくはロに掲げる他の種類の株式について分割され又は併合された株式

(合併等の契約の報告等)
第六十五条 第六十一条第一項の認定又は第六十二条第一項のあつせん(以下「適格性の認定等」という。)を受けた金融機関又は銀行持株会社等は、当該適格性の認定等に係る合併等の契約を締結したときは、直ちに、内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。)に、その旨を報告し、かつ、当該合併等の契約書(機構と第六十四条第四項の契約を締結した金融機関又は銀行持株会社等にあつては、当該合併等の契約書及び同項の契約の内容を記載した書面)を提出しなければならない。

(株主総会等の決議の報告等)
第六十六条 適格性の認定等を受けた金融機関は、この法律若しくは会社法その他の法律の規定又は定款の定めに基づき合併、事業譲渡等、付保預金移転、株式交換又は株式移転について株主総会等の決議若しくは議決又は総株主若しくはすべての種類株主の同意(会社法第七百八十三条第二項又は第四項に規定する同意をいう。以下同じ。)を必要とする場合において、当該適格性の認定等に係る合併、事業譲渡等、付保預金移転、株式交換又は株式移転についての決議若しくは議決又は総株主若しくはすべての種類株主の同意を得たとき又は得られなかつたときは、直ちに、内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。)に、その旨を報告し、かつ、当該株主総会等の議事録その他政令で定める書面(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして内閣府令・財務省令で定めるものをいう。)で作成されているものを含む。第百六条第三項において同じ。)を提出し、併せて、機構にその旨を通知しなければならない。適格性の認定等を受けた銀行持株会社等が、この法律若しくは会社法の規定又は定款の定めに基づき株式交換について株主総会等の決議又は総株主若しくはすべての種類株主の同意を必要とする場合において、当該適格性の認定等に係る株式交換についての決議又は同意を得たとき又は得られなかつたときも、同様とする。
2 前項の「株主総会等」とは、銀行等、銀行持株会社等又は株式会社商工組合中央金庫にあつては株主総会又は種類株主総会(金融機関の合併及び転換に関する法律第二十二条第六項に規定する場合にあつては、株主総会及び同項の株主総会)を、信用金庫等にあつては総会又は総代会をいう。
3 第一項の適格性の認定等を受けた金融機関又は銀行持株会社等は、次に掲げる場合には、直ちに、内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。)にその旨を報告し、あわせて、機構にその旨を通知しなければならない。
 一 第一項の適格性の認定等を受けた金融機関又は銀行持株会社等が会社法第四百六十八条第二項若しくは第七百九十六条第三項、信用金庫法第五十八条第二項ただし書若しくは第六十一条の三第三項ただし書、中小企業等協同組合法第五十七条の三第二項後段若しくは第六十三条の五第三項ただし書、労働金庫法第六十二条第二項ただし書若しくは第六十二条の六第三項ただし書又は金融機関の合併及び転換に関する法律第三十条第一項若しくは第四十二条第一項の規定により、株主総会等(前項に規定する株主総会等をいう。次号において同じ。)の決議又は議決による承認を受けることなく事業の全部若しくは一部の譲受け、合併又は株式交換を行おうとしたものである場合において、当該金融機関又は銀行持株会社等が会社法第四百六十八条第三項若しくは第七百九十六条第四項、信用金庫法第五十八条第四項若しくは第六十一条の三第五項、中小企業等協同組合法第五十七条の三第三項若しくは第六十三条の五第四項、労働金庫法第六十二条第四項若しくは第六十二条の六第五項又は金融機関の合併及び転換に関する法律第三十条第二項若しくは第四十二条第二項に規定する場合に該当することとなつたとき。
 二 第一項の適格性の認定等を受けた金融機関が第八十七条又は民事再生法(平成十一年法律第二百二十五号)第四十三条(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第四百五十四条において準用する場合を含む。)の規定により株主総会等の決議若しくは議決又は総株主若しくはすべての種類株主の同意に代わる裁判所の許可を得て事業譲渡等を行おうとしたものである場合において、当該金融機関が当該許可を得られなかつたとき。
4 機構は、第一項又は前項の規定による通知を受けたときは、直ちに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。ただし、当該通知を行つた金融機関が株式会社商工組合中央金庫である場合は、この限りでない。

(業務の継続の特例)
第六十七条 適格性の認定等を受けた救済金融機関は、その営業若しくは事業に関する法令により行うことができない業務に属する契約又は制限されている契約に係る権利義務を当該適格性の認定等に係る事業の譲受け又は付保預金移転により承継した場合には、これらの契約のうち、期限の定めのあるものについては期限満了まで、期限の定めのないものについては承継の日から二年以内の期間に限り、これらの契約に関する業務を継続することができる。
2 適格性の認定等を受けた救済金融機関は、前項に規定する契約に関する業務の利用者の利便等に照らし特別の事情がある場合において、期間を定めて当該業務を整理することを内容とする計画を作成し、当該計画につき内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。)の承認を受けたときは、事業の譲受け又は付保預金移転の日における当該契約の総額を超えない範囲内において、かつ、当該計画に従い、同項の期限が満了した契約を更新して、又は同項の期間を超えて、当該業務を継続することができる。

(財務大臣への協議)
第六十八条 内閣総理大臣は、その行おうとする適格性の認定等に係る合併等のために機構による資金援助が行われたならば、機構の財務の状況が著しく悪化し信用秩序の維持に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときは、あらかじめ、信用秩序の維持を図るために必要な措置に関し、財務大臣に協議しなければならない。

(資金援助に係る株式交換等の承認)
第六十八条の二 第六十四条第一項の決定に基づいて機構が優先株式等の引受け等を行つた救済金融機関又は救済銀行持株会社等(この項の承認を受けた場合における次項に規定する会社及び次条第一項の承認を受けた場合における同条第四項に規定する承継金融機関等を含む。次条において同じ。)であつて、機構が現に保有する取得優先株式等である株式の発行者であるもの(以下この条において「発行救済金融機関等」という。)は、株式交換(当該発行救済金融機関等が株式交換完全子会社(会社法第七百六十八条第一項第一号に規定する株式交換完全子会社をいう。第百八条の二第一項において同じ。)となるものに限る。)又は株式移転(以下この条において「株式交換等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、機構の承認を受けなければならない。
2 機構は、株式交換等により当該発行救済金融機関等の株式交換完全親株式会社又は株式移転設立完全親会社となる会社が金融機関又は銀行持株会社等(新たに設立されるものを含み、銀行持株会社等にあつては、第二条第五項第一号又は第三号に掲げるものに限る。)であることその他の内閣総理大臣及び財務大臣が定めて公表する基準に適合するものである場合に限り、前項の承認をするものとする。
3 機構は、第一項の承認をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けなければならない。
4 発行救済金融機関等が第一項の承認を受けて株式交換等を行つたときは、当該株式交換等により当該発行救済金融機関等の株式交換完全親株式会社又は株式移転設立完全親会社となつた会社は、機構に対し、財務内容の健全性の確保等のための方策として政令で定める方策を定めた計画を提出しなければならない。
5 第六十四条の二第五項の規定は、機構が前項の規定により提出を受けた計画について準用する。この場合において、同条第五項中「救済金融機関(当該優先株式等の引受け等に係る合併により設立された金融機関を含む。以下この条から第六十八条の三までにおいて同じ。)又は救済銀行持株会社等」とあるのは「第六十八条の二第四項の規定により計画を提出した会社」と、「又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者」とあるのは「に係る発行者」と読み替えるものとする。

(資金援助に係る組織再編成の承認)
第六十八条の三 第六十四条第一項の決定に基づいて機構が優先株式等の引受け等を行つた救済金融機関又は救済銀行持株会社等であつて、機構が現に保有する取得優先株式等(第六十四条の二第六項に規定する取得優先株式等をいう。以下この項及び次条第四項において同じ。)又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者であるもの(以下この条において「資金援助対象金融機関等」という。)は、組織再編成(合併、会社分割又は事業の全部若しくは一部の譲渡であつて、当該合併、会社分割又は事業の譲渡の後において取得優先株式等の発行者又は取得貸付債権に係る債務者となる法人が当該資金援助対象金融機関等以外の法人(新たに設立されるものを含む。)であるものをいう。以下この条において同じ。)を行おうとするときは、あらかじめ、機構の承認を受けなければならない。
2 機構は、前項に規定する資金援助対象金融機関等以外の法人が金融機関又は銀行持株会社等(第二条第五項第一号及び第三号に掲げるものに限る。)であることその他の内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣及び経済産業大臣が定めて公表する基準に適合するものである場合に限り、前項の承認をするものとする。
3 機構は、第一項の承認をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣及び財務大臣(当該資金援助対象金融機関等が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣とし、当該資金援助対象金融機関等が株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣及び財務大臣並びに経済産業大臣とする。)の承認を受けなければならない。
4 資金援助対象金融機関等が第一項の承認を受けて組織再編成を行つた場合において、当該組織再編成に係る承継金融機関等(同項に規定する資金援助対象金融機関等以外の法人をいう。)があるときは、当該承継金融機関等は、機構に対し、財務内容の健全性の確保等のための方策として政令で定める方策を定めた計画を提出しなければならない。
5 第六十四条の二第五項の規定は、機構が前項の規定により提出を受けた計画について準用する。この場合において、同条第五項中「救済金融機関(当該優先株式等の引受け等に係る合併により設立された金融機関を含む。以下この条から第六十八条の三までにおいて同じ。)又は救済銀行持株会社等」とあるのは、「第六十八条の三第四項に規定する承継金融機関等」と読み替えるものとする。

(追加的資金援助)
第六十九条 機構は、資金援助に係る合併等の後、当該資金援助に係る救済金融機関若しくは救済銀行持株会社等又は当該資金援助に係る合併により設立された金融機関から追加の資金援助の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、当該申込みを行つた金融機関又は銀行持株会社等に対する追加の資金援助(第四項において「追加的資金援助」という。)を行うことができる。
2 前項の規定による申込みに係る資産の買取りは、合併等(第五十九条第二項第三号に掲げる事業譲渡等のうち破綻金融機関がその事業の一部を他の金融機関に譲渡するもの又は付保預金移転に限る。)に係る破綻金融機関の資産又は次の各号に掲げる合併等の区分に応じ当該各号に定める資産について行うものとし、前項の規定による申込みに係る資金援助のうちに合併等(同条第二項第三号に掲げる事業譲渡等のうち破綻金融機関がその事業の一部を他の金融機関に譲渡するもの又は付保預金移転に限る。以下この項及び第四項において同じ。)に係る破綻金融機関の資産の買取りが含まれているときは、当該合併等に係る救済金融機関は、当該破綻金融機関と連名で、機構が当該資産の買取りを行うことを機構に申し込むものとする。
 一 第五十九条第二項第一号に掲げる合併 当該合併により存続する金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)
 二 第五十九条第二項第二号に掲げる合併 当該合併により設立された金融機関の資産(当該合併前に破綻金融機関の資産であつたものに限る。)
 三 第五十九条第二項第三号に掲げる事業譲渡等 同号の他の金融機関の資産で当該事業譲渡等により譲り受けたもの
 四 第五十九条第二項第四号に掲げる株式の取得 当該株式の取得をされた金融機関の資産
3 第一項の規定による申込みに係る損害担保は、前項各号に掲げる合併等の区分に応じ当該各号に定める資産である貸付債権について行うものとする。
4 第五十九条第六項及び第七項、第六十四条並びに第六十四条の二の規定は第一項又は第二項の規定による申込みについて、第五十九条の二の規定は資金援助に係る合併等を行つた救済金融機関について、第六十七条及び第六十八条の規定は追加的資金援助について、前二条の規定は機構が追加的資金援助(優先株式等の引受け等に係るものに限る。)を行つた救済金融機関、救済銀行持株会社等又は資金援助に係る合併により設立された金融機関(機構が優先株式等の引受け等に係る資金援助を行い、かつ、現に当該資金援助に係る取得優先株式等を保有しているものを除くものとし、この項において準用する第六十八条の二第一項の承認を受けた場合におけるこの項において準用する同条第二項に規定する会社及びこの項において準用する前条第一項の承認を受けた場合におけるこの項において準用する同条第四項に規定する承継金融機関等を含む。)について、それぞれ準用する。この場合において、第六十四条第二項中「及び当該資金援助に係る破綻金融機関の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる」とあるのは「及び当該資金援助に係る破綻金融機関につき当該議決前に行われた委員会の議決に係る資金援助に要すると見込まれた費用並びに当該破綻金融機関の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれた」と、第六十八条中「その行おうとする適格性の認定等に係る合併等のために機構による資金援助」とあるのは「追加的資金援助」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三章の二 資金決済に関する債権者の保護

(決済債務の保護)
第六十九条の二 為替取引その他の金融機関が行う資金決済に係る取引として政令で定める取引に関し金融機関が負担する債務(外国通貨で支払が行われるものを除き、金融機関その他の金融業を営む者で政令で定める者以外の者の委託に起因するものその他政令で定めるものに限る。以下この章において「決済債務」という。)であつて、かつ、支払対象決済用預金の払戻しを行う場合に消滅するもの以外のもの(以下この項及び次条第一項において「特定決済債務」という。)については、これを支払対象決済用預金に係る債務と、特定決済債務に係る債権を支払対象決済用預金に係る債権と、特定決済債務に係る債権者を預金者と、特定決済債務の額を支払対象決済用預金の額と、特定決済債務の弁済を支払対象決済用預金の払戻しとそれぞれみなして、この法律の規定(第五十八条の二、この章及び第七十三条の規定並びに第百二十七条の規定及び当該規定に係る罰則を除く。)を適用する。この場合において、第五十一条の二第一項中「次に掲げる要件のすべてに該当する預金(外貨預金その他政令で定める預金を除く。以下「決済用預金」という。)に係る保険料」とあるのは「特定決済債務に係る保険料」と、第五十四条の二第一項中「決済用預金(他人の名義をもつて有するものその他の政令で定める決済用預金を除く。以下「支払対象決済用預金」という。)に係る保険金」とあるのは「特定決済債務に係る保険金」と、「のうち元本の額」とあるのは「の額」と、同条第二項中「その有する支払対象決済用預金」とあるのは「その有する特定決済債務に係る債権」と、第五十五条の二第四項中「預金等」とあるのは「特定決済債務」と、第五十八条の三第一項中「支払対象預金等」とあるのは「特定決済債務」とする。
2 決済債務が一般預金等の払戻しを行う場合に消滅するものであるときは、当該決済債務の額に相当する金額の当該一般預金等については、決済用預金とみなす。

(決済債務の弁済のための資金の貸付け)
第六十九条の三 機構は、次に掲げる者から決済債務の弁済(第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定により計算した保険金の額に対応する支払対象決済用預金又は特定決済債務につき行うものに限る。)のために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議決を経て、当該決済債務に係る第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定により計算した保険金の額の合計額に達するまでを限り、当該申込みに係る貸付けを行う旨の決定をすることができる。
 一 第七十四条第一項又は第二項の規定により管理を命ずる処分を受けた金融機関
 二 破産手続開始の決定を受けた者(当該破産の宣告を受ける前において金融機関であつた者に限る。)
 三 破産法第九十一条第一項の規定による保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻たん金融機関
 四 更生手続開始の決定を受けた破綻金融機関
 五 会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)第三十条第一項又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第二十二条第一項の規定による保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関
 六 民事再生法第六十四条第一項の規定による管財人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関
 七 民事再生法第七十九条第一項の規定による保全管理人による管理を命ずる処分を受けた破綻金融機関
 八 特別清算開始の命令を受けた者(当該命令に係る解散をする前において金融機関であつた者に限る。)
2 第六十四条第三項の規定は前項の規定による決定をしたときについて、同条第四項の規定は前項の規定により貸付けを行う旨の決定をしたときについて、それぞれ準用する。この場合において、同条第三項中「を当事者とする合併等に係る」とあるのは、「に係る」と読み替えるものとする。
3 第一項の規定により次の各号に掲げる者に対してされた貸付けは、当該金融機関に係る破産手続、更生手続、再生手続又は特別清算手続における機構以外の債権者との関係においては、当該各号に定める決定より前にされたものとみなす。
 一 第一項第二号に掲げる者 当該破産手続開始の決定
 二 第一項第四号に掲げる破綻金融機関 当該更生手続開始の決定
 三 再生手続開始の決定を受けた破綻金融機関 当該再生手続開始の決定
 四 第一項第八号に掲げる者 当該特別清算開始の命令
4 第一項の決定に基づく資金の貸付けに要すると見込まれる費用は、第六十四条第二項の適用については、同項の資金援助に要すると見込まれる費用とみなす。
5 第一項第二号又は第八号に掲げる者は、同項の貸付けに係るこの法律の適用については、金融機関とみなす。

(決済債務に係る破産法等の特例)
第六十九条の四 決済債務を負担する金融機関及び決済債権者(当該決済債務に係る債権を有し、かつ、当該金融機関に対して他の決済債務を負担する他の金融機関(当該他の金融機関から当該決済債務に係る債権を取得し、又は当該他の決済債務を引き受けた者を含む。)をいう。以下この項において同じ。)が、相互に負担する決済債務を継続的に相殺することによりその全部又は一部を消滅させることを内容とする契約を当該金融機関に係る保険事故が発生する前に締結している場合において、当該契約の対象となる決済債務が当該金融機関に係る支払不能等(支払不能(当該金融機関が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態にあることをいう。)、支払の停止又は破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始若しくは特別清算開始の申立てをいう。以下この項において同じ。)より後に生じたときであつて当該金融機関に係る前条第一項(第百二十七条において準用する場合を含む。)の規定による貸付けを行う旨の決定があつたときは、当該決済債権者は、会社法第五百十七条及び第五百十八条、破産法第七十一条及び第七十二条、会社更生法第四十九条及び第四十九条の二(これらの規定を金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第三十五条において準用する場合を含む。)並びに民事再生法第九十三条及び第九十三条の二の規定にかかわらず、その有する債権に係る当該金融機関が負担する次の各号に掲げる決済債務をその負担する当該各号に定める決済債務と相殺することができる。
 一 当該支払不能等より前に生じた決済債務 当該支払不能等から当該支払不能等に係る破産手続開始の決定、更生手続開始の決定、再生手続開始の決定若しくは特別清算開始の命令(以下この号において「破産手続開始決定等」という。)までの間に生じた当該金融機関に対して負担する決済債務(当該支払不能等より前に生じた原因に基づくものを除く。)又は当該破産手続開始決定等より後に生じた当該金融機関に対して負担する決済債務
 二 当該支払不能等より後に生じた決済債務 当該金融機関に対して負担する決済債務
2 民法第六百五十三条の規定は、決済債務に係る当該金融機関が締結している委任契約については、適用しない。
3 特別清算開始の命令を受けた破綻金融機関に対し前条第一項の規定による資金の貸付けを行う旨の決定があるときは、会社法第五百条第一項及び第五百三十七条第一項の規定にかかわらず、裁判所は、当該破綻金融機関の申立てにより、前条第一項に規定する決済債務の弁済を許可することができる。
4 裁判所は、前項の許可と同時に、弁済を行う決済債務の種類、弁済の限度額及び弁済をする期間(前項の場合においては、当該期間の末日は、会社法第五百四十九条第一項の通知を行う日より前の日でなければならないものとする。)を定めなければならない。
5 裁判所は、前項の規定により、弁済を行う決済債務の種類、弁済の限度額及び弁済をする期間を定めるときは、あらかじめ、機構の意見を聴かなければならない。

第四章 預金等債権の買取り

(預金等債権の買取り)
第七十条 機構は、第五十七条第一項に規定する場合(第一種保険事故の発生した金融機関の預金者等の保護のため必要があると認める場合を含む。)には、委員会の議決を経て、同項各号に規定する保険事故に係る預金等債権(預金者等が当該保険事故の発生した金融機関に対して有する預金等(政令で定める預金等を除く。)に係る債権であつて、担保権の目的となつていないものをいう。以下同じ。)の買取りをすることを決定することができる。
2 前項の買取りは、第七十二条第一項又は第三項の規定により公告した買取期間内に、前項の保険事故に係る預金者等が有する預金等債権を、その請求に基づいて、概算払額に相当する金額で買い取ることにより行うものとする。ただし、機構は、その買取りに係る預金等債権の回収をした場合において、当該回収によつて得た金額から当該買取りに要した費用として政令で定めるものの額を控除した金額が、当該買取りに係る概算払額に相当する金額を超えるときは、その超える部分の金額を当該預金者等に対して支払うものとする。
3 前項に規定する概算払額は、機構が預金者等から買い取る預金等債権の額から、保険事故が発生した日から当該買取りの日までの期間に対応する利息、収益の分配その他これらに準ずるもので政令で定めるものの額を控除した額に、次条第一項の規定により機構が定める率(以下「概算払率」という。)を乗じて計算した金額とする。
4 第五十三条第三項の規定は、第二項の規定による買取りに係る概算払額に相当する金額の支払(以下「概算払額の支払」という。)について準用する。
5 機構は、預金者等が第二項の買取期間内に同項の請求をしなかつたことにつき災害その他やむを得ない事情があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、当該買取期間経過後であつても、当該預金者等の預金等債権の買取りをすることができる。

(概算払率)
第七十一条 機構は、前条第一項の決定においては、委員会の議決を経て、当該決定に係る買取りの概算払率を定めるものとし、当該決定について内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。
2 委員会は、前項の概算払率に係る議決を行う場合には、前条第一項の決定に係る金融機関の財務の状況に照らし、当該金融機関について破産手続が行われたならば当該金融機関に係る預金等債権について弁済を受けることができると見込まれる額を考慮し、機構の資産の効率的な利用に配意しなければならない。
3 内閣総理大臣及び財務大臣は、第一項の認可を行う場合において、当該金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会であるときは厚生労働大臣の同意を、当該金融機関が株式会社商工組合中央金庫であるときは経済産業大臣の同意を、それぞれ得なければならない。

(買取りの公告等)
第七十二条 機構は、前条第一項の認可を受けたときは、速やかに、委員会の議決を経て、預金等債権の買取りに係る買取期間、買取場所、概算払額の支払方法その他政令で定める事項を定め、これを当該認可に係る概算払率とともに公告しなければならない。
2 機構は、前項の公告をした後に当該金融機関について破産法第百九十七条第一項(同法第二百九条第三項において準用する場合を含む。)の規定による公告、第百三十七条の二第二項の規定による通知その他の政令で定める事由があつたときは、政令で定めるところにより、前項の規定により公告した買取期間を変更することができる。
3 機構は、前項の規定により買取期間を変更したときは、遅滞なく、その変更に係る事項を公告しなければならない。
4 機構は、第七十条第二項ただし書の規定による支払をするときは、あらかじめ、委員会の議決を経て、支払額、支払期間その他政令で定める事項を定め、これを公告しなければならない。
5 第五十六条第四項の規定は、第一項に規定する事項を定めた場合、第二項の規定により買取期間を変更した場合及び前項に規定する事項を定めた場合について準用する。

(課税関係)
第七十三条 預金者等がその有する預金等債権(第二条第二項第五号に掲げる預金等に係るもののうち割引の方法により発行される長期信用銀行債等に係るものを除く。以下この条において同じ。)について概算払額の支払を受けた場合には、当該概算払額の支払を受けた金額(以下この条において「概算払の金額」という。)が当該概算払額の支払の日における当該預金等債権のうち元本の額として政令で定める金額(以下この条において「基準日における元本額」という。)以下であるときにあつては当該概算払の金額は当該預金等債権のうち元本の払戻しの額とみなし、当該概算払の金額が当該基準日における元本額を超えるときにあつては当該概算払の金額のうち当該基準日における元本額に相当する部分の金額は当該預金等債権のうち元本の払戻しの額と、当該概算払の金額のうちその超える部分の金額は当該預金等債権に係る預金等の次の各号に掲げる区分に応じ当該各号に定めるものの額とみなして、所得税法その他の所得税に関する法令の規定を適用する。
 一 預金 当該預金の利子
 二 定期積金 当該定期積金に係る契約に基づく給付補てん金(所得税法第百七十四条第三号に掲げる給付補てん金をいう。)
 三 第二条第二項第三号に掲げる掛金 当該掛金に係る契約に基づく給付補てん金(所得税法第百七十四条第四号に掲げる給付補てん金をいう。)
 四 第二条第二項第四号に掲げる金銭 当該金銭に係る同号に規定する金銭信託の収益の分配
 五 第二条第二項第五号に掲げる金銭 長期信用銀行債等(割引の方法により発行されるものを除く。)の利子
2 預金者等が第七十条第二項ただし書の規定による支払を受けた場合には、当該支払に係る預金等債権につき支払を受けた金額(以下この項において「精算払の金額」という。)は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額とみなして、所得税法その他の所得税に関する法令の規定を適用する。
 一 精算払の金額と当該預金等債権に係る概算払の金額との合計額(次号において「精算払の金額と概算払の金額との合計額」という。)が、当該預金等債権に係る基準日における元本額以下である場合 当該預金等債権のうち元本の払戻しの額
 二 精算払の金額と概算払の金額との合計額が当該預金等債権に係る基準日における元本額を超え、かつ、当該預金等債権に係る概算払の金額が当該基準日における元本額以下である場合 次に掲げる精算払の金額の区分に応じそれぞれ次に定める額
  イ 当該精算払の金額のうち、当該基準日における元本額から当該概算払の金額を控除した金額に相当する金額 当該預金等債権のうち元本の払戻しの額
  ロ 当該精算払の金額のうち、精算払の金額と概算払の金額との合計額から当該基準日における元本額を控除した金額に相当する金額 当該預金等債権に係る預金等の前項各号に掲げる区分に応じ当該各号に定めるものの額
 三 当該預金等債権に係る概算払の金額が当該預金等債権に係る基準日における元本額を超える場合 当該預金等債権に係る預金等の前項各号に掲げる区分に応じ当該各号に定めるものの額
3 前二項の規定の適用がある場合における租税特別措置法第四条の二及び第四条の三の規定の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第五章 金融整理管財人による管理

(業務及び財産の管理を命ずる処分)
第七十四条 内閣総理大臣(この項に規定する処分に係る金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。次項、第四項(次条第二項において準用する場合を含む。)及び第五項、同条第一項、第七十七条第二項から第四項まで、第七十九条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)、第八十条、第八十四条第一項並びに第九十条において同じ。)は、金融機関がその財産をもつて債務を完済することができないと認める場合又は金融機関がその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあると認める場合若しくは金融機関が預金等の払戻しを停止した場合であつて、次に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該金融機関に対し、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分(以下「管理を命ずる処分」という。)をすることができる。
 一 当該金融機関の業務の運営が著しく不適切であること。
 二 当該金融機関について、合併等が行われることなく、その業務の全部の廃止又は解散が行われる場合には、当該金融機関が業務を行つている地域又は分野における資金の円滑な需給及び利用者の利便に大きな支障が生ずるおそれがあること。
2 内閣総理大臣は、金融機関からその財産をもつて債務を完済することができない事態が生ずるおそれがあると認める旨の申出があつた場合において、当該事態が生ずるおそれがあり、かつ、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該金融機関に対し、管理を命ずる処分をすることができる。
3 前二項の規定による管理を命ずる処分があつた場合におけるこの法律の適用については、当該処分を受けた金融機関(破綻金融機関を除く。)は、破綻金融機関とみなす。
4 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分をしたときは、官報により、これを公告しなければならない。
5 金融機関は、その財産をもつて債務を完済することができないとき又はその業務若しくは財産の状況に照らし預金等の払戻しを停止するおそれがあるときは、その旨及びその理由を、文書をもつて、内閣総理大臣に申し出なければならない。

(管理を命ずる処分の取消し)
第七十五条 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分について、その必要がなくなつたと認めるときは、当該管理を命ずる処分を取り消さなければならない。
2 前条第四項の規定は、前項の場合について準用する。

(株主の名義書換の禁止)
第七十六条 被管理金融機関が銀行等又は株式会社商工組合中央金庫である場合において、内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、株主の名義書換を禁止することができる。
2 前項の被管理金融機関が株式会社商工組合中央金庫である場合における同項の規定の適用については、同項中「内閣総理大臣」とあるのは、「内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣」とする。

(金融整理管財人の選任等)
第七十七条 管理を命ずる処分があつたときは、被管理金融機関を代表し、業務の執行並びに財産の管理及び処分を行う権利は、金融整理管財人に専属する。会社法第八百二十八条第一項及び第二項(これらの規定を信用金庫法第二十八条、第五十二条の二(同法第五十八条第七項において準用する場合を含む。)及び第六十一条の七、中小企業等協同組合法第三十二条、第五十七条(同法第五十七条の三第六項において準用する場合を含む。)及び第六十七条並びに労働金庫法第二十八条、第五十七条の二(同法第六十二条第七項において準用する場合を含む。)及び第六十五条において準用する場合を含む。)並びに会社法第八百三十一条(信用金庫法第二十四条第十項及び第四十八条の八、中小企業等協同組合法第二十七条第八項、第五十四条、第八十二条第四項及び第八十二条の十第四項並びに労働金庫法第二十四条第十一項及び第五十四条において準用する場合を含む。)の規定による取締役及び執行役(被管理金融機関が信用金庫等である場合にあつては、理事)の権利についても、同様とする。
2 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分と同時に、一人又は数人の金融整理管財人を選任しなければならない。
3 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、前項の規定により金融整理管財人を選任した後においても、更に金融整理管財人を選任し、又は金融整理管財人が被管理金融機関の業務及び財産の管理を適切に行つていないと認めるときは、金融整理管財人を解任することができる。
4 内閣総理大臣は、第二項若しくは前項の規定により金融整理管財人を選任したとき又は同項の規定により金融整理管財人を解任したときは、被管理金融機関にその旨を通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。
5 会社更生法第六十九条、第七十条、第八十条並びに第八十一条第一項及び第五項の規定は金融整理管財人について、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条の規定は被管理金融機関について、それぞれ準用する。この場合において、会社更生法第六十九条第一項中「裁判所の許可」とあるのは「内閣総理大臣(当該金融整理管財人の管理に係る金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあっては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、当該金融機関が株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。以下同じ。)の承認」と、同法第七十条中「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、同条第二項中「裁判所の許可」とあるのは「内閣総理大臣の承認」と、同法第八十一条第一項中「裁判所」とあるのは「内閣総理大臣」と、同条第五項中「管財人代理」とあるのは「金融整理管財人代理」と、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条中「代表理事その他の代表者」とあるのは「金融整理管財人」と読み替えるものとする。

第七十八条 法人は、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となることができる。
2 機構は、金融整理管財人又は金融整理管財人代理となり、その業務を行うことができる。

(通知及び登記)
第七十九条 内閣総理大臣は、管理を命ずる処分をしたとき又は管理を命ずる処分を取り消したときは、直ちに、被管理金融機関の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所にその旨を通知し、かつ、嘱託書に当該命令書の謄本を添付して、被管理金融機関の本店又は主たる事務所の所在地の登記所に、その登記を嘱託しなければならない。
2 前項の登記には、金融整理管財人の氏名又は名称及び住所をも登記しなければならない。
3 第一項の規定は、前項に掲げる事項に変更が生じた場合について準用する。

(報告又は資料の提出)
第八十条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、金融整理管財人に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況等に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその経営に関する計画の作成及び提出その他必要な措置を命ずることができる。

(金融整理管財人の調査等)
第八十一条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役、会計参与、監査役及び会計監査人(被管理金融機関が委員会設置会社である場合にあつては取締役、執行役、会計参与及び会計監査人、被管理金融機関が信用金庫等である場合にあつては理事、監事及び会計監査人。第八十七条第五項において同じ。)並びに支配人(被管理金融機関が信用協同組合若しくは信用協同組合連合会又は労働金庫若しくは労働金庫連合会である場合にあつては、参事)その他の使用人並びに被管理金融機関を所属金融機関とする金融機関代理業者(金融機関代理業者が法人である場合にあつては、役員及び使用人)並びにこれらの者であつた者に対し、被管理金融機関の業務及び財産の状況(これらの者であつた者については、その者が当該被管理金融機関の業務に従事していた期間内に知ることのできた事項に係るものに限る。)につき報告を求め、又は被管理金融機関及び被管理金融機関を所属金融機関とする金融機関代理業者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。
2 金融整理管財人は、その職務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。

(金融整理管財人等の秘密保持義務)
第八十二条 金融整理管財人及び金融整理管財人代理(以下この条において「金融整理管財人等」という。)は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。金融整理管財人等がその職を退いた後も、同様とする。
2 金融整理管財人等が法人であるときは、金融整理管財人等の職務に従事するその役員及び職員は、その職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その役員又は職員が金融整理管財人等の職務に従事しなくなつた後においても、同様とする。

(被管理金融機関の経営者等の破綻の責任を明確にするための措置)
第八十三条 金融整理管財人は、被管理金融機関の取締役、会計参与、監査役若しくは会計監査人(被管理金融機関が委員会設置会社である場合にあつては取締役、執行役、会計参与又は会計監査人、被管理金融機関が信用金庫等である場合にあつては理事、監事又は会計監査人)又はこれらの者であつた者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。
2 金融整理管財人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発に向けて所要の措置をとらなければならない。

(金融整理管財人と被管理金融機関との取引)
第八十四条 金融整理管財人は、自己又は第三者のために被管理金融機関と取引をするときは、内閣総理大臣の承認を得なければならない。この場合においては、民法第百八条の規定は、適用しない。
2 前項の承認を得ないでした行為は、無効とする。ただし、善意の第三者に対抗することができない。

第八十五条 削除

(株主総会等の特別決議等に関する特例)
第八十六条 被管理金融機関における会社法第三百九条第二項第四号、第五号、第九号、第十一号若しくは第十二号若しくは第三百二十四条第二項第一号若しくは第四号に掲げる株主総会若しくは種類株主総会の決議、信用金庫法第四十八条の三、中小企業等協同組合法第五十三条若しくは労働金庫法第五十三条の規定による決議若しくは議決又は金融機関の合併及び転換に関する法律第二十二条第二項、第二十九条第四項若しくは第三十五条第二項の規定による決議若しくは議決は、これらの規定にかかわらず、出席した株主又は会員、組合員若しくは代議員若しくは総代(第四項において「株主等」という。)の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
2 被管理金融機関における会社法第三百九条第三項各号若しくは第三百二十四条第三項各号に掲げる株主総会若しくは種類株主総会の決議又は金融機関の合併及び転換に関する法律第二十二条第三項の規定による決議は、これらの規定にかかわらず、出席した株主の半数以上であつて出席した株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
3 被管理金融機関における会社法第三百九条第四項の規定による株主総会の決議は、同項の規定にかかわらず、出席した株主の半数以上であつて出席した株主の議決権の四分の三以上に当たる多数をもつて、仮にすることができる。
4 第一項の規定により仮にした決議又は議決(以下この項及び次項において「仮決議等」という。)があつた場合においては、各株主等に対し、当該仮決議等の趣旨を通知し、当該仮決議等の日から一月以内に再度の株主総会等(第六十六条第二項に規定する株主総会等をいう。次項及び次条第六項において同じ。)を招集しなければならない。
5 前項の株主総会等において第一項に規定する多数をもつて仮決議等を承認した場合には、当該承認のあつた時に、当該仮決議等をした事項に係る決議又は議決があつたものとみなす。
6 前二項の規定は、第二項の規定により仮にした決議があつた場合について準用する。この場合において、前項中「第一項に規定する多数」とあるのは、「第二項に規定する多数」と読み替えるものとする。
7 第四項及び第五項の規定は、第三項の規定により仮にした決議があつた場合について準用する。この場合において、第五項中「第一項に規定する多数」とあるのは、「第三項に規定する多数」と読み替えるものとする。

(株主総会等の特別決議等に代わる許可)
第八十七条 銀行等又は株式会社商工組合中央金庫である被管理金融機関がその財産をもつて債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、会社法第四百四十七条第一項、第四百六十七条第一項第一号及び第二号並びに第四百七十一条第三号の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。
 一 資本金の額の減少
 二 事業の全部又は重要な一部の譲渡
 三 解散
2 信用金庫等である被管理金融機関がその財産をもつて債務を完済することができない場合には、当該被管理金融機関は、信用金庫法第四十八条の三及び第五十八条第一項、中小企業等協同組合法第五十三条及び第五十七条の三第一項並びに労働金庫法第五十三条及び第六十二条第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、次に掲げる事項を行うことができる。
 一 解散
 二 事業の譲渡
3 金融整理管財人は、会社法第三百三十九条第一項(同法第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)及び第四百三条第一項、信用金庫法第三十五条の八第一項、中小企業等協同組合法第四十二条第一項並びに労働金庫法第三十七条の六第一項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理金融機関の取締役、会計参与、監査役又は会計監査人(被管理金融機関が委員会設置会社である場合にあつては取締役、執行役、会計参与又は会計監査人、被管理金融機関が信用金庫等である場合にあつては理事、監事又は会計監査人。次項において同じ。)を解任することができる。
4 前項の規定により被管理金融機関の取締役、会計参与、監査役又は会計監査人を解任しようとする場合において、解任により法律又は定款に定めた取締役、会計参与、監査役又は会計監査人の員数を欠くこととなるときは、金融整理管財人は、会社法第三百二十九条第一項及び第四百二条第二項、信用金庫法第三十二条第三項、中小企業等協同組合法第三十五条第三項並びに労働金庫法第三十二条第三項の規定にかかわらず、裁判所の許可を得て、被管理金融機関の取締役、会計参与、監査役又は会計監査人を選任することができる。
5 前項の規定により選任された被管理金融機関の取締役、会計参与、監査役及び会計監査人は選任時の属する事業年度の終了後最初に招集される定時総会又は通常総会(総代会を設けている場合において、その総代会で役員の選任をすることができるときは、通常総代会)の終結の時に、執行役は選任時の属する事業年度の終了後最初に招集される定時総会が終結した後最初に開催される取締役会の終結の時に退任する。
6 第一項から第四項までに規定する許可(以下この条及び次条において「代替許可」という。)があつたときは、当該代替許可に係る事項について株主総会等又は取締役会の決議があつたものとみなす。
7 代替許可に係る事件は、当該被管理金融機関の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
8 裁判所は、代替許可の決定をしたときは、その決定書を被管理金融機関に送達するとともに、その決定の要旨を公告しなければならない。
9 前項の規定によつてする公告は、官報に掲載してする。
10 代替許可の決定は、第八項の規定による被管理金融機関に対する送達がされた時から、効力を生ずる。
11 代替許可の決定に対しては、株主、会員又は組合員は、第八項の公告のあつた日から一週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。この場合において、当該即時抗告が解散に係る代替許可の決定に対するものであるときは、執行停止の効力を有する。
12 第七項から前項までに規定するもののほか、代替許可に係る事件に関しては、非訟事件手続法(明治三十一年法律第十四号)第一編(第二条から第四条まで、第十五条、第十六条、第十八条第一項及び第二項並びに第二十条を除く。)の規定を準用する。

(代替許可に係る登記の特例)
第八十八条 前条第一項第一号若しくは第三号若しくは第二項第一号に掲げる事項又は同条第三項若しくは第四項に定める事項に係る代替許可があつた場合においては、当該事項に係る登記の申請書には、当該代替許可の決定書の謄本又は抄本を添付しなければならない。

(債権者保護手続の特例)
第八十九条 銀行等又は株式会社商工組合中央金庫である被管理金融機関が資本金の額の減少の決議をした場合においては、預金者その他政令で定める債権者に対する会社法第四百四十九条第二項の規定による催告は、することを要しない。

(管理の終了)
第九十条 金融整理管財人は、管理を命ずる処分の日から一年以内に、被管理金融機関の事業の譲渡その他の措置を講ずることにより、その管理を終えるものとする。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に当該管理を終えることができない場合には、内閣総理大臣の承認を得て、一年を限り、この期限を延長することができる。

第六章 破綻した金融機関の業務承継

(承継銀行の設立の決定)
第九十一条 内閣総理大臣は、被管理金融機関の業務承継(承継銀行が事業の譲受け等により業務を引き継ぎ、かつ、その業務を暫定的に維持継続することをいう。以下この章において同じ。)のため承継銀行を活用する必要があると認めるときは、次に掲げる決定を行うことができる。
 一 機構が被管理金融機関から業務を引き継ぐため事業の譲受け等を行う承継銀行を子会社として設立する旨の決定
 二 承継銀行が被管理金融機関から業務を引き継ぐため事業の譲受け等を行うべき旨の決定

2 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、前項の決定を取り消し、又は変更する決定を行うことができる。
3 金融整理管財人は、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に第一項又は前項の規定による決定を行うことを求めることができる。

(承継銀行の設立等)
第九十二条 機構は、前条第一項又は第二項の規定による同条第一項第一号に掲げる決定があつたときは、当該決定に係る出資の内容について委員会の議決を経て、承継銀行となる株式会社の設立の発起人となり、及び当該設立の発起人となつた株式会社を子会社として設立するための出資をしなければならない。
2 機構は、前項に規定する場合のほか、承継銀行に対する出資を行おうとするときは、委員会の議決を経なければならない。
3 機構は、前二項に規定する出資をしたときは、速やかに、その内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(承継資産の確認)
第九十三条 第九十一条第一項又は第二項の規定による同条第一項第二号に掲げる決定があつたときは、当該被管理金融機関の金融整理管財人は、同項の業務承継により承継銀行が引き継ぐべき当該被管理金融機関の貸付債権その他の資産を選定し、内閣総理大臣に対し、これらが承継銀行の保有する資産として適当であることの確認を求めるものとする。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による求めがあつたときは、円滑な業務承継を図る観点及び承継銀行の業務の健全かつ適切な運営を図る観点から、同項の確認を行うものとする。
3 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の確認を行うための基準をあらかじめ定め、これを公表しなければならない。
4 前項の基準は、第二項の確認の対象となる債権に係る債務者の債務の履行状況に関する基準を含むものでなければならない。

(承継銀行の経営管理)
第九十四条 機構は、承継銀行が次に掲げる事項を適確に実施できるようその経営管理を行わなければならない。
 一 第九十一条第一項又は第二項の規定による同条第一項第二号に掲げる決定があつたときは、当該決定の対象とされた被管理金融機関から業務を引き継ぐため事業の譲受け等を行うこと。
 二 前条第二項の規定により承継銀行が保有する資産として適当であることの確認がされた資産を引き継ぐこと。
 三 預金等の受払事務、資金の貸付けその他の業務の実施に際しては、次項に規定する指針に従うこと。
2 機構は、承継銀行の預金等の受払事務、資金の貸付けその他の業務についての指針を次に定めるところにより作成し、内閣総理大臣の承認を受けた後、公表しなければならない。
 一 当該指針は、預金等の受払事務、資金の貸付けその他の業務の暫定的な維持継続を図るという承継銀行の目的を踏まえ、前条第三項に規定する基準との整合性に配慮しつつ、承継銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保する観点に立つて作成されるものであること。
 二 当該指針は、承継銀行が資金の貸付けその他の業務のうち機構の指定する取引について機構の承認を受けて行うことを内容として含むものであること。
3 機構は、承継銀行に対し、その経営に必要な指導及び助言を行うことができる。

(事業譲渡等の承認を要しない場合)
第九十五条 会社法第四百六十七条第一項(第五号に係る部分に限る。)の規定は、機構が承継銀行の発行済株式の全部を所有する場合における第九十三条第二項の規定による確認がされた資産については、適用しない。

(経営管理の終了等)
第九十六条 機構は、承継銀行が最初に業務を引き継いだ被管理金融機関に対する管理を命ずる処分の日から二年以内に、次に掲げる措置を講ずることにより当該承継銀行の経営管理を終えるものとする。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に当該経営管理を終えることができない場合には、一年を限り、この期限を延長することができる。
 一 当該承継銀行の合併(当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人が機構の子会社でないものに限る。)
 二 当該承継銀行の事業の全部の譲渡
 三 当該承継銀行の株式の譲渡(当該譲渡により当該承継銀行が機構の子会社でなくなるものに限る。)
 四 株主総会の決議による当該承継銀行の解散
2 機構は、前項本文の規定による経営管理の終了又は同項ただし書の規定による期限の延長をしようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
3 機構は、第一項の規定により承継銀行の経営管理を終了したとき又は承継銀行(承継銀行であつた銀行を含む。)の株式の譲渡その他の処分(同項第三号に掲げるものを除く。)を行つたときは、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(承継協定)
第九十七条 機構は、承継銀行と次に掲げる事項を含む協定(以下この章において「承継協定」という。)を締結するものとする。
 一 承継協定を締結した承継銀行(以下「協定承継銀行」という。)は、第九十四条第一項各号に掲げる事項を実施すること。
 二 協定承継銀行は、機構が当該協定承継銀行の資産の買取りを行うことを機構に申し込むことができること。
 三 協定承継銀行は、次条第一項に規定する債務の保証の対象となる資金の借入れに関する契約の締結をしようとするときは、当該締結をしようとする契約の内容について機構の承認を受けること。
2 機構は、承継協定を締結したときは、直ちに、その承継協定の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(資金の貸付け及び債務の保証)
第九十八条 機構は、協定承継銀行から、協定承継銀行の業務の円滑な実施のために必要とする資金について、その資金の貸付け又は協定承継銀行によるその資金の借入れに係る債務の保証の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議決を経て、当該貸付け又は債務の保証を行うことができる。
2 機構は、前項の規定により協定承継銀行との間で同項の貸付け又は債務の保証に係る契約を締結したときは、直ちに、その契約内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(損失の補てん)
第九十九条 機構は、承継協定の定めによる業務の実施により協定承継銀行に生じた損失の額として政令で定めるところにより計算した金額があるときは、委員会の議決を経て、当該金額の範囲内において、当該損失の補てんを行うことができる。

(報告の徴求)
第百条 機構は、この章の規定による業務を行うため必要があるときは、承継銀行に対し、承継協定の実施又は財務の状況に関し報告を求めることができる。

(再承継金融機関等に対する資金援助)
第百一条 再承継を行う金融機関で承継銀行でない者(以下この条において「再承継金融機関」という。)又は再承継を行う銀行持株会社等(以下この条において「再承継銀行持株会社等」という。)は、機構が、再承継を援助するため、資金援助(第五十九条第一項第三号、第六号又は第七号に掲げるものに限る。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
2 前項の「再承継」とは、次に掲げるものをいう。
 一 承継銀行と合併する金融機関が存続する合併
 二 承継銀行と他の金融機関が合併して金融機関を設立する合併
 三 承継銀行がその事業の全部(当該承継銀行の資産の一部を機構が買い取る場合にあつては、その買い取られる資産に係る部分を除く。)を他の金融機関に譲渡するもの
 四 承継銀行の株式の他の金融機関又は銀行持株会社等による取得で当該承継銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な事項として内閣総理大臣及び財務大臣が定めるものを実施するために行うもの
3 第一項の規定による資産の買取りは、次の各号に掲げる再承継の区分に応じ、当該各号に定める資産について行うものとする。
 一 前項第一号に掲げる合併 当該合併により存続する金融機関の資産(当該合併前に承継銀行の資産であつたものに限る。)
 二 前項第二号に掲げる合併 当該合併により設立される金融機関の資産(当該合併前に承継銀行の資産であつたものに限る。)
 三 前項第三号に掲げる事業の譲渡 同号の他の金融機関の資産で当該事業の譲渡により譲り受けたもの
 四 前項第四号に掲げる株式の取得 当該株式の取得をされた銀行の資産
4 第一項の規定による損害担保は、前項各号に掲げる再承継の区分に応じ、当該各号に定める資産である貸付債権について行うものとする。
5 第五十九条第三項、第六項及び第七項並びに第六十一条第一項の規定は第一項の規定による申込みについて、同条第二項から第四項まで及び第六項から第八項までの規定はこの項において準用する同条第一項の認定について、それぞれ準用する。この場合において、第五十九条第三項中「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、第六十一条中「合併等」とあるのは「再承継」と、「破綻金融機関」とあるのは「承継銀行」と、「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、「救済銀行持株会社等」とあるのは「再承継銀行持株会社等」と読み替えるものとする。
6 内閣総理大臣は、前項において準用する第六十一条第二項の申請が行われない場合においても、承継銀行が前項において準用する同条第三項第三号に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該承継銀行及び他の金融機関又は当該承継銀行及び銀行持株会社等に対し、書面により、再承継(第二項第二号に掲げる合併を除くものとし、当該再承継が行われることが預金者等その他の債権者の保護に資するものであり、、かつ、機構による資金援助が行われることが当該再承継を行うために不可欠であるものに限る。)のあつせんを行うことができる。
7 第六十二条第二項及び第四項から第六項までの規定は前項のあつせんについて、第六十四条(第二項を除く。)及び第六十四条の二の規定は第一項の規定による申込みについて、第六十五条及び第六十六条の規定は第五項において準用する第六十一条第一項の認定又は前項のあつせんを受けた金融機関又は銀行持株会社等について、第六十七条の規定は再承継金融機関について、第六十八条の規定は再承継のための機構による資金援助について、第六十八条の二及び第六十八条の三の規定は当該資金援助(優先株式等の引受け等に係るものに限る。)を受けた再承継金融機関(当該優先株式等の引受け等に係る合併により設立された金融機関を含む。)又は再承継銀行持株会社等(この項において準用する第六十八条の二第一項の承認を受けた場合におけるこの項において準用する同条第二項に規定する会社及びこの項において準用する第六十八条の三第一項の承認を受けた場合におけるこの項において準用する同条第四項に規定する承継金融機関等を含む。)について、それぞれ準用する。この場合において、第六十二条第二項中「第五十九条第一項又は第五十九条の二第一項」とあるのは「第百一条第一項」と、同条第四項中「第四項から第七項まで」とあるのは「第四項、第六項及び第七項」と、同条第五項中「破綻金融機関又は破綻金融機関となる蓋然性が高いと認められる金融機関」とあるのは「承継銀行」と、第六十四条第三項及び第五項中「合併等」とあるのは「再承継」と、第六十四条の二第一項及び第二項中「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、「救済銀行持株会社等」とあるのは「再承継銀行持株会社等」と、同項中「合併等」とあるのは「再承継」と、同条第四項中「合併等(同条第二項第二号」とあるのは「再承継(第百一条第二項第二号」と、「当該合併等」とあるのは「当該再承継」と、同条第五項中「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、「救済銀行持株会社等」とあるのは「再承継銀行持株会社等」と、第六十五条及び第六十八条中「合併等」とあるのは「再承継」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第六章の二 金融機関の特定回収困難債権の買取り

第百一条の二 機構は、金融機関の財務内容の健全性の確保を通じて信用秩序の維持に資するため、金融機関(破綻金融機関、承継銀行及び第百十一条第二項に規定する特別危機管理銀行を除く。以下この条において同じ。)が保有する貸付債権又はこれに類する資産として内閣府令・財務省令で定める資産(以下この項において単に「貸付債権」という。)のうち、当該貸付債権の債務者又は保証人が暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員をいう。)であつて当該貸付債権に係る契約が遵守されないおそれがあること、当該貸付債権に係る担保不動産につきその競売への参加を阻害する要因となる行為が行われることが見込まれることその他の金融機関が回収のために通常行うべき必要な措置をとることが困難となるおそれがある特段の事情があるもの(以下「特定回収困難債権」という。)の買取りを行うことができる。
2 機構は、前項の規定による特定回収困難債権の買取りを行う場合には、内閣総理大臣及び財務大臣があらかじめ定めて公表する基準に従わなければならない。
3 機構は、金融機関から特定回収困難債権の買取りに係る申込みがあつたときは、遅滞なく、委員会の議決を経て、当該申込みに係る特定回収困難債権の買取りを行うかどうかを決定しなければならない。
4 機構は、前項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
5 機構は、第三項の規定による特定回収困難債権の買取りを行う旨の決定をしたときは、当該金融機関との間で当該特定回収困難債権の買取りに関する契約を締結するものとする。

第七章 金融危機への対応

(金融危機に対応するための措置の必要性の認定)
第百二条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる金融機関について当該各号に定める措置が講ぜられなければ、我が国又は当該金融機関が業務を行つている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、金融危機対応会議(以下この章において「会議」という。)の議を経て、当該措置を講ずる必要がある旨の認定(以下この章において「認定」という。)を行うことができる。
 一 金融機関(次号に掲げる金融機関を除く。) 当該金融機関の自己資本の充実のために行う機構による当該金融機関に対する株式等の引受け等又は当該金融機関を子会社(銀行法第二条第八項に規定する子会社又は長期信用銀行法第十三条の二第二項に規定する子会社をいう。以下第百八条の三までにおいて同じ。)とする銀行持株会社等(第二条第五項第一号又は第三号に掲げるものに限る。以下第百八条の三までにおいて同じ。)が発行する株式の引受け(以下この章において「第一号措置」という。)
 二 破綻金融機関又はその財産をもつて債務を完済することができない金融機関 当該金融機関の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用の額を超えると見込まれる額の資金援助(以下この章において「第二号措置」という。)
 三 破綻金融機関に該当する銀行等であつて、その財産をもつて債務を完済することができないもの 第百十一条から第百十九条までの規定に定める措置(以下この章において「第三号措置」という。)
2 内閣総理大臣は、労働金庫又は労働金庫連合会に対して認定を行おうとするときは、あらかじめ、厚生労働大臣の意見を、株式会社商工組合中央金庫に対して認定を行おうとするときは、あらかじめ、経済産業大臣の意見を、それぞれ聴かなければならない。
3 第三号措置に係る認定は、第二号措置によつては第一項の支障を回避することができないと認める場合でなければ、行うことができない。
4 内閣総理大臣は、第一号措置に係る認定を行うときは、当該認定に係る金融機関又は当該金融機関を子会社とする銀行持株会社等が第百五条第一項又は第二項の申込みを行うことができる期限を定めなければならない。
5 内閣総理大臣は、認定を行つたときは、その旨及び当該認定が第一号措置に係るものであるときは前項の規定により定めた期限を当該認定に係る金融機関、当該金融機関を子会社とする銀行持株会社等及び機構に通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。
6 内閣総理大臣は、認定を行つたときは、当該認定の内容を国会に報告しなければならない。

(第一号措置に係る認定の取消し)
第百三条 内閣総理大臣は、第一号措置に係る認定を行つた後、第百五条第四項の決定がされるまでの間に、当該認定に係る金融機関が前条第一項第二号に掲げる金融機関に該当することとなつたときは、会議の議を経て、当該認定を取り消すものとする。
2 前条第二項、第五項及び第六項の規定は、前項の規定による認定の取消しについて準用する。

(自己資本の充実のための措置を定めた計画の提出等)
第百四条 第一号措置に係る認定に係る金融機関は、当該金融機関及び当該金融機関を子会社とする銀行持株会社等が次条第一項又は第二項の申込みを行わないときは、内閣総理大臣に対し、第百二条第四項に規定する期限内に、第一号措置以外の方法による自己資本の充実のための措置を定めた計画を提出しなければならない。
2 内閣総理大臣は、前項の規定により同項の金融機関から提出を受けた計画を適当と認めるときは、会議の議を経て、当該金融機関に係る認定を取り消すものとする。
3 第百二条第二項、第五項及び第六項の規定は、前項の規定による認定の取消しについて準用する。
4 内閣総理大臣は、第一号措置に係る認定に係る金融機関及び当該金融機関を子会社とする銀行持株会社等が第百二条第四項に規定する期限内に次条第一項又は第二項の申込みを行わなかつた場合において、当該金融機関が当該期限内に第一項に規定する計画を提出しなかつたときは、当該認定を取り消すものとする。
5 内閣総理大臣は、第一項の規定により金融機関が提出した計画を適当と認めないときは、当該認定を取り消すものとする。
6 内閣総理大臣は、前二項の規定により第一号措置に係る認定を取り消すときは、あらかじめ、財務大臣の意見を聴かなければならない。
7 第百二条第二項、第五項及び第六項の規定は、第四項又は第五項の規定による第一号措置に係る認定の取消しについて準用する。
8 内閣総理大臣は、第四項又は第五項の規定により第一号措置に係る認定が取り消された場合において、当該取消しに係る金融機関がその財産をもつて債務を完済することができない事態が生ずるおそれがあるときは、第百二条第一項の規定にかかわらず、会議の議を経て、当該金融機関に対し、第二号措置に係る認定を行うことができる。
9 第百二条第二項、第五項及び第六項の規定は、前項の規定による第二号措置に係る認定について準用する。この場合において、同条第五項中「金融機関、当該金融機関を子会社とする銀行持株会社等」とあるのは、「金融機関」と読み替えるものとする。

(株式等の引受け等の決定)
第百五条 機構は、第一号措置に係る認定が行われた場合において、当該認定に係る金融機関から第百二条第四項の規定により定められた期限内に第一号措置(当該金融機関に対する株式等の引受け等に限る。以下この項において同じ。)に係る申込みを受けたときは、内閣総理大臣(当該金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。第三項から第六項まで、第百八条及び第百十条第一項において同じ。)に対し、当該金融機関と連名で、当該申込みに係る第一号措置を行うかどうかの決定を求めなければならない。
2 機構は、第一号措置に係る認定が行われた場合において、当該認定に係る金融機関を子会社とする銀行持株会社等から第百二条第四項の規定により定められた期限内に第一号措置(当該銀行持株会社等が発行する株式の引受けに限る。以下この項において同じ。)に係る申込みを受けたときは、内閣総理大臣に対し、当該銀行持株会社等と連名で、当該申込みに係る第一号措置を行うかどうかの決定を求めなければならない。
3 第一項の申込みを行つた金融機関又は前項の申込みを行つた銀行持株会社等の子会社である第一号措置に係る認定に係る金融機関(以下この章において「対象子会社」という。)は、内閣総理大臣に対し、経営の合理化のための方策、責任ある経営体制(銀行持株会社等が同項の申込みをした場合にあつては、当該銀行持株会社等の経営体制を含む。)の確立のための方策その他の政令で定める方策を定めた経営健全化計画(経営の健全化のための計画をいう。以下この章において同じ。)を提出しなければならない。この場合において、同項の申込みをする銀行持株会社等の対象子会社は、当該銀行持株会社等と連名で提出するものとする。
4 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、第一項又は第二項の申込みに係る第一号措置を行うべき旨の決定をするものとする。
 一 機構が第一号措置により取得する株式等(次に掲げるものを含む。)又は貸付債権の処分をすることが著しく困難であると認められる場合でないこと。
  イ 当該株式等が株式である場合にあつては、次に掲げる株式
   (1) 当該株式が他の種類の株式への転換(当該株式がその発行会社に取得され、その引換えに他の種類の株式が交付されることをいう。以下この章において同じ。)の請求が可能とされるものである場合にあつては、その請求により転換された他の種類の株式
   (2) 当該株式が一定の事由が生じたことを条件として転換されるものである場合にあつては、その事由が生じたことにより転換された他の種類の株式
   (3) 当該株式又は(1)若しくは(2)に掲げる他の種類の株式について分割され又は併合された株式
  ロ 当該株式等が劣後特約付社債である場合にあつては、当該劣後特約付社債に新株予約権が付されているときにその行使により交付された株式及びこれについて分割され又は併合された株式
  ハ 当該株式等が優先出資である場合にあつては、当該優先出資について分割された優先出資
 二 銀行持株会社等が第二項の申込みをしたときは、当該銀行持株会社等がその財産をもつて債務を完済することができない銀行持株会社等でないこと。
 三 経営健全化計画の確実な履行等を通じて、当該金融機関の次に掲げる方策の実行が見込まれること。
  イ 経営の合理化のための方策
  ロ 経営責任の明確化のための方策
  ハ 株主責任の明確化のための方策
5 内閣総理大臣は、前項の決定を行うときは、財務大臣の同意を得なければならない。ただし、当該決定が株式会社商工組合中央金庫に係るものである場合は、この限りでない。
6 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の決定を行つたときは、その旨を第一項の申込みをした金融機関又は第二項の申込みをした銀行持株会社等及び機構に通知しなければならない。
7 内閣総理大臣は、第一項又は第二項の申込みに係る第一号措置を行わない旨の決定がされたときは、直ちに、第一項の申込みをした金融機関又は第二項の申込みをした銀行持株会社等の対象子会社が受けた第一号措置に係る認定を取り消すものとする。
8 第百二条第二項、第五項及び第六項並びに前条第六項及び第八項の規定は前項の規定による第一号措置に係る認定の取消しについて、同条第九項の規定はこの項において準用する同条第八項の規定による第二号措置に係る認定について、それぞれ準用する。

(資本金の額の減少を行う場合の特例)
第百六条 内閣総理大臣は、前条第一項又は第二項の申込みがあつた場合(同条第一項の申込みがあつた場合にあつては、当該申込みが株式の引受けに係るものである場合に限る。)において、必要があると認めるときは、当該申込みに係る同条第四項の決定において、当該決定を受けた銀行等若しくは当該決定を受けた銀行持株会社等若しくはその対象子会社又は当該決定を受けた株式会社商工組合中央金庫の資本金の額の減少を当該株式の引受けの条件とすることができる。
2 第八十九条の規定は、前項の規定により資本金の額の減少を当該株式の引受けの条件とする前条第四項の決定がされた場合における当該資本金の額の減少について準用する。
3 第一項の規定により資本金の額の減少を当該株式の引受けの条件とする前条第四項の決定がされた場合において、当該決定を受けた銀行等若しくは当該決定を受けた銀行持株会社等若しくはその対象子会社又は当該決定を受けた株式会社商工組合中央金庫は、当該条件とされた資本金の額の減少についての株主総会又は種類株主総会の決議を得たとき又は得られなかつたときは、直ちに、内閣総理大臣に、その旨を報告し、かつ、当該株主総会の議事録その他政令で定める書面を提出し、あわせて、機構にその旨を通知しなければならない。
4 内閣総理大臣は、前項に規定する場合において、同項の条件とされた資本金の額の減少についての株主総会又は種類株主総会の決議を得られなかつたときは、当該銀行等若しくは対象子会社又は株式会社商工組合中央金庫について第一号措置に係る認定を取り消すとともに、当該銀行等若しくは銀行持株会社等又は株式会社商工組合中央金庫について前条第四項の決定を取り消すものとする。
5 第百二条第五項及び第六項並びに第百四条第六項及び第八項の規定は前項の規定による第一号措置に係る認定の取消しについて、同条第九項(第百二条第二項に係る部分を除く。)の規定はこの項において準用する第百四条第八項の規定による第二号措置に係る認定について、前条第六項の規定は前項の規定により同条第四項の決定を取り消したときについて、それぞれ準用する。
6 前条第四項の決定を受ける金融機関が株式会社商工組合中央金庫である場合における第一項及び第三項の規定の適用については、これらの規定中「内閣総理大臣」とあるのは、「内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣」とする。

(機構による株式等の引受け等)
第百七条 機構は、第百五条第四項の決定がされたときは、当該決定に従い、株式等の引受け等を行うものとする。
2 機構は、前項の規定に基づき株式等の引受け等を行つたときは、速やかに、その内容を内閣総理大臣及び財務大臣(当該株式等の発行者が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣とし、当該株式等の発行者が株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣及び財務大臣並びに経済産業大臣とする。)に報告しなければならない。
3 銀行持株会社等が第百五条第二項の申込みをした場合において、機構が、同条第四項の決定に従い、当該銀行持株会社等が発行する株式の引受けを行つたときは、当該銀行持株会社等は、遅滞なく、その対象子会社に対して株式等の引受け等(当該株式等の引受け等の額が当該株式の引受けの額を下回らないものに限る。)を行わなければならない。

(会社が発行する株式の総数の増加の制限の特例)
第百七条の二 第百五条第一項又は第二項の申込みが株式又は劣後特約付社債(新株予約権が付されているものに限る。以下この条において同じ。)の引受けである場合において、内閣総理大臣(当該株式又は劣後特約付社債の発行者が株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては、内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣)が当該申込みに係る同条第四項の決定を行つたときは、当該申込みをした金融機関又は銀行持株会社等の発行済株式の総数、当該発行済株式に係る転換の請求による転換又は一定の事由が生じたことを原因とする転換によつて増加すべき株式の数及び既に発行された新株予約権の行使による交付によつて増加すべき株式の数に、当該引受けに係る株式の数、当該引受けに係る株式の転換の請求による発行によつて増加すべき株式の数及び当該引受けに係る劣後特約付社債に付された新株予約権の行使による発行によつて増加すべき株式の数を加えた数(以下この項において「引受後株式総数」という。)が、当該発行済株式の総数の四倍を超えるときは、当該金融機関又は当該銀行持株会社等は、会社法第百十三条第三項の規定にかかわらず、第百五条第四項の決定に従つた株式又は劣後特約付社債の引受けが行われることを条件として、引受後株式総数の四倍に相当する数に達するまで当該金融機関又は当該銀行持株会社等が発行する株式の総数を増加させることができる。
2 前項の規定に基づき金融機関又は銀行持株会社等がその発行する株式の総数を増加させる場合における当該増加による変更の登記の申請書に関する商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第四十六条第二項の規定の適用については、同項中「その議事録」とあるのは、「その議事録及び預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第百五条第四項の決定に従つた株式又は劣後特約付社債の引受けを証する書面」とする。

(議決権制限株式の発行の特例)
第百七条の三 会社法第百十五条の規定の適用については、第一号措置に係る認定に係る金融機関又は当該金融機関を対象子会社とする銀行持株会社等が第百五条第四項の決定に従い発行する議決権制限株式(同法第百十五条に規定する議決権制限株式をいう。以下この条において同じ。)は、ないものとみなす。
2 前項の金融機関又は銀行持株会社等が第百五条第四項の決定に従い議決権制限株式を発行する場合には、当該議決権制限株式の発行による変更の登記においては、その旨をも登記しなければならない。
3 前項の場合における商業登記法第五十六条の規定の適用については、同条中「次の書面」とあるのは、「次の書面及び預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第百五条第四項の決定に従つた議決権制限株式の発行であることを証する書面」とする。

(優先出資の発行の特例)
第百七条の四 優先出資法第四条第二項の規定の適用については、第一号措置に係る認定に係る金融機関が第百五条第四項の決定に従い発行する優先出資は、ないものとみなす。
2 前項の金融機関が第百五条第四項の決定に従い優先出資を発行する場合には、当該優先出資の発行による変更の登記においては、政令で定めるところにより、その旨をも登記しなければならない。

(計画の公表等)
第百八条 内閣総理大臣は、第百五条第四項の決定をしたときは、同条第三項の規定により提出を受けた経営健全化計画を公表するものとする。ただし、信用秩序を損なうおそれのある事項、当該経営健全化計画を提出した金融機関(当該経営健全化計画を連名で提出した銀行持株会社等及びその子会社等(銀行法第五十二条の二十五(長期信用銀行法第十七条において準用する場合を含む。)に規定する子会社等である銀行等をいう。)を含む。以下この項において同じ。)の預金者等その他の取引者の秘密を害するおそれのある事項及び当該金融機関の業務の遂行に不当な不利益を与えるおそれのある事項については、この限りでない。
2 内閣総理大臣は、機構が取得株式等又は取得貸付債権(機構が第一号措置により取得した貸付債権をいう。以下この章において同じ。)の全部につきその処分をし、又は償還若しくは返済を受けるまでの間、当該第一号措置の認定に係る金融機関(第百五条第三項の規定により経営健全化計画を連名で提出した銀行持株会社等を含む。)に対し、同項の規定により提出を受けた経営健全化計画の履行状況につき報告を求め、これを公表することができる。
3 前項の「取得株式等」とは、次に掲げるものをいう。
 一 機構が第一号措置により取得した株式等(次に掲げるものを含む。)その他の政令で定める株式等
  イ 当該株式等が株式である場合にあつては、次に掲げる株式
   (1) 当該株式が他の種類の株式への転換の請求が可能とされるものである場合にあつては、その請求により転換された他の種類の株式
   (2) 当該株式が一定の事由が生じたことを条件として転換されるものである場合にあつては、その事由が生じたことにより転換された他の種類の株式
   (3) 当該株式又は(1)若しくは(2)に掲げる他の種類の株式について分割され又は併合された株式
  ロ 当該株式等が劣後特約付社債である場合にあつては、当該劣後特約付社債に新株予約権が付されているときにその行使により交付された株式及びこれについて分割され又は併合された株式
  ハ 当該株式等が優先出資である場合にあつては、当該優先出資について分割された優先出資
 二 機構が第一号措置により株式等の引受け等を行つた金融機関又は銀行持株会社等の株式交換又は株式移転により当該金融機関又は銀行持株会社等の株式交換完全親株式会社又は株式移転設立完全親会社となつた会社から機構が割当てを受けた株式(次に掲げるものを含む。)その他の政令で定める株式等
  イ 当該株式が他の種類の株式への転換の請求が可能とされるものである場合にあつては、その請求により転換された他の種類の株式
  ロ 当該株式が一定の事由が生じたことを条件として転換されるものである場合にあつては、その事由が生じたことにより転換された他の種類の株式
  ハ 当該株式又はイ若しくはロに掲げる他の種類の株式について分割され又は併合された株式

(第一号措置に係る株式交換等の認可)
第百八条の二 第百五条第四項の決定に従い機構が株式等の引受け等を行つた金融機関又は銀行持株会社等(この項の認可を受けた場合における次項第一号に規定する会社を含む。)であつて、機構が現に保有する取得株式等(前条第三項に規定する取得株式等をいう。以下この章において同じ。)である株式の発行者であるもの(以下この条及び次条において「発行金融機関等」という。)は、株式交換(当該発行金融機関等が株式交換完全子会社となるものに限る。)又は株式移転(以下この条において「株式交換等」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
2 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、前項の認可をするものとする。
 一 株式交換等により当該発行金融機関等の株式交換完全親株式会社又は株式移転設立完全親会社となる会社が銀行持株会社等(新たに設立されるものを含む。)であること。
 二 株式交換等により機構が割当てを受ける取得株式等となる株式の種類が当該株式交換等の前において機構が保有する取得株式等である株式の種類と同一のものと認められ、かつ、当該株式交換等の後において機構が保有する取得株式等である株式に係る議決権が前号に規定する会社の総株主の議決権に占める割合が、当該株式交換等の前において機構が保有する取得株式等である株式に係る議決権が当該発行金融機関等の総株主の議決権に占める割合と比べて著しく低下する場合でないこと。
 三 株式交換等により当該取得株式等である株式の処分をすることが困難になると認められる場合でないこと。
3 発行金融機関等が第一項の認可を受けて株式交換等を行つたときは、当該発行金融機関等又はその子会社であつて、第百五条第四項の決定に従い機構が株式等の引受け等を行つた金融機関又は同項の決定に従い機構が株式の引受けを行つた銀行持株会社等の対象子会社(次条第四項に規定する承継子会社を含む。)であるものは、その実施している経営健全化計画(第百五条第三項の規定、この項の規定又は次条第四項において準用する同条第三項の規定により提出したものをいう。)に代えて、当該経営健全化計画に記載された方策(当該経営健全化計画を連名で提出した銀行持株会社等の経営体制に係る部分を除く。)のほか、当該株式交換等により当該発行金融機関等の株式交換完全親株式会社又は株式移転設立完全親会社となつた会社における責任ある経営体制の確立のための方策その他の政令で定める方策を記載した経営健全化計画を、当該株式交換等により当該発行金融機関等の株式交換完全親株式会社又は株式移転設立完全親会社となつた会社と連名で、内閣総理大臣に提出しなければならない。
4 前条の規定は、内閣総理大臣が前項の規定により提出を受けた経営健全化計画について準用する。この場合において、同条第二項中「金融機関(第百五条第三項の規定により」とあるのは、「経営健全化計画を第百八条の二第三項の規定により提出した金融機関(当該」と読み替えるものとする。

(第一号措置に係る組織再編成の認可)
第百八条の三 第百五条第四項の決定に従い機構が株式等の引受け等を行つた金融機関(この項の認可を受けた場合における次項第一号に規定する承継金融機関を含む。)であつて機構が現に保有する取得株式等又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者であるもの(以下この条において「対象金融機関」という。)は、合併、会社分割、会社の分割による事業の承継又は事業譲渡等(以下この条において「組織再編成」という。)を行おうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣(当該対象金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。次項及び第百五十一条第一項において同じ。)の認可を受けなければならない。
2 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、前項の認可をするものとする。
 一 組織再編成の後において機構が保有する取得株式等又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者となる法人が当該対象金融機関であること又は当該対象金融機関が実施している経営健全化計画(第百五条第三項又は次項の規定により提出したものをいう。)に係る事業(以下この項において「経営健全化関連業務」という。)の全部を承継する他の金融機関(新たに設立されるものを含む。以下この条において「承継金融機関」という。)であること。
 二 組織再編成により当該対象金融機関(承継金融機関を含む。)の経営の健全化が阻害されないこと。
 三 経営健全化関連業務の承継が行われるときは、当該承継が円滑かつ適切に行われる見込みが確実であること。
 四 組織再編成により当該取得株式等又は取得貸付債権につき、その処分をし、又は償還若しくは返済を受けることが困難になると認められる場合でないこと。
 五 その他政令で定める要件
3 対象金融機関が第一項の認可を受けて組織再編成を行つた場合において、当該組織再編成に係る承継金融機関があるときは、当該承継金融機関は、経営の合理化のための方策、責任ある経営体制の確立のための方策その他の政令で定める方策を定めた経営健全化計画を内閣総理大臣(当該承継金融機関が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。第八項において同じ。)に提出しなければならない。
4 前三項の規定は、第百五条第四項の決定に従い機構が株式の引受けを行つた銀行持株会社等の対象子会社又は同項の決定に従い機構が株式等の引受け等を行つた金融機関(承継金融機関を含む。)であつて当該金融機関が行う株式交換若しくは株式移転により対象金融機関でなくなつたもの(承継子会社(この項において準用する第二項第一号に規定する他の金融機関をいう。以下この条において同じ。)を含む。以下この条において「対象子会社等」という。)のうち、経営健全化計画(第百五条第三項の規定、前条第三項(第八項において準用する場合を含む。)の規定、この項において準用する前項の規定又は第七項の規定により提出したものをいう。)を実施しているものについて準用する。この場合において、第一項中「合併、会社分割」とあるのは「機構が当該経営健全化計画に係る第百五条第四項の決定に従い株式等の引受け等を行つた金融機関又は銀行持株会社等に係る取得株式等又は取得貸付債権の全部につきその処分をし、又は償還若しくは返済を受けるまでの間、合併、会社分割」と、第二項中「組織再編成の後において機構が保有する取得株式等又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者となる法人が当該対象金融機関であること又は当該対象金融機関が実施している経営健全化計画(第百五条第三項又は次項の規定により提出したものをいう。)に係る事業」とあるのは「当該経営健全化計画を当該対象子会社等と連名で提出した銀行持株会社等が、当該対象子会社等又は組織再編成の後において当該経営健全化計画に係る事業」と、「以下この条において「承継金融機関」という。)であること」とあるのは「)を子会社とする銀行持株会社等であること」と、「承継金融機関を含む」とあるのは「承継子会社を含む」と、前項中「承継金融機関」とあるのは「承継子会社」と、「経営の合理化のための方策」とあるのは「第二項第一号に規定する銀行持株会社等と連名で、経営の合理化のための方策」と読み替えるものとする。
5 対象金融機関以外の発行金融機関等(この項の認可を受けた場合における次項第一号に規定する他の銀行持株会社等又は第八項において準用する前条第一項の認可を受けた場合における第八項において準用する同条第二項第一号に規定する会社であつて、機構が現に保有する取得株式等である株式の発行者であるもの(以下この条において「組織再編成後発行銀行持株会社等」という。)を含む。次項において同じ。)は、組織再編成を行おうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
6 内閣総理大臣は、次に掲げる要件のすべてに該当する場合に限り、前項の認可をするものとする。
 一 組織再編成の後において機構が保有する取得株式等である株式の発行者となる会社が当該発行金融機関等であること又は当該発行金融機関等に係る対象子会社等を子会社とする他の銀行持株会社等(新たに設立されるものを含む。)であること。
 二 組織再編成により当該発行金融機関等(前号に規定する他の銀行持株会社等を含む。)による当該発行金融機関等に係る対象子会社等の経営管理が阻害されないこと。
 三 組織再編成により当該取得株式等である株式の処分をすることが困難になると認められる場合でないこと。
 四 その他政令で定める要件
7 対象金融機関以外の発行金融機関等又は組織再編成後発行銀行持株会社等が第五項の認可を受けて組織再編成を行つた場合において、前項第一号に規定する他の銀行持株会社等があるときは、当該発行金融機関等又は組織再編成後発行銀行持株会社等に係る対象子会社等は、その実施している経営健全化計画(第四項に規定する経営健全化計画をいう。)に代えて、当該経営健全化計画に記載された方策(当該経営健全化計画を連名で提出した銀行持株会社等の経営体制に係る部分を除く。)のほか、当該他の銀行持株会社等における責任ある経営体制の確立のための方策その他の政令で定める方策を記載した経営健全化計画を、当該他の銀行持株会社等と連名で、内閣総理大臣に提出しなければならない。
8 第百八条第一項の規定は内閣総理大臣が第三項(第四項において準用する場合を含む。)又は前項の規定により提出を受けた経営健全化計画について、同条第二項の規定はこれらの経営健全化計画を提出した金融機関(これらの経営健全化計画を連名で提出した銀行持株会社等を含む。)について、前条の規定は承継金融機関であつて機構が現に保有する取得株式等である株式の発行者であるもの又は組織再編成後発行銀行持株会社等について、それぞれ準用する。この場合において、同条第三項中「第百五条第四項の決定に従い機構が株式等の引受け等を行つた金融機関又は同項の決定に従い機構が株式の引受けを行つた銀行持株会社等の対象子会社(次条第四項に規定する承継子会社を含む。)」とあるのは「対象子会社等」と、「第百五条第三項の規定、この項の規定又は次条第四項において準用する同条第三項の規定により提出したもの」とあるのは「第百八条の三第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定、同条第七項の規定又は同条第八項において準用する第百八条の二第三項の規定により提出したもの」と読み替えるものとする。

(取得株式等又は取得貸付債権の処分)
第百九条 機構は、取得株式等若しくは取得貸付債権について譲渡その他の処分を行おうとするときは、内閣総理大臣及び財務大臣(当該取得株式等又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者が労働金庫又は労働金庫連合会である場合にあつては内閣総理大臣及び財務大臣並びに厚生労働大臣とし、当該取得株式等又は取得貸付債権に係る発行者又は債務者が株式会社商工組合中央金庫である場合にあつては内閣総理大臣及び財務大臣並びに経済産業大臣とする。次項において同じ。)の承認を受けなければならない。
2 機構は、前項の処分を行つたときは、速やかに、その内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(管理を命ずる処分及び資金援助の特例)
第百十条 内閣総理大臣は、第百二条第一項又は第百四条第八項(第百五条第八項及び第百六条第五項において準用する場合を含む。)の規定による第二号措置に係る認定が行われた場合には、第七十四条第一項及び第二項の規定にかかわらず、直ちに、当該認定に係る金融機関に対し、管理を命ずる処分をするものとする。
2 前項の規定による管理を命ずる処分があつた場合におけるこの法律の適用については、当該処分を受けた金融機関(破綻金融機関を除く。)は、破綻金融機関とみなす。
3 第六十四条第二項の規定は、第一項の規定により管理を命ずる処分を受けた金融機関を破綻金融機関として行う合併等に係る資金援助について同条第一項の委員会の議決を行う場合には、適用しない。この場合において、委員会は、当該資金援助が当該金融機関の財務の状況に照らし当該資金援助に係る合併等が行われるために必要な範囲を超えていないと認めるときは、当該資金援助を行う旨の決議をすることができる。

(特別危機管理銀行の株式の取得の決定)
第百十一条 内閣総理大臣は、第三号措置に係る認定と同時に、機構が当該認定に係る銀行等の株式を取得することの決定(次項において「特別危機管理開始決定」という。)をするものとする。
2 内閣総理大臣は、特別危機管理開始決定をしたときは、その旨を機構及び当該特別危機管理開始決定を受けた銀行等(以下「特別危機管理銀行」という。)に通知するとともに、官報により、これを公告しなければならない。

(株式の取得等)
第百十二条 前条第二項の規定による公告があつた場合には、特別危機管理銀行の株式は、当該公告があつた時(以下この章において「公告時」という。)に、機構が取得する。
2 前項の規定により機構が取得した株式に係る株券は、公告時において無効とする。
3 第一項の規定による株式の取得については、会社法第百二十八条第一項本文及び第百三十条第一項の規定は、適用しない。
4 第一項の規定により機構が取得した株式を目的とする質権その他の担保権は、公告時において消滅する。
5 特別危機管理銀行が会社法第百八条第二項(第九号に係る部分に限る。)の定款の定めをしているときは、当該定めは、公告時において廃止されたものとみなす。

(特別危機管理銀行の財務の公表)
第百十三条 内閣総理大臣は、第百十一条第二項の公告をしたときは、内閣府令・財務省令で定めるところにより、公告時における特別危機管理銀行の資産及び負債の状況を公表するものとする。

(特別危機管理銀行の役員等の選任及び解任の特例)
第百十四条 機構は、会社法第三百二十九条第一項及び第四百二条第二項の規定にかかわらず、内閣総理大臣の指名に基づき、特別危機管理銀行の取締役、執行役、会計参与、監査役及び会計監査人を選任することができる。この場合において、特別危機管理銀行の取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人の変更の登記の申請書には、指名及び選任を証する書面を添付しなければならない。
2 機構は、会社法第三百三十九条第一項及び第四百三条第一項の規定にかかわらず、内閣総理大臣の承認を得て、特別危機管理銀行の取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人を解任することができる。
3 第一項の規定による選任又は前項の規定による解任があつたときは、会社法第三百二十九条第一項若しくは第三百三十九条第一項に規定する株主総会の決議又は同法第四百二条第二項若しくは第四百三条第一項に規定する取締役会の決議があつたものとみなす。

(報告又は資料の提出等)
第百十五条 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、特別危機管理銀行及び特別危機管理銀行を所属金融機関とする金融機関代理業者に対し、その業務及び財産の状況等に関し報告若しくは資料の提出を求め、又はその経営に関する計画の作成及び提出その他必要な措置を命ずることができる。

(特別危機管理銀行の経営者等の破綻の責任を明確にするための措置)
第百十六条 特別危機管理銀行は、その取締役、執行役、会計参与、監査役若しくは会計監査人又はこれらの者であつた者の職務上の義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため、訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。
2 特別危機管理銀行の取締役、執行役、会計参与、監査役及び会計監査人は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発に向けて所要の措置をとらなければならない。

(債権者保護手続の特例)
第百十七条 第八十九条の規定は、特別危機管理銀行が資本金の額の減少の決議をした場合について準用する。

(特別危機管理銀行に係る資金援助の特例)
第百十八条 特別危機管理銀行を破綻金融機関とする合併等(第五十九条第二項第一号、第二号及び第四号に掲げるものに限る。第五項において同じ。)を行う救済金融機関又は救済銀行持株会社等は、同条第一項の規定にかかわらず、当該特別危機管理銀行と連名で、機構が当該特別危機管理銀行に対して資金援助(同項第一号に掲げるものに限る。第三項から第五項までにおいて同じ。)を行うことを機構に申し込むことができる。
2 第五十九条第六項及び第七項並びに第六十一条第一項の規定は前項の規定による申込みについて、同条第二項、第三項及び第六項から第八項までの規定はこの項において準用する同条第一項の認定について、それぞれ準用する。この場合において、同条第一項から第三項まで及び第八項中「破綻金融機関」とあるのは、「特別危機管理銀行」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 内閣総理大臣は、前項において準用する第六十一条第二項の申請が行われない場合においても、特別危機管理銀行が前項において準用する同条第三項第三号に掲げる要件に該当すると認めるときは、当該特別危機管理銀行及び他の金融機関又は当該特別危機管理銀行及び銀行持株会社等に対し、書面により、合併等(第五十九条第二項第一号及び第四号に掲げるものに限るものとし、当該合併等が行われることが預金者等その他の債権者の保護に資するものであり、かつ、機構による資金援助が行われることが当該合併等を行うために不可欠であるものに限る。)のあつせんを行うことができる。
4 第六十二条第二項及び第四項から第六項までの規定は前項のあつせんについて、第六十四条(第二項及び第五項を除く。)の規定は第一項の規定による申込みについて、第六十五条及び第六十六条の規定は第二項において準用する第六十一条第一項の認定又は前項のあつせんを受けた金融機関又は銀行持株会社等について、第六十八条の規定は第一項の資金援助について、それぞれ準用する。この場合において、第六十二条第二項中「第五十九条第一項又は第五十九条の二第一項」とあるのは「第百十八条第一項」と、同条第四項から第六項までの規定中「第一項」とあるのは「第百十八条第三項」と、同条第四項中「第四項から第七項まで」とあるのは「第六項及び第七項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
5 委員会は、第一項に規定する申込みに係る資金援助について前項において準用する第六十四条第一項の議決を行う場合において、当該資金援助が特別危機管理銀行の財務の状況に照らし当該資金援助に係る合併等が行われるために必要な範囲を超えていないと認めるときは、当該資金援助を行う旨の決議をすることができる。

第百十九条 第百十条第三項の規定は、第五十九条第一項の規定による申込みに係る特別危機管理銀行を破綻金融機関として行う合併等に係る資金援助について準用する。

(第三号措置の終了)
第百二十条 内閣総理大臣は、できる限り早期に、機構又は特別危機管理銀行に次に掲げる措置を講じさせることにより、第三号措置を終えるものとする。
 一 当該特別危機管理銀行と合併する金融機関が存続する合併(当該合併後に存続する法人が機構の子会社でないものに限る。)
 二 当該特別危機管理銀行と他の金融機関が合併して金融機関を設立する合併(当該合併により設立された法人が機構の子会社でないものに限る。)
 三 当該特別危機管理銀行の事業の譲渡
 四 当該特別危機管理銀行の株式の譲渡(当該譲渡により当該特別危機管理銀行が機構の子会社でなくなるものに限る。)
2 特別危機管理銀行は、前項第一号から第三号までに掲げる措置を講ずるときは、内閣総理大臣にその旨を報告し、あわせて、機構にその旨を通知しなければならない。
3 機構は、前項の規定による通知を受けたときは、直ちに、その旨を財務大臣に報告しなければならない。
4 機構は、第一項第四号に掲げる措置を講じたときは、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(危機対応勘定)
第百二十一条 機構は、第百十条第三項(第百十九条において準用する場合を含む。)又は第百十八条第五項の規定による決議に係る資金援助を行うときは、第四十条の二第二号に掲げる業務(以下「危機対応業務」という。)に係る勘定(以下「危機対応勘定」という。)から、当該資金援助に要すると見込まれる費用から当該資金援助に係る金融機関の保険事故につき保険金の支払を行うときに要すると見込まれる費用を控除した残額に相当する金額を、一般勘定に繰り入れるものとする。
2 前項の規定による危機対応勘定から一般勘定への繰入れは、危機対応業務とみなす。

(負担金の納付等)
第百二十二条 金融機関は、次条第四項(第百二十四条第三項において準用する場合を含む。)の規定による公告がされたときは、当該公告において定められた期間、機構の危機対応業務の実施に要した費用に充てるため、機構に対し、負担金を納付しなければならない。
2 前項の公告がされたときは、金融機関は、当該公告において定められた期間に含まれる各事業年度の末日までに、機構に対し、内閣府令・財務省令で定める書類を提出して、負担金を納付するものとする。
3 第一項の負担金の額は、各金融機関につき、当該負担金を納付すべき日を含む事業年度の直前の事業年度の末日における負債(内閣府令・財務省令で定めるものを除く。)の額の合計額を十二で除し、これに当該負担金を納付すべき日を含む事業年度の月数を乗じて計算した金額に、次条第二項の規定により定められた負担率を乗じて計算した金額とする。
4 第五十条第二項及び第五十二条の規定は、第一項の負担金について準用する。

(負担金に係る決定)
第百二十三条 機構は、毎事業年度、当該事業年度における危機対応勘定の収支につき、次に掲げる事項を、当該事業年度の終了後三月以内に、内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
 一 第百二十一条第一項の規定により危機対応勘定から一般勘定に繰り入れた金額
 二 取得株式等又は取得貸付債権につきその取得価額を下回る金額で譲渡したことその他の事由により生じた損失の金額
 三 取得株式等又は取得貸付債権につきその取得価額を上回る金額で譲渡したことその他の事由により生じた利益の金額
 四 収納した負担金の金額
 五 その他政令で定める事項

2 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の報告を受けた場合において、必要があると認めるときは、当該報告を受けた時(以下この項において「報告時」という。)の属する事業年度以後の各事業年度において前条第一項の規定により金融機関が納付すべき負担金(以下「負担金」という。)に係る負担率及び納付期間を定めなければならない。ただし、当該報告時の属する事業年度前の事業年度において、当該報告時の属する事業年度以後の各事業年度における負担金に係る負担率及び納付期間が定められているときは、当該負担率及び納付期間を変更する方法により当該報告時の属する事業年度以後の各事業年度における負担金に係る負担率及び納付期間を定めるものとする。
3 負担率及び納付期間は、次に掲げる事項を勘案し、危機対応勘定の欠損金が負担金で賄われるように、かつ、特定の金融機関に対し差別的取扱いをしないように定めなければならない。
 一 第一項の報告に係る事業年度における同項各号に掲げる事項
 二 金融機関の財務の状況
4 内閣総理大臣及び財務大臣は、第二項の規定により負担率及び納付期間を定めたときは、官報により、これを公告しなければならない。
5 内閣総理大臣及び財務大臣は、第二項の規定により負担率及び納付期間を定めるため必要があると認めるときは、機構に対し、意見の陳述、報告又は資料の提出を求めることができる。

(負担率等の変更)
第百二十四条 機構は、その借入金の金利の変動、次条第一項の規定による政府の補助その他の事由(前条第一項各号に掲げる事項に係るものを除く。)により、負担金に過不足が生ずることが明らかとなつた場合には、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の報告に係る負担金の過不足を調整するために必要な限度で、前条第二項の規定により定められた負担率及び納付期間を変更することができる。
3 前条第四項及び第五項の規定は、前項の規定により内閣総理大臣及び財務大臣が負担率及び納付期間を変更する場合について準用する。

(政府の補助)
第百二十五条 政府は、負担金のみで危機対応業務に係る費用を賄うとしたならば、金融機関の財務の状況を著しく悪化させ、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるときに限り、予算で定める金額の範囲内において、機構に対し、当該業務に要する費用の一部を補助することができる。
2 機構は、負担金が納付されない事業年度(前項の規定により政府の補助を受けた日を含む事業年度の後の事業年度に限る。)において、危機対応勘定に損益計算上の利益金として内閣府令・財務省令で定めるところにより計算した金額があるときは、当該金額を、前項の規定により既に政府の補助を受けた金額の合計額からこの項の規定により既に国庫に納付した金額を控除した金額までを限り、国庫に納付しなければならない。
3 前項の規定による納付金に関し、納付の手続その他必要な事項は、政令で定める。

(借入金及び機構債等)
第百二十六条 機構は、危機対応業務を行うため必要があると認めるときは、政令で定める金額の範囲内において、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、日本銀行、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をし、又は機構債等の発行(機構債等の借換えのための発行を含む。)をすることができる。
2 第四十二条第四項及び第四十二条の二の規定は、前項の規定により機構が資金の借入れ又は機構債等の発行をする場合について準用する。
3 第一項の規定により発行される機構債等については、これを第四十二条第一項の規定により発行される機構債等とみなして、同条第五項から第九項までの規定を適用する。

第八章 雑則

(預金等の払戻しのための資金の貸付け)
第百二十七条 第六十九条の三の規定は、同条第一項各号に掲げる者から支払対象預金等の払戻し(保険金計算規定により計算した保険金の額に対応する支払対象預金等につき行うものに限る。)のために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合について準用する。この場合において、同項中「当該決済債務に係る第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定」とあるのは、「当該支払対象預金等に係る保険金計算規定」と読み替えるものとする。

(預金等の払戻しに関する会社法の特例)
第百二十七条の二 第六十九条の四第三項から第五項までの規定は、前条において準用する第六十九条の三第一項の規定による資金の貸付けを行う旨の決定があるときについて準用する。この場合において、第六十九条の四第三項中「前条第一項に規定する決済債務の弁済」とあるのは「第百二十七条において準用する前条第一項に規定する預金等の払戻し」と、同条第四項及び第五項中「弁済を行う決済債務の種類」とあるのは「払戻しを行う預金等の種別」と、「弁済の」とあるのは「払戻しの」と、「弁済をする」とあるのは「払戻しをする」と読み替えるものとする。

(資産価値の減少防止のための資金の貸付け)
第百二十八条 第六十九条の三(第三項及び第四項を除く。)の規定は、同条第一項各号に掲げる者(同項第一号に掲げる者にあつては、破産手続開始、更生手続開始若しくは再生手続開始の申立て又は特別清算開始の命令があつた後に限る。)からその保有する貸付債権その他の資産の価値の減少を防止するために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合について準用する。この場合において、同項中「当該決済債務に係る第五十四条の二第一項の規定及び同条第二項において準用する第五十四条第三項の規定により計算した保険金の額の合計額に達するまでを限り」とあるのは、「その必要の限度において」と読み替えるものとする。

(資産の買取り)
第百二十九条 機構は、第三章第四節の規定による場合のほか、協定承継銀行又は特別危機管理銀行が保有する資産の買取りを行うことができる。
2 機構は、前項の規定による資産の買取りを行う場合には、内閣総理大臣及び財務大臣があらかじめ定めて公表する基準に従わなければならない。
3 機構は、協定承継銀行又は特別危機管理銀行から第一項の資産の買取りに係る申込みがあつたときは、遅滞なく、委員会の議決を経て、当該申込みに係る資産の買取りを行うかどうかを決定しなければならない。
4 機構は、前項の規定による決定をしたときは、直ちに、その決定に係る事項を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
5 機構は、第三項の規定による資産の買取りを行う旨の決定をしたときは、当該協定承継銀行又は特別危機管理銀行との間で当該資産の買取りに関する契約を締結するものとする。

(信用金庫等の総会等の招集手続の特例)
第百三十条 適格性の認定等を受けた信用金庫等が行う事業譲渡等及びその実施に必要な定款の変更について議決するための当該信用金庫等の総会は、総会員(労働金庫にあつては、労働金庫法第十三条第一項に規定する個人会員を除く。)又は総組合員の同意があるときは、信用金庫法第四十五条、中小企業等協同組合法第四十九条及び労働金庫法第四十九条の規定にかかわらず、招集の手続を経ることなく開催することができる。
2 前項の規定は、同項に規定する事項について議決するための総代会について準用する。この場合において、同項中「総会員(労働金庫にあつては、労働金庫法第十三条第一項に規定する個人会員を除く。)又は総組合員」とあるのは「総代の全員」と、「信用金庫法第四十五条、中小企業等協同組合法第四十九条及び労働金庫法第四十九条」とあるのは「信用金庫法第四十九条第五項において準用する同法第四十五条、中小企業等協同組合法第五十五条第六項において準用する同法第四十九条及び労働金庫法第五十五条第五項において準用する同法第四十九条」と読み替えるものとする。

(事業譲渡等における債権者保護手続の特例)
第百三十一条 第五十九条第二項第三号に掲げる事業譲渡等又は付保預金移転を援助するための第六十四条第一項の規定による資金援助を行う旨の決定があつたときは、当該事業譲渡等又は付保預金移転に係る債務の引受けは、当該事業譲渡等又は付保預金移転により救済金融機関が引き受ける債務に係る債権者(第六項において「移転債権者」という。)の承諾を得ないでこれをすることができる。
2 銀行法第三十四条及び第三十五条(これらの規定を長期信用銀行法第十七条、信用金庫法第八十九条第一項、協同組合による金融事業に関する法律第六条第一項及び労働金庫法第九十四条第一項において準用する場合を含む。)の規定は、前項の決定があつた場合における当該決定に係る事業譲渡等については、適用しない。
3 第一項の決定があつた場合における当該決定に係る事業譲渡等又は付保預金移転がされたときは、当該破綻金融機関及び救済金融機関は、その日から二週間以内に、当該事業譲渡等又は付保預金移転の内容の要旨及びこれに対し異議のある債権者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、預金者等その他政令で定める債権者以外の知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
4 前項の期間は、一月を下つてはならない。
5 第三項の規定にかかわらず、破綻金融機関及び救済金融機関が同項の規定による公告を、官報のほか、その定款で定めた公告の方法によりするときは、当該破綻金融機関及び救済金融機関による同項の規定による各別の催告は、することを要しない。
6 移転債権者が第三項に規定する期間内に異議を述べたときは、当該移転債権者に係る債務の引受けは当該債務の引受けの時にさかのぼつてその効力を失う。ただし、第三者の権利を害することができない。
7 破綻金融機関の債権者(第一項に規定する事業譲渡等又は付保預金移転により救済金融機関が引き受けた債務以外の破綻金融機関の債務に係る債権者に限る。)が第三項の期間内に異議を述べた場合において、当該債権者の債権につき第一項に規定する事業譲渡等又は付保預金移転により弁済を受けることができないこととなつた金額があるときは、当該債権者は、救済金融機関に対し、当該金額に相当する金銭の支払を請求することができる。
8 救済金融機関の債権者(第一項に規定する事業譲渡等又は付保預金移転により救済金融機関が引き受けた債務以外の救済金融機関の債務に係る債権者に限る。)が第三項の期間内に異議を述べたときは、当該救済金融機関は、弁済し、又は相当の担保を提供し、若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社若しくは信託業務を営む金融機関に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該事業譲渡等又は付保預金移転が当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。

(信託業務の承継における受託者の変更手続の特例)
第百三十二条 破綻金融機関であつて金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の規定により信託業務を営む者が同項の規定により信託業務を営む金融機関に対してする事業の譲渡を援助するための第六十四条第一項の規定による資金援助を行う旨の決定があつたときは、当該破綻金融機関は、その引き受けた信託につき、信託法(平成十八年法律第百八号)第五十六条第一項並びに第五十七条第一項及び第二項並びに公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第七条の規定にかかわらず、当該資金援助に係る救済金融機関(以下この条及び次条において「新受託者」という。)との間の事業の譲渡の契約をもつて受託者の変更をすることができる。
2 新受託者(特定目的信託(資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第十三項に規定する特定目的信託をいう。次条において同じ。)の新受託者を除く。以下この条において同じ。)は、前項の規定による変更が行われたときは、直ちに、当該変更に係る信託の委託者(以下この条において「移転委託者」という。)又は受益者(以下この条において「移転受益者」という。)であつて当該変更に異議のある者は一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、かつ、貸付信託その他の定型的信託契約に係る信託として政令で定めるもの(第五項において「定型的信託」という。)に係る移転委託者及び移転受益者以外の知れている移転委託者及び移転受益者には、各別にこれを催告しなければならない。
3 前項の期間は、一月を下つてはならない。
4 第二項の規定にかかわらず、新受託者が同項の規定による公告を、官報のほか、その定款で定めた公告の方法によりするときは、当該新受託者による同項の規定による各別の催告は、することを要しない。
5 第二項の期間内に異議を述べた貸付信託等(定型的信託であつて委託者が信託の利益の全部を享受するものとして政令で定めるものをいう。)に係る移転受益者は、新受託者に対し、第一項の規定による変更が行われなければ有したであろう公正な価格で自己の受益権を買い取ることを請求することができる。
6 新受託者は、前項の請求があつた場合には、当該請求に係る受益権をその固有財産をもつて買い取らなければならない。この場合においては、貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第十一条の規定は適用しない。
7 信託法第七十五条第一項、第七十六条及び第七十七条の規定は第一項の規定による変更が行われた場合について、同法第百三条第六項及び第七項、第百四条第一項から第十項まで、第二百六十二条第一項及び第二項、第二百六十三条並びに第二百六十四条の規定は第五項の規定による自己の受益権の買取請求について、それぞれ準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第百三十二条の二 特定目的信託の受託者たる破綻金融機関について前条第一項の規定による変更が行われた場合は、新受託者は、遅滞なく、権利者集会(資産の流動化に関する法律第三編第三章第三節第一款に規定する権利者集会をいう。次項において同じ。)を招集し、当該変更についてその承認を求めなければならない。この場合において、同法第二百四十四条第三項の規定は、適用しない。
2 権利者集会が前項の承認を求める議案を否決したときは、新受託者の当該特定目的信託に係る任務は、終了する。
3 信託法第五十九条第四項本文の規定は、前項の規定により任務を終了した新受託者について準用する。
4 信託法第七十五条第一項、第七十六条及び第七十七条の規定は、特定目的信託の受託者たる破綻金融機関について前条第一項の規定による変更が行われた場合について準用する。

(根抵当権の譲渡に係る特例)
第百三十三条 被管理金融機関が承継銀行その他の金融機関(以下この条において「承継金融機関」という。)に対する事業の譲渡により元本の確定前に根抵当権をその担保すべき債権の全部とともに譲渡しようとするときは、当該被管理金融機関及び当該承継金融機関は、次に掲げる事項について異議のある根抵当権設定者は当該被管理金融機関に対し一定の期間内に異議を述べるべき旨を公告し、又はこれを催告することができる。
 一 当該被管理金融機関から当該承継金融機関に当該根抵当権が譲渡されること及びその期日
 二 当該根抵当権の譲渡の後においても当該根抵当権が当該債権を担保すべきものとすること。
2 前項の期間は、二週間を下つてはならない。
3 第一項の規定にかかわらず、被管理金融機関及び承継金融機関が同項の規定による公告を、官報のほか、その定款で定めた方法によりするときは、当該被管理金融機関及び承継金融機関による同項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 第一項の公告又は催告に係る根抵当権設定者が同項各号に掲げる事項について同項の期間内に異議を述べなかつたときは、同項第一号に掲げる事項について当該根抵当権設定者の承諾が、同項第二号に掲げる事項について当該根抵当権設定者と同項の公告又は催告に係る承継金融機関の合意が、それぞれあつたものとみなす。
5 根抵当権設定者が第一項各号に掲げる事項の一部について異議を述べたときは、同項各号に掲げる事項の全部について異議を述べたものとみなす。
6 前各項の規定は、承継銀行又は特別危機管理銀行が他の金融機関に対する事業の譲渡により元本の確定前に根抵当権をその担保すべき債権の全部とともに譲渡しようとする場合について準用する。

(根抵当権移転登記等の申請手続の特例)
第百三十四条 前条第四項(同条第六項において準用する場合を含む。)の場合における根抵当権の移転の登記の申請には、その申請情報と併せて公告又は催告をしたこと及び根抵当権設定者が同条第一項(同条第六項において準用する場合を含む。)の期間内に異議を述べなかつたことを証する情報を提供しなければならない。
2 前条第四項(同条第六項において準用する場合を含む。)の場合における根抵当権の担保すべき債権の範囲に譲渡に係る債権を追加することを内容とする根抵当権の変更の登記は、その申請情報と併せて前項に規定する情報を提供したときは、根抵当権者のみで申請することができる。

(課税の特例)
第百三十五条 第七十九条の規定による登記については、登録免許税を課さない。
2 承継銀行が第九十一条第一項又は第二項の規定による同条第一項第二号に掲げる決定を受けて行う被管理金融機関の事業の譲受け等(次項において「決定に基づく譲受け等」という。)により不動産に関する権利(第九十三条第二項の規定により当該承継銀行が保有する資産として適当であることの確認がされたものに限る。)の取得をした場合には、当該不動産に関する権利の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。
3 承継銀行が決定に基づく譲受け等により取得した土地又は土地の上に存する権利(第九十三条第二項の規定により当該承継銀行が保有する資産として適当であることの確認がされたものに限る。)の譲渡(租税特別措置法第六十二条の三第二項第一号イに規定する譲渡をいう。)は、承継銀行に係る同条並びに同法第六十三条、第六十八条の六十八及び第六十八条の六十九の規定の適用については、同法第六十二条の三第二項第一号に規定する土地の譲渡等には該当しないものとする。

(報告又は資料の提出)
第百三十六条 内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。次項及び次条において同じ。)は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、金融機関(金融機関代理業者を含む。)又は銀行持株会社等に対し、その業務又は財産の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 内閣総理大臣は、この法律の円滑な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該金融機関又は銀行持株会社等(以下この条及び次条において「金融機関等」という。)の子会社(当該金融機関等が銀行又は銀行持株会社(第二条第五項第一号に規定する銀行持株会社をいう。)である場合には銀行法第二条第八項に、長期信用銀行又は長期信用銀行持株会社(第二条第五項第三号に規定する長期信用銀行持株会社をいう。)である場合には長期信用銀行法第十三条の二第二項に、信用金庫又は信用金庫連合会である場合には信用金庫法第三十二条第六項に、信用協同組合又は信用協同組合連合会である場合には協同組合による金融事業に関する法律第四条第一項に、労働金庫又は労働金庫連合会である場合には労働金庫法第三十二条第五項に、株式会社商工組合中央金庫である場合には株式会社商工組合中央金庫法第二十三条第二項にそれぞれ規定する子会社(子会社とみなされる会社を含む。)をいう。次項及び次条において同じ。)又は当該金融機関等か業務の委託を受けた者(金融機関代理業者を除く。次項並びに次条第二項及び第五項において同じ。)に対し、当該金融機関等の業務又は財産の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。
3 金融機関等の子会社又は金融機関等から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、前項の規定による報告又は資料の提出を拒むことができる。

(立入検査)
第百三十七条 内閣総理大臣は、この法律の円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、当該職員に金融機関等(金融機関代理業者を含む。)の営業所(信用金庫等にあつては、事務所)その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
2 内閣総理大臣は、前項の規定による立入り、質問又は検査を行う場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該職員に当該金融機関等の子会社又は当該金融機関等から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該金融機関等に対する質問若しくは検査に必要な事項に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
3 前二項の場合において、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4 第一項及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
5 前条第三項の規定は、第二項の規定による金融機関等の子会社又は金融機関等から業務の委託を受けた者に対する質問及び検査について準用する。
6 内閣総理大臣は、必要があると認めるときは、機構に、第一項又は第二項の規定による立入り、質問又は検査(次に掲げる事項を調査するために行うものに限る。)を行わせることができる。この場合において、機構は、その職員に当該立入り、質問又は検査を行わせるものとする。
 一 第五十条第一項の規定による保険料の納付が適正に行われていること。
 二 第五十五条の二第四項及び第五十八条の三第一項に規定する措置が講ぜられていること。
 三 第七十一条第二項の預金等債権について弁済を受けることができると見込まれる額
7 第三項から第五項までの規定は、前項の規定による立入り、質問又は検査について準用する。

(金融機関の破産手続開始の通知等)
第百三十七条の二 金融機関について破産手続開始の決定があつたときは、裁判所書記官は、その旨を内閣総理大臣(労働金庫又は労働金庫連合会にあつては内閣総理大臣及び厚生労働大臣とし、株式会社商工組合中央金庫にあつては内閣総理大臣、財務大臣及び経済産業大臣とする。)に通知しなければならない。
2 金融機関の破産手続において、破産法第百九十七条第一項(同法第二百九条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第二百四条第二項の規定による通知をしたとき、又は同法第二百八条第一項の規定による許可を受けたときは、破産管財人は、その旨を機構に通知しなければならない。

(政令への委任)
第百三十八条 この法律に規定するもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。

(権限の委任)
第百三十九条 内閣総理大臣は、次に掲げるものを除き、この法律による権限を金融庁長官に委任する。
 一 第二十六条第一項又は第二項の規定による任命
 二 第二十六条第三項又は第二十九条の規定による解任
 三 第三十条の規定による承認
 四 その他政令で定めるもの
2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。

(経過措置)
第百四十条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第九章 罰則

第百四十一条 金融整理管財人又は金融整理管財人代理がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人であるときは、金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に従事するその役員又は職員がその職務に関し賄賂を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。金融整理管財人又は金融整理管財人代理が法人である場合において、その役員又は職員が金融整理管財人又は金融整理管財人代理の職務に関し金融整理管財人又は金融整理管財人代理に賄賂を収受させ、又はその供与を要求し、若しくは約束したときも、同様とする。
3 犯人又は法人たる金融整理管財人若しくは金融整理管財人代理の収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

第百四十二条 前条第一項若しくは第二項に規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第百四十三条 第百三十六条第一項又は第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者は、一年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
2 第百三十七条第一項、第二項又は第六項の規定による当該職員又は機構の職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者も、前項と同様とする。

第百四十四条 第二十二条(第三十三条において準用する場合を含む。)又は第八十二条の規定に違反してその職務上知ることのできた秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第百四十五条 破綻金融機関の取締役、執行役若しくは理事、会計参与(会計参与が法人である場合にあつては、その職務を行うべき社員)、監査役、会計監査人(会計監査人が法人である場合にあつては、その職務を行うべき社員)若しくは監事若しくは支配人若しくは参事その他の使用人若しくは当該破綻金融機関を所属金融機関とする金融機関代理業者(金融機関代理業者が法人である場合にあつては、その役員及び使用人)又はこれらの者であつた者が第三十七条第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 被管理金融機関の取締役、執行役若しくは理事、監査役若しくは監事若しくは支配人若しくは参事その他の使用人若しくは当該被管理金融機関を所属金融機関とする金融機関代理業者(金融機関代理業者が法人である場合にあつては、その役員及び使用人)又はこれらの者であつた者が第八十一条第一項(第七十七条第一項の規定により読み替えて適用される場合を含む。以下この項において同じ。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は第八十一条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときも、前項と同様とする。

第百四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
 一 第六十四条の二第五項(第六十八条の二第五項(第六十九条第四項及び第百一条第七項において準用する場合を含む。)、第六十八条の三第五項(第六十九条第四項及び第百一条第七項において準用する場合を含む。)、第六十九条第四項及び第百一条第七項において準用する場合を含む。)、第百条又は第百八条第二項(第百八条の二第四項(第百八条の三第八項において準用する場合を含む。)及び第百八条の三第八項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 二 第八十条又は第百十五条の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をした者

第百四十七条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。
 一 第四十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
 二 第五十六条第四項(第五十七条第五項及び第七十二条第五項において準用する場合を含む。)、第六十四条第三項(第六十九条第四項、第六十九条の三第二項(第百二十七条及び第百二十八条において準用する場合を含む。)、第百一条第七項及び第百十八条第四項において準用する場合を含む。)、第九十二条第三項、第九十六条第三項、第九十七条第二項、第九十八条第二項、第百一条の二第四項、第百七条第二項、第百九条第二項、第百二十条第四項、第百二十三条第一項又は第百二十九条第四項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

第百四十八条 第三十七条第一項又は第五十五条の二第二項の規定による資料を提出せず、又は虚偽の資料を提出した者は、三十万円以下の罰金に処する。

第百四十九条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
 一 第百四十三条 二億円以下の罰金刑
 二 第百四十五条(次に掲げる者に係る部分に限る。)、第百四十六条又は第百四十八条 各本条の罰金刑
  イ 金融機関代理業者(法人に限る。)
  ロ 会計参与(法人に限る。)
  ハ 会計監査人(法人に限る。)
2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を適用する。

第百五十条 第百四十一条の罪は、日本国外においてこれらの罪を犯した者にも適用する。
2 第百四十二条の罪は、刑法第二条の例に従う。

第百五十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした金融機関又は銀行持株会社等の取締役、執行役又は理事は、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
 一 この法律に定める公告、報告、通知若しくは催告をすることを怠り、又は不正の公告、報告若しくは通知をしたとき。
 二 第五十八条の三第二項の規定による命令に違反したとき。
 三 第六十八条の二第四項若しくは第六十八条の三第四項(これらの規定を第六十九条第四項及び第百一条第七項において準用する場合を含む。)、第百八条の二第三項(第百八条の三第八項において準用する場合を含む。)、第百八条の三第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)又は同条第七項の規定による提出をせず、又は虚偽の提出をしたとき。
 四 第百七条の三第二項又は第百七条の四第二項の規定に違反して登記することを怠つたとき。
 五 第百八条の二第一項(第百八条の三第八項において準用する場合を含む。)、第百八条の三第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)又は同条第五項の規定による内閣総理大臣の認可を受けないでこれらの規定に規定する行為をしたとき。
 六 第七十四条第五項の規定に違反して、申出をせず、又は虚偽の申出をしたとき。
 七 第七十七条第二項の規定により選任された金融整理管財人に事務の引渡しをしないとき。
 八 第百三十一条第八項の規定による弁済又は担保の提供若しくは財産の信託を怠つたとき。
2 金融整理管財人が、第七十五条の規定により管理を命ずる処分が取り消されたにもかかわらず、被管理金融機関の取締役、執行役若しくは理事又は清算人に事務の引渡しをしないときは、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
3 次の各号に掲げる金融機関の金融整理管財人は、当該各号に定める規定のいずれかに該当する場合には、百万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。
 一 銀行 会社法第九百七十六条各号又は銀行法第六十五条各号
 二 長期信用銀行 会社法第九百七十六条各号又は長期信用銀行法第二十七条各号
 三 金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の規定により信託業務を営む金融機関 同法第十五条各号
 四 信用金庫又は信用金庫連合会 信用金庫法第九十一条第一項各号
 五 信用協同組合又は信用協同組合連合会 協同組合による金融事業に関する法律第十二条第一項各号
 六 労働金庫又は労働金庫連合会 労働金庫法第百一条第一項各号
 七 株式会社商工組合中央金庫 会社法第九百七十六条各号又は株式会社商工組合中央金庫法第七十六条各号
4 信用協同組合又は信用協同組合連合会の金融整理管財人は、中小企業等協同組合法第百十五条第一項各号のいずれかに該当する場合には、二十万円以下の過料に処する。ただし、その行為について刑を科すべきときは、この限りでない。

第百五十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。
 一 この法律により内閣総理大臣及び財務大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可を受けなかつたとき。
 二 第七条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠つたとき。
 三 第三十四条に規定する業務以外の業務を行つたとき。
 四 第四十条第三項の規定に違反して、書類を備え置かず、又は閲覧に供しなかつたとき。
 五 第四十一条の規定に違反して責任準備金を計算せず、又はこれを積み立てなかつたとき。
 六 第四十三条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。
 七 第四十五条第二項の規定による内閣総理大臣及び財務大臣の命令に違反したとき。
 八 第五十五条第三項及び第四項、第五十九条第七項(第五十九条の二第三項(第六十九条第四項において準用する場合を含む。)、第六十九条第四項、第百一条第五項及び第百十八条第二項において準用する場合を含む。)、第六十条第三項、第六十一条第七項(第六十二条第四項(第百一条第七項及び第百十八条第四項において準用する場合を含む。)、第百一条第五項及び第百十八条第二項において準用する場合を含む。)、第六十六条第四項(第百一条第七項及び第百十八条第四項において準用する場合を含む。)又は第百二十条第三項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

第百五十三条 第六条第二項の規定に違反した者は、二十万円以下の過料に処する。

   附 則 [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。

(経過規定)
第二条 機構の成立の際現に保険事故が発生している金融機関その他これに準ずるものとして政令で定める金融機関については、この法律の規定は、適用しない。
2 前項に規定する金融機関のうち、機構の成立の後にその業務又は事業及び財産の状況が再び正常になつたと認められるもので、大蔵大臣が指定するものについては、その指定の日から、この法律の規定を適用する。

(保険金の額の特例)
第六条の二 平成十三年四月一日から平成十五年三月三十一日までに発生した保険事故(附則第十六条第五項に規定する特別資金援助を行う旨の決定又は附則第十七条第四項に規定する預金等債権の特別買取りをする旨の決定があつた場合における当該決定に係る保険事故を除く。)に限り、保険金の額は、第五十四条の規定にかかわらず、当該保険事故が発生した金融機関の各預金者等につき、次の各号に掲げる預金等の区分ごとに、その発生した日において現にその者が当該金融機関に対して有する預金等(外貨預金その他の政令で定める預金等を除く。以下この条において同じ。)に係る債権(その者が第五十三条第一項の請求をした時において現に有するもの(同条第四項の仮払金の支払又は第百二十七条第一項の貸付けに係る預金等の払戻しにより現に有しないこととなつたものを含む。)に限る。以下この項において同じ。)のうち当該各号に定める合算額に相当する金額とする。
 一 預金等のうち為替取引に用いられるものとして政令で定める預金(以下この項において「特定預金」という。) 当該特定預金に係る債権のうち元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額が同一人について二以上ある場合には、その合計額)
 二 特定預金以外の預金等(以下この条において「その他預金等」という。) 当該その他預金等に係る債権のうち元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額が同一人について二以上ある場合には、その合計額)
2 前項第二号に規定する元本の額(その額が同一人について二以上あるときは、その合計額)が保険基準額を超えるときは、保険基準額及び保険基準額に対応する元本に係る利息等の額を合算した額を保険金の額とする。この場合において、元本の額が同一人について二以上あるときは、保険基準額に対応する元本は、その他預金等につき、第五十四条第二項各号に定めるところにより保険基準額に達するまで当該各号に規定する元本の額を合計した場合の当該元本とする。
3 保険事故に係る預金者等が当該保険事故について第五十三条第四項の仮払金の支払を受けている場合又は第百二十七条第一項の貸付けに係る預金等の払戻しを受けている場合におけるその者の保険金の額は、前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる預金等の区分ごとに、前二項の規定による金額につき政令で定めるところにより当該仮払金の支払及び同条第一項の貸付けに係る預金等の払戻しを受けた額を控除した金額に相当する金額とする。

(保険料の額の特例)
第六条の二の二 平成十三年四月一日に開始する営業年度に納付する保険料の額は、第五十一条第一項の規定にかかわらず、各金融機関につき、当該営業年度の直前の営業年度の末日における預金等(外貨預金その他の政令で定める預金等を除く。以下この条において同じ。)のうち為替取引に用いられるものとして政令で定める預金(以下この条において「特定預金」という。)の額の合計額及び特定預金以外の預金等(以下この条において「その他預金等」という。)の額の合計額をそれぞれ十二で除し、これに平成十三年四月一日に開始する営業年度の月数を乗じて計算した金額に、機構が委員会の議決を経て、特定預金及びその他預金等の別に定める率をそれぞれ乗じて計算した額を合計した額とする。
2 平成十四年四月一日に開始する営業年度に納付する保険料の額は、第五十一条第一項の規定にかかわらず、各金融機関につき、当該営業年度の直前の営業年度の各日(銀行法第十五条第一項(長期信用銀行法第十七条、信用金庫法第八十九条第一項、協同組合による金融事業に関する法律第六条第一項及び労働金庫法第九十四条第一項において準用する場合を含む。)に規定する休日を除く。)における特定預金の額の合計額を平均した額及びその他預金等の額の合計額を平均した額をそれぞれ十二で除し、これに平成十四年四月一日に開始する営業年度の月数を乗じて計算した金額に、機構が委員会の議決を経て、特定預金及びその他預金等の別に定める率をそれぞれ乗じて計算した額を合計した額とする。

(決済用預金に関する特例)
第六条の二の三 特定預金(附則第六条の二第一項第一号に規定する特定預金をいう。)であつて決済用預金に該当しないものについては、平成十五年四月一日から平成十七年三月三十一日までの間、決済用預金とみなす。この場合における第五十四条の二第一項の規定の適用については、同項中「元本の額(その額」とあるのは、「元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額」とする。

(業務の特例)
第六条の二の四 機構は、当分の間、第三十四条に規定する業務のほか、次条から附則第七条まで、附則第八条の二第一項及び附則第十五条の二から第十五条の五までの規定による業務を行うことができる。

(特例資産譲受人等の資産の買取り)
第六条の三 機構は、第六十四条第一項の規定による資金援助の決定(預金保険法の一部を改正する法律(平成八年法律第九十六号)の施行の日前にされたものに限る。)に係る営業譲渡等を行った破綻金融機関の資産を譲り受けた者(当該営業譲渡等に係る救済金融機関を除く。以下この条において「特定譲受人」という。)、当該営業譲渡等に係る救済金融機関の資産(当該救済金融機関が当該営業譲渡等により当該破綻金融機関から譲り受けたものに限る。以下この項において「特別資産」という。)を譲り受けた者(以下この条において「特別譲受人」という。)又は特定譲受人若しくは特別譲受人に対して当該破綻金融機関の資産若しくは特別資産(以下この項において「特例資産」という。)の譲受けに必要な資金の貸付けを行った者であって当該貸付けに係る債務の弁済に代えて当該特例資産を譲り受けた者(以下この項及び第五項において「特例資産譲受人」という。)から、平成十三年三月三十一日までに当該特定譲受人が譲り受けた当該破綻金融機関の資産、当該特別譲受人が譲り受けた当該特別資産又は当該特例資産譲受人が当該債務の弁済に代えて譲り受けた当該特例資産の買取りの申込みを受けたときは、これらの資産を買い取ることができる。
2 機構は、前項の規定による申込みがあったときは、遅滞なく、委員会の議決を経て、当該申込みに係る資産の買取りを行うかどうかを決定しなければならない。
3 機構は、前項の規定により資産の買取りを行う旨の決定をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けなければならない。
4 内閣総理大臣及び財務大臣は、特定譲受人又は特別譲受人による破綻金融機関又は救済金融機関からの資産の譲受けが、当該破綻金融機関の円滑な営業譲渡等を図る観点又は当該救済金融機関の業務の健全かつ適切な運営を図る観点から必要であったと認める場合に限り、前項の承認をするものとする。
5 機構は、第二項の規定による資産の買取りを行う旨の決定をしたときは、当該資産の買取りの申込みに係る特定譲受人、特別譲受人又は特例資産譲受人(以下「特例資産譲受人等」という。)との間で当該資産の買取りに関する契約を締結するものとする。

(特例資産譲受人等に対する損失の補てん)
第六条の四 機構は、前条第一項の規定により資産の買取りを行う場合(附則第十条第一項の規定により協定銀行が機構の委託を受けて資産の買取りを行う場合を含む。)において、特例資産譲受人等(金融機関に限る。以下この項において同じ。)から、当該資産の売却により生じた損失の補てんの申込みを受けたときは、委員会の議決を経て、当該特例資産譲受人等に対し、当該損失の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内において、当該損失の補てんを行うことができる。
2 機構は、前項の規定により損失の補てんを行おうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣及び財務大臣の承認を受けなければならない。
3 内閣総理大臣及び財務大臣は、第一項の規定による損失の補てんが行われなければ、信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれがあると認める場合に限り、前項の承認をするものとする。

(協定銀行に係る業務の特例)
第七条 機構は、破綻金融機関等(破綻金融機関、承継銀行又は特別危機管理銀行をいう。以下同じ。)との合併により承継し、若しくは破綻金融機関等から譲り受けた事業若しくは引き受けた預金等に係る債務又は移管措置(附則第十五条の三第一項第六号に規定する移管措置をいう。次条において同じ。)により協定後勘定(附則第八条の二第二項第二号に規定する勘定をいう。以下同じ。)に移した資産及び負債の整理を行い、並びに附則第十条第一項の規定による委託を受けて買い取つた資産又は同条第七項に規定する措置により協定後勘定に移した資産の管理及び処分を行うこと(以下「整理回収業務」という。)を目的の一つとする一の銀行と整理回収業務に関する協定(附則第十五条の二及び附則第十五条の五を除き、以下「協定」という。)を締結し、並びに当該協定を実施するため、次の業務を行うことができる。
 一 協定を締結した銀行(以下「協定銀行」という。)に対し、協定の定めによる整理回収業務の円滑な実施に必要な資金の出資を行うこと。
 二 協定銀行に対し、附則第十条の二の規定による損失の補填若しくは附則第十一条第一項の規定による貸付けを行い、又は協定銀行が行う資金の借入れに係る同項の規定による債務の保証を行うこと。
 二の二 次条第一項第二号の三の規定に基づき協定銀行から納付される金銭の収納を行うこと。
 三 協定銀行による整理回収業務の実施に必要な指導及び助言を行うこと。
 四 第一号、第二号又は前号の業務のために必要な調査を行うこと。
 五 協定銀行の協定の定めによる整理回収業務の円滑な実施を確保するとともに、第二号の二の協定銀行からの金銭の納付を的確に行わせるため、協定銀行が協定の定めにより承継し、又は取得した貸付債権その他の財産(以下「譲受債権等」という。)に係る債権のうち、その債務者の財産(当該債務者に対する当該債権の担保として第三者から提供を受けている不動産を含む。以下この号及び次号並びに次条第一項第七号及び第八号において同じ。)が隠蔽されているおそれがあるものその他その債務者の財産の実態を解明することが特に必要であると認められるものについて、当該債務者の財産の調査を行うこと。
 六 協定銀行の協定の定めによる整理回収業務の円滑な実施を確保するとともに、第二号の二の協定銀行からの金銭の納付を的確に行わせるため、譲受債権等に係る債権のうち、その債務者の財産に係る権利関係が複雑なものその他その回収に特に専門的な知識を必要とするものについて、機構が必要と認める場合には、協定銀行からの委託を受けて、その取立てを行うこと。
 七 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。
2 機構の理事長は、前項に規定する業務を行う職員として、金融取引、不動産取引、民事手続等に関する法令及び実務に精通している者を任命するとともに、当該業務を効果的に実施するために必要な体制の整備を図るものとする。

(協定)
第八条 協定は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。
 一 協定銀行は、事業の譲受け等について第六十二条第一項、第百一条第六項又は第百十八条第三項の規定による内閣総理大臣のあつせんを受けた場合においては、機構に対し、機構が当該事業の譲受け等を援助するため必要な資金援助を行うことを申し込み、当該資金援助について機構との間で契約を締結したときは、当該あつせんに係る破綻金融機関等と合併し、その営業を譲り受け、又はその預金等に係る債務を引き受けて、当該破綻金融機関等の営業又は預金等に係る債務に係る整理回収業務を行うこと。
 一の二 承継協定銀行(附則第十五条の二第三項に規定する承継協定銀行をいう。以下この条及び附則第十条において同じ。)は、移管措置について附則第十五条の四第六項の規定による内閣総理大臣のあつせんを受けた場合においては、機構に対し、機構が当該移管措置を援助するため必要な資金援助を行うことを申し込み、当該資金援助について機構との間で契約を締結したときは、当該移管措置を講じ、当該移管措置により協定後勘定に移した資産及び負債に係る整理回収業務を行うこと。
 二 協定銀行は、機構から附則第十条第一項の規定による資産の買取りの委託の申出を受けた場合において、機構との間でその申出に係る委託の契約を締結したときは、当該委託に係る資産を機構に代わつて買い取り、その買い取つた資産に係る整理回収業務を行うこと。
 二の二 承継協定銀行は、機構から附則第十条第七項に規定する措置を講ずることを求められた場合において、その求めに応ずることを機構に通知したときは、当該措置を講じ、その移した資産に係る整理回収業務を行うこと。
 二の三 協定銀行は、毎事業年度、協定の定めによる業務により生じた利益の額として政令で定めるところにより計算した額があるときは、当該利益の額に相当する金額を機構に納付すること。
 三 協定銀行は、第二号の規定による資産の買取りに関する契約又は附則第十一条第一項に規定する債務の保証の対象となる資金の借入れに関する契約の締結をしようとするときは、あらかじめ、当該締結をしようとする契約の内容について機構の承認を受けること。
 四 協定銀行は、第一号の規定による事業の譲受け等又は第二号の規定による資産の買取りを行つたときは、速やかに、当該事業の譲受け等又は資産の買取りに係る整理回収業務の実施計画及び資金計画を作成し、機構の承認を受けること。
 四の二 承継協定銀行は、第一号の二又は第二号の二の規定によりこれらの規定に規定する措置を講じたときは、速やかに、これらの措置に係る整理回収業務の実施計画及び資金計画を作成し、機構の承認を受けること。
 五 協定銀行は、前二号の実施計画又は資金計画を変更しようとするときは、あらかじめ、機構の承認を受けること。
 六 協定銀行は、銀行法第十九条第一項又は第二項の規定により中間業務報告書及び業務報告書を内閣総理大臣に提出するときは、併せて、これらを機構に提出すること。
 七 協定銀行は、譲受債権等に係る債権についてその債務者の財産が隠蔽されているおそれがあると認めたとき、その他その債務者の財産の実態を解明することが困難であると認めたときは、速やかに機構に報告すること。
 八 協定銀行は、譲受債権等に係る債権のうち、その債務者の財産に係る権利関係が複雑なものその他その回収に特に専門的な知識を必要とするものについて、機構の求めに応じ、その取立てを機構に委託すること。
 九 協定銀行は、第七号に定めるもののほか、協定の定めによる整理回収業務の実施に支障が生じたときは、機構の指導又は助言を受けるため、速やかに機構に報告すること。
 十 協定銀行は、その役職員が協定の定めによる整理回収業務に係る職務を行うことにより犯罪があると思料するときは直ちに所要の報告をさせる体制を整備するものとし、かつ、当該報告があつたときは機構に報告するとともに告発に向けて所要の措置をとること。
2 機構は、協定を締結しようとするときは、委員会の議決を経て協定の内容を定め、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。
3 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の認可の申請があつた場合において、当該申請に係る協定の内容が法令の規定に適合するものであり、かつ、機構と協定を締結しようとする銀行が協定の定めによる整理回収業務を適切に行い得るものであると認めるときでなければ、当該認可をしてはならない。

(特別協定)
第八条の二 機構は、協定銀行と特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成八年法律第九十三号)第三条第一項第二号に規定する債権処理会社(次項第一号において「債権処理会社」という。)との合併(以下この条及び附則第十一条において「特別合併」という。)に関する協定(以下この条及び附則第十一条において「特別協定」という。)を協定銀行と締結し、及び当該特別協定を実施するため、特別合併に必要な措置を講ずることができる。
2 特別協定は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。
 一 協定銀行は、特別合併において、債権処理会社を当該特別合併後存続する会社とすること。
 二 協定銀行は、特別合併後、当該特別合併前の協定銀行から承継した業務及び附則第七条第一項に規定する整理回収業務その他協定銀行が行う業務として機構が適当と認める業務に係る経理について、その他の業務に係る経理と区分し、特別の勘定を設けて整理すること。
 三 協定銀行は、特別合併により当該特別合併前の協定銀行の株主に割り当てる株式については、残余財産の分配を行うときに、一定の金額につき優先的に支払を受け、その金額を超えて支払を受けることができない特別の内容を有するものとすること。
3 前条第二項及び第三項の規定は、特別協定の締結について準用する。この場合において、同項中「機構と協定を締結しようとする銀行が協定の定めによる整理回収業務」とあるのは、「協定銀行が特別協定の定めによる特別合併」と読み替えるものとする。

(出資)
第九条 機構は、附則第七条第一項第一号の規定による出資を行おうとするときは、委員会の議決を経て出資する金額を定め、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けなければならない。

(資産の買取りの委託等)
第十条 機構は、次に掲げる場合には、協定銀行に対し、機構に代わって資産の買取りを行うことを委託することができる。
 一 第六十四条第一項(第六十九条第四項、第百一条第七項及び附則第十五条の四第七項において準用する場合を含む。)の規定により資産の買取りを含む資金援助を行う旨の決定をする場合
 二 第百二十九条第三項の規定により協定承継銀行又は特別危機管理銀行の資産の買取りを行う旨の決定をする場合
 三 附則第六条の三第二項の規定により特例資産譲受人等の資産の買取りを行う旨の決定をする場合
2 機構は、前項の規定による委託の申出をするときは、委員会の議決を経て、同項の決定に係る資産の買取りの価格、次条に規定する損失の補填その他の当該委託に関する条件を定め、これを協定銀行に対して提示するものとする。
3 機構は、協定銀行との間で第一項の規定による資産の買取りの委託に関する契約を締結したときは、直ちに、その契約の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
4 機構が協定銀行との間で前項の委託(第一項第一号又は第二号に掲げる場合に係るものに限る。)に関する契約を締結したときは、第六十四条第四項(第六十九条第四項、第百一条第七項及び附則第十五条の四第七項において準用する場合を含む。)及び第百二十九条第五項の規定にかかわらず、資産の買取りに関する契約は、協定銀行が資産保有金融機関(破綻金融機関、合併等若しくは第百一条第二項若しくは附則第十五条の四第二項に規定する再承継により破綻金融機関、承継銀行若しくは承継協定銀行の資産を取得した者、協定承継銀行又は特別危機管理銀行であつて、当該資産を保有している金融機関をいう。次項において同じ。)との間で締結するものとする。
5 前項の規定により協定銀行が資産保有金融機関(破綻金融機関又は合併等若しくは第百一条第二項若しくは附則第十五条の四第二項に規定する再承継により破綻金融機関、承継銀行若しくは承継協定銀行の資産を取得した者に限る。)との間で前項の契約を締結したときは、当該契約は、第六十四条第四項(第百一条第七項において準用する場合を含む。)の規定により機構が当該資産保有金融機関との間で締結したものとみなして、第六十五条(第百一条第七項及び附則第十五条の四第七項において準用する場合を含む。)の規定を適用する。
6 機構が協定銀行との間で第三項の委託(第一項第三号に掲げる場合に係るものに限る。)に関する契約を締結したときは、第一項の決定に係る特例資産譲受人等の資産の買取りに関する契約は、附則第六条の三第五項の規定にかかわらず、協定銀行が当該特例資産譲受人等との間で締結するものとする。
7 機構は、附則第十五条の二第三項の規定によりみなして適用される第百二十九条第三項の規定により承継協定銀行の資産の買取りを行う旨の決定をする場合には、承継協定銀行に対し、機構による当該資産の買取りに代わつて、当該資産を承継勘定(附則第十五条の二第四項第四号に規定する承継勘定をいう。以下この項において同じ。)から協定後勘定に移すとともに、その移した資産の額に相当する金額を協定後勘定から承継勘定に繰り入れる措置を講ずることを求めることができる。
8 機構は、前項の規定により同項の措置を講ずることを求めるときは、委員会の議決を経て、同項の決定に係る資産の額に相当する金額、次条に規定する損失の補#その他の当該措置に関する条件を定め、これを承継協定銀行に対して提示するものとする。
9 機構は、承継協定銀行から、第七項の規定による同項の措置の求めに応ずる旨の通知を受けたときは、直ちに、その措置の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(損失の補てん)
第十条の二 機構は、協定銀行に対し、協定の定めによる業務の実施により協定銀行に生じた損失の額として政令で定めるところにより計算した金額の範囲内において当該損失の補てんを行うことができる。

(資金の貸付け及び債務の保証)
第十一条 機構は、協定銀行から、協定の定めによる事業の譲受け等により承継し、若しくは引き受ける預金等の払戻し若しくは協定の定めによる資産の買取りのために必要とする資金その他の協定の定めによる整理回収業務の円滑な実施のために必要とする資金又は特別協定の定めによる特別合併の円滑な実施のために必要とする資金について、その資金の貸付け又は協定銀行によるその資金の借入れに係る債務の保証の申込みを受けた場合において、必要があると認めるときは、委員会の議決を経て、当該貸付け又は債務の保証を行うことができる。
2 機構は、前項の規定により協定銀行との間で同項の貸付け又は債務の保証に係る契約を締結したときは、直ちに、その契約の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(資金の融通のあつせん)
第十二条 機構は、協定銀行が協定の定めによる整理回収業務の円滑な実施のために必要とする資金の融通のあつせんに努めるものとする。

(協力依頼)
第十三条 機構は、附則第七条第一項に規定する業務を行うため必要があるときは、官庁、公共団体その他の者に照会し、又は協力を求めることができる。

(報告の徴求)
第十四条 機構は、附則第七条第一項に規定する業務を行うため必要があるときは、協定銀行に対し、協定の実施又は財務の状況に関し報告を求めることができる。

(現況確認、質問、帳簿提示等)
第十四条の二 機構の職員は、附則第七条第一項第五号に掲げる業務又は附則第十六条第五項に規定する特別資金援助に係る資産の買取りにより機構が取得した債権(次項において「特定債権」という。)の回収に係る業務(以下この条において「特定業務」という。)を行う場合において必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者の事務所、住居その他のその者が所有し、若しくは占有する不動産に立ち入り、当該不動産の現況の確認をし、その者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿若しくは書類(以下この条及び附則第二十四条第二項第四号において「帳簿等」という。)の提示及び当該帳簿等についての説明を求めることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、その居住者(当該居住者から当該住居の管理を委託された者を含む。次項において同じ。)の承諾を得なければならない。
 一 特定業務に係る債務者
 二 特定業務に係る債務者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
 三 特定業務に係る債務者に対し債権若しくは債務があり、又は当該債務者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
 四 特定業務に係る債務者が株主又は出資者である法人
2 機構の職員は、特定業務を行う場合において必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、特定業務に係る譲受債権等に係る債権又は特定債権の担保として第三者から提供を受けている不動産(以下この項において「担保不動産」という。)に立ち入り、若しくは当該担保不動産の現況の確認をし、又は次に掲げる者に当該担保不動産について質問し、若しくは当該担保不動産に関する帳簿等の提示及び当該帳簿等についての説明を求めることができる。ただし、住居に立ち入る場合においては、その居住者の承諾を得なければならない。
 一 当該担保不動産の所有者及びその者から当該担保不動産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
 二 当該担保不動産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者

第十四条の三 前条の場合において、機構の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
2 前条の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(債権の取立ての権限)
第十五条 機構は、附則第七条第一項第六号に掲げる業務を行う場合には、協定銀行のために自己の名をもつて、協定銀行から委託を受けた債権の取立てに関する一切の裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。

(承継機能協定)
第十五条の二 内閣総理大臣は、機構に対し、協定銀行(機構の子会社である場合に限る。以下この条において同じ。)に被管理金融機関の業務を引き継がせ、その業務を暫定的に維持継続させることを目的とする協定(以下この条において「承継機能協定」という。)を協定銀行と締結することを指示することができる。
2 機構は、前項の指示を受けた場合には、協定銀行と承継機能協定を締結するものとする。
3 承継機能協定を締結した協定銀行(以下「承継協定銀行」という。)については、承継銀行又は協定承継銀行とみなして、第五十条第二項、第九十一条(第一項第一号を除く。)、第九十二条(第一項を除く。)から第九十五条まで、第九十八条から第百条まで、第百二十九条及び第百三十三条から第百三十五条(第一項を除く。)までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
4 承継機能協定は、次に掲げる事項を含むものでなければならない。
 一 承継協定銀行は、前項の規定によりみなして適用されることとなる第九十四条第一項各号に掲げる事項を実施すること。
 二 承継協定銀行は、機構が当該承継協定銀行の資産(第四号に規定する承継勘定に属するものに限る。)の買取りを行うことを機構に申し込むことができること。
 三 承継協定銀行は、前項の規定によりみなして適用されることとなる第九十八条第一項に規定する債務の保証の対象となる資金の借入れに関する契約の締結をしようとするときは、当該締結をしようとする契約の内容について機構の承認を受けること。
 四 承継協定銀行は、被管理金融機関から引き継いだ業務に係る経理について、その他の業務に係る経理と区分し、被管理金融機関ごとに、特別の勘定(以下「承継勘定」という。)を設けて整理すること。
 五 承継協定銀行は、機構が次条第一項の規定により被管理金融機関の業務承継(被管理金融機関の業務を引き継ぎ、その業務を暫定的に維持継続することをいう。以下附則第十五条の四までにおいて同じ。)に係る事業の経営管理を終えた場合において、当該被管理金融機関に係る承継勘定に属する資産があるときは、当該資産の額に相当する金額を機構に納付すること。
5 機構は、承継機能協定を締結したときは、直ちに、その承継機能協定の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。

(経営管理の終了等)
第十五条の三 機構は、承継協定銀行がその業務を引き継いだ被管理金融機関に対する管理を命ずる処分の日から二年以内に、次に掲げる措置を講ずることにより承継協定銀行の当該被管理金融機関の業務承継に係る事業の経営管理を終えるものとする。ただし、やむを得ない事情によりこの期限内に当該経営管理を終えることができない場合には、一年を限り、この期限を延長することができる。
 一 承継協定銀行を当事者とする吸収分割(当該吸収分割により当該被管理金融機関の業務承継に係る事業の全部を他の金融機関に承継させるものであつて、当該金融機関が機構の子会社及び協定銀行子会社のいずれでもないものに限る。)
 二 承継協定銀行を当事者とする新設分割(当該新設分割により当該被管理金融機関の業務承継に係る事業の全部を承継させるものに限る。)により設立された銀行(以下「新設分割設立銀行」という。)の合併(当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人が機構の子会社及び協定銀行子会社のいずれでもないものに限る。)
 三 承継協定銀行の当該被管理金融機関の業務承継に係る事業の全部の譲渡
 四 新設分割設立銀行の株式の譲渡(当該譲渡により新設分割設立銀行が協定銀行子会社でなくなるものに限る。)
 五 株主総会の決議による新設分割設立銀行の解散
 六 承継協定銀行の当該被管理金融機関について設けた承継勘定に属する資産及び負債を当該承継勘定から協定後勘定に移すとともに、その移した資産の価額から負債の金額を差し引いた額に相当する金額を協定後勘定から当該承継勘定に繰り入れる措置(次条第六項に規定する内閣総理大臣のあつせんを受けて行うものに限る。以下「移管措置」という。)
2 機構は、前項本文の規定による経営管理の終了又は同項ただし書の規定による期限の延長をしようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。
3 機構は、第一項の規定により同項の経営管理を終了したときは、速やかに、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
4 第一項の「協定銀行子会社」とは、承継協定銀行がその総株主の議決権(株主総会において決議することができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主の有する株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。以下この項において同じ。)の百分の五十を超える議決権を有する会社をいう。

(再承継金融機関等に対する資金援助)
第十五条の四 再承継を行う金融機関(次項第一号から第五号までに掲げるものにあつては、承継協定銀行でない者に限る。以下この条において「再承継金融機関」という。)又は再承継を行う銀行持株会社等(以下この条において「再承継銀行持株会社等」という。)は、機構が、再承継を援助するため、資金援助(第五十九条第一項第三号、第六号又は第七号に掲げるものに限る。)を行うことを、機構に申し込むことができる。
2 前項の「再承継」とは、次に掲げるものをいう。
 一 承継協定銀行が被管理金融機関の業務承継に係る事業の全部(承継協定銀行の資産の一部を機構が買い取る場合にあつては、その買い取られる資産に係る部分を除く。)を他の金融機関に承継させる吸収分割
 二 新設分割設立銀行と合併する金融機関が存続する合併
 三 新設分割設立銀行と他の金融機関が合併して金融機関を設立する合併
 四 承継協定銀行が被管理金融機関の業務承継に係る事業の全部(承継協定銀行の資産の一部を機構が買い取る場合にあつては、その買い取られる資産に係る部分を除く。)を他の金融機関に譲渡するもの
 五 新設分割設立銀行の株式の他の金融機関又は銀行持株会社等による取得で当該新設分割設立銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な事項として内閣総理大臣及び財務大臣が定めるものを実施するために行うもの
 六 移管措置
3 第一項の規定による資産の買取りは、次の各号に掲げる再承継の区分に応じ、当該各号に定める資産について行うものとする。
 一 前項第一号に掲げる吸収分割 当該吸収分割により事業を承継した金融機関の資産(当該吸収分割前に承継協定銀行の資産であつたものに限る。)
 二 前項第二号に掲げる合併 当該合併により存続する金融機関の資産(当該合併前に承継協定銀行の資産であつたものに限る。)
 三 前項第三号に掲げる合併 当該合併により設立される金融機関の資産(当該合併前に承継協定銀行の資産であつたものに限る。)
 四 前項第四号に掲げる事業の譲渡 同号の他の金融機関の資産で当該事業の譲渡により譲り受けたもの
 五 前項第五号に掲げる株式の取得 当該株式の取得をされた銀行の資産
 六 前項第六号に掲げる移管措置 当該移管措置により協定後勘定に移された資産
4 第一項の規定による損害担保は、前項各号に掲げる再承継の区分に応じ、当該各号に定める資産である貸付債権について行うものとする。
5 第五十九条第三項、第六項及び第七項並びに第六十一条第一項の規定は第一項の規定による申込みについて、同条第二項から第四項まで及び第六項から第八項までの規定はこの項において準用する同条第一項の認定について、それぞれ準用する。この場合において、第五十九条第三項中「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、第六十一条第一項中「合併等」とあるのは「再承継」と、「破綻金融機関」とあるのは「承継協定銀行」と、「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、「救済銀行持株会社等」とあるのは「再承継銀行持株会社等」と、同条第二項中「破綻金融機関」とあるのは「承継協定銀行」と、「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、「救済銀行持株会社等」とあるのは「再承継銀行持株会社等」と、同条第三項中「合併等」とあるのは「再承継」と、「破綻金融機関」とあるのは「承継協定銀行」と、同条第八項中「破綻金融機関」とあるのは「新設分割設立銀行」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
6 内閣総理大臣は、前項において準用する第六十一条第二項の申請が行われない場合においても、承継協定銀行が前項において準用する同条第三項第三号に掲げる要件に該当すると認めるときは、承継協定銀行及び他の金融機関、承継協定銀行及び銀行持株会社等又は承継協定銀行に対し、書面により、再承継(第二項第三号に掲げる合併を除くものとし、当該再承継が行われることが預金者等その他の債権者の保護に資するものであり、かつ、機構による資金援助が行われることが当該再承継を行うために不可欠であるものに限る。)のあつせんを行うことができる。
7 第六十二条第二項及び第四項から第六項までの規定は前項のあつせんについて、第六十四条(第二項を除く。)及び第六十四条の二の規定は第一項の規定による申込みについて、第六十五条及び第六十六条の規定は第五項において準用する第六十一条第一項の認定又は前項のあつせんを受けた金融機関又は銀行持株会社等について、第六十七条の規定は再承継金融機関について、第六十八条の規定は再承継のための機構による資金援助について、第六十八条の二及び第六十八条の三の規定は当該資金援助(優先株式等の引受け等に係るものに限る。)を受けた再承継金融機関(当該優先株式等の引受け等に係る合併により設立された金融機関を含む。)又は再承継銀行持株会社等(この項において準用する第六十八条の二第一項の承認を受けた場合におけるこの項において準用する同条第二項に規定する会社及びこの項において準用する第六十八条の三第一項の承認を受けた場合におけるこの項において準用する同条第四項に規定する承継金融機関等を含む。)について、それぞれ準用する。この場合において、第六十二条第二項中「前条第一項」とあるのは「附則第十五条の四第五項において準用する前条第一項」と、「第五十九条第一項又は第五十九条の二第一項」とあるのは「附則第十五条の四第一項」と、同条第四項中「前条第四項から第七項まで」とあるのは「附則第十五条の四第五項において準用する前条第四項、第六項及び第七項」と、同条第五項中「破綻金融機関又は破綻金融機関となる蓋然性が高いと認められる金融機関」とあるのは「承継協定銀行」と、第六十四条第三項及び第五項中「合併等」とあるのは「再承継」と、同条第四項及び第五項中「金融機関又は銀行持株会社等」とあるのは「再承継金融機関又は再承継銀行持株会社等」と、第六十四条の二第一項及び第二項中「救済金融機関又は救済銀行持株会社等」とあるのは「再承継金融機関又は再承継銀行持株会社等」と、同項中「合併等」とあるのは「再承継」と、同条第四項中「合併等(同条第二項第二号」とあるのは「再承継(附則第十五条の四第二項第三号」と、「当該合併等」とあるのは「当該再承継」と、同条第五項中「救済金融機関」とあるのは「再承継金融機関」と、「救済銀行持株会社等」とあるのは「再承継銀行持株会社等」と、同条第六項第二号中「金融機関又は銀行持株会社等」とあるのは「再承継金融機関又は再承継銀行持株会社等」と、第六十五条及び第六十八条中「合併等」とあるのは「再承継」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(特定回収困難債権の買取りの委託等)
第十五条の五 機構は、第百一条の二第三項の規定により金融機関の特定回収困難債権の買取りを行う旨の決定をする場合には、協定銀行に対し、機構に代わつて当該特定回収困難債権の買取りを行うことを委託することができる。
2 機構が前項の規定により特定回収困難債権の買取りを委託する場合には、あらかじめ、協定銀行と、特定回収困難債権の買取り並びに当該買い取つた特定回収困難債権の管理及び処分に関する協定であつて次に掲げる事項を含むもの(以下この条において「困難債権整理回収協定」という。)を締結するものとする。
 一 困難債権整理回収協定を締結した協定銀行(以下この条において「困難債権協定銀行」という。)は、前項の規定による特定回収困難債権の買取りの委託の申出を受けた場合において、機構との間でその申出に係る委託の契約を締結したときは、当該委託に係る特定回収困難債権を機構に代わつて買い取り、その買い取つた特定回収困難債権の管理及び処分を行うこと。
 二 困難債権協定銀行は、困難債権整理回収協定の定めによる業務に係る経理については、協定後勘定において整理すること。
 三 困難債権協定銀行は、毎事業年度、困難債権整理回収協定の定めによる業務により生じた利益の額として政令で定めるところにより計算した額があるときは、当該利益の額に相当する金額を機構に納付すること。
 四 困難債権協定銀行は、第一号の規定による特定回収困難債権の買取りに関する契約又は第八項の規定により読み替えて準用されることとなる附則第十一条第一項に規定する債務の保証の対象となる資金の借入れに関する契約の締結をしようとするときは、あらかじめ、当該締結をしようとする契約の内容について機構の承認を受けること。
 五 困難債権協定銀行は、第一号の規定による特定回収困難債権の買取りを行つたときは、速やかに、当該特定回収困難債権の買取りに係る困難債権整理回収協定の定めによる業務の実施計画及び資金計画を作成し、機構の承認を受けること。
 六 困難債権協定銀行は、前号の実施計画又は資金計画を変更しようとするときは、あらかじめ、機構の承認を受けること。
 七 困難債権協定銀行は、困難債権整理回収協定の定めにより金融機関から買い取つた特定回収困難債権(次号において「買取債権」という。)についてその債務者の財産(当該債務者に対する当該債権の担保として第三者から提供を受けている不動産を含む。以下この号及び次号において同じ。)が隠蔽されているおそれがあると認めたとき、その他その債務者の財産の実態を解明することが困難であると認めたときは、速やかに機構に報告すること。
 八 困難債権協定銀行は、買取債権のうち、その債務者の財産に係る権利関係が複雑なものその他その回収に特に専門的な知識を必要とするものについて、機構の求めに応じ、その取立てを機構に委託すること。
 九 困難債権協定銀行は、第七号に定めるもののほか、困難債権整理回収協定の定めによる業務の実施に支障が生じたときは、機構の指導又は助言を受けるため、速やかに機構に報告すること。
 十 困難債権協定銀行は、その役職員が困難債権整理回収協定の定めによる業務に係る職務を行うことにより犯罪があると思料するときは直ちに所要の報告をさせる体制を整備するものとし、かつ、当該報告があつたときは機構に報告するとともに告発に向けて所要の措置をとること。
3 附則第八条第二項及び第三項の規定は、困難債権整理回収協定の締結について準用する。この場合において、同項中「整理回収業務」とあるのは、「業務」と読み替えるものとする。
4 機構は、第一項の規定による委託の申出をするときは、委員会の議決を経て、同項の決定に係る特定回収困難債権の買取りの価格、第八項において準用する附則第十条の二に規定する損失の補#その他の当該委託に関する条件を定め、これを困難債権協定銀行に対して提示するものとする。
5 機構は、困難債権協定銀行との間で第一項の規定による特定回収困難債権の買取りの委託に関する契約を締結したときは、直ちに、その契約の内容を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
6 機構が困難債権協定銀行との間で第二項第一号の委託に関する契約を締結したときは、第一項の決定に係る金融機関の特定回収困難債権の買取りに関する契約は、第百一条の二第五項の規定にかかわらず、困難債権協定銀行が当該金融機関との間で締結するものとする。
7 附則第七条第一項(第一号及び第四号を除く。)の規定は、機構が困難債権協定銀行に対し第一項の規定による特定回収困難債権の買取りの委託を行う場合について準用する。この場合において、同条第一項中「破綻金融機関等(破綻金融機関、承継銀行又は特別危機管理銀行をいう。以下同じ。)との合併により承継し、若しくは破綻金融機関等から譲り受けた事業若しくは引き受けた預金等に係る債務又は移管措置(附則第十五条の三第一項第六号に規定する移管措置をいう。次条において同じ。)により協定後勘定(附則第八条の二第二項第二号に規定する勘定をいう。以下同じ。)に移した資産及び負債の整理を行い、並びに附則第十条第一項の規定による委託を受けて買い取つた資産又は同条第七項に規定する措置により協定後勘定に移した資産の管理及び処分を行うこと(以下「整理回収業務」という。)を目的の一つとする一の銀行と整理回収業務に関する協定(附則第十五条の二及び附則第十五条の五を除き、以下「協定」という。)を締結し、並びに当該協定」とあるのは「附則第十五条の五第二項に規定する困難債権整理回収協定(以下この条において「困難債権整理回収協定」という。)」と、同項第五号中「協定」とあるのは「困難債権整理回収協定」と、「整理回収業務」とあるのは「業務」と、「承継し、又は取得した貸付債権その他の財産(以下「譲受債権等」という。)に係る債権」とあるのは「金融機関から買い取つた特定回収困難債権(次号において「買取債権」という。)」と、同項第六号中「協定」とあるのは「困難債権整理回収協定」と、「整理回収業務」とあるのは「業務」と、「譲受債権等に係る債権」とあるのは「買取債権」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
8 附則第十条の二から第十五条までの規定は、困難債権協定銀行が困難債権整理回収協定に従い困難債権整理回収協定の定めによる業務を行う場合について準用する。この場合において、附則第十一条第一項中「事業の譲受け等により承継し、若しくは引き受ける預金等の払戻し若しくは協定の定めによる資産の買取りのために必要とする資金その他の協定の定めによる整理回収業務の円滑な実施のために必要とする資金又は特別協定の定めによる特別合併の円滑な実施のために必要とする資金」とあるのは「特定回収困難債権の買取りのために必要とする資金その他の困難債権整理回収協定の定めによる業務の円滑な実施のために必要とする資金」と、附則第十三条及び附則第十四条中「附則第七条第一項」とあるのは「附則第十五条の五第七項において読み替えて準用する附則第七条第一項」と、附則第十四条の二第一項各号列記以外の部分中「附則第七条第一項第五号に掲げる業務又は附則第十六条第五項に規定する特別資金援助に係る資産の買取りにより機構が取得した債権(次項において「特定債権」という。)の回収に係る業務(以下この条において「特定業務」という。)」とあるのは「附則第十五条の五第七項において読み替えて準用する附則第七条第一項第五号に掲げる業務」と、同項第一号中「特定業務に係る債務者」とあるのは「債務者(附則第十五条の五第七項において読み替えて準用する附則第七条第一項第五号に規定する債務者をいう。以下この条において同じ。)」と、同項第二号から第四号までの規定中「特定業務に係る債務者」とあるのは「債務者」と、同条第二項中「特定業務を」とあるのは「附則第十五条の五第七項において読み替えて準用する附則第七条第一項第五号に掲げる業務を」と、「特定業務に係る譲受債権等に係る債権又は特定債権」とあるのは「当該業務に係る困難債権整理回収協定の定めにより金融機関から買い取つた特定回収困難債権」と、附則第十五条中「附則第七条第一項第六号に掲げる業務」とあるのは「附則第十五条の五第七項において読み替えて準用する附則第七条第一項第六号に掲げる業務」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

(資金援助の特例)
第十六条 機構は、平成十四年三月三十一日までを限り、第五十九条第一項若しくは第四項又は第六十条第一項の規定による申込みがあつた場合において、当該申込みに係る資金援助に要すると見込まれる費用が、当該資金援助に係る破綻金融機関の保険事故につき保険金の支払(第五十四条第一項から第三項までの規定により計算した保険金の額に基づいてするものをいう。)を行うときに要すると見込まれる費用を超えると認めるときは、当該申込みに係る第六十四条第一項の規定による決定に先立つて、内閣総理大臣及び財務大臣にその旨を報告しなければならない。
2 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の規定による報告を受けた場合において、当該報告のされた資金援助の申込みに係る合併等が行われなければ信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、信用秩序の維持のために当該合併等を行う必要がある旨の認定を行い、その旨を機構に通知しなければならない。
3 第六十一条第四項の規定は、内閣総理大臣及び財務大臣が前項の認定を行う場合について準用する。
4 内閣総理大臣及び財務大臣は、第二項の認定を行う場合において、必要があると認めるときは、日本銀行に対し意見を求めることができる。
5 第六十四条第二項の規定は、第二項の認定を受けた合併等に係る資金援助(以下「特別資金援助」という。)について同条第一項の委員会の議決を行う場合には、適用しない。この場合において、委員会は、特別資金援助が合併等に係る破綻金融機関の財務の状況に照らし当該合併等が行われるために必要な範囲を超えていないと認めるときは、当該特別資金援助を行う旨の決議をすることができる。
6 第百十条第三項(第百十九条において準用する場合を含む。)の規定は、第一項の規定による報告があつた場合における当該報告に係る資金援助については適用しない。

(預金等債権の買取りの特例)
第十七条 機構は、平成十四年三月三十一日までを限り、第七十条第一項の規定により預金等債権の買取りをすることを決定しようとするときは、あらかじめその旨を内閣総理大臣及び財務大臣に報告しなければならない。
2 内閣総理大臣及び財務大臣は、前項の規定による報告を受けた場合において、当該報告のされた預金等債権の買取りに係る概算払率が第七十一条第二項の規定に基づき定められたならば信用秩序の維持に重大な支障が生ずるおそれがあると認めるときは、信用秩序の維持のために必要と認められる概算払率(以下「特別払戻率」という。)を定めて、これを機構に通知しなければならない。
3 第七十一条第三項及び前条第四項の規定は、内閣総理大臣及び財務大臣が前項の特別払戻率を定める場合について準用する。
4 機構は、概算払率を特別払戻率とする預金等債権の買取り(以下「預金等債権の特別買取り」という。)に係る第七十条第一項の規定による決定をしたときは、第七十一条第一項の規定による認可を受けることを要しない。

(区分経理)
第十八条 機構は、次に掲げる業務(平成十四年四月一日以後に開始するものとして政令で定めるものを除く。)に係る経理については、その他の経理と区分し、特別の勘定(以下「特例業務勘定」という。)を設けて整理しなければならない。
 一 第三十四条第三号に掲げる業務のうち、特別資金援助
 二 第三十四条第五号に掲げる業務のうち、預金等債権の特別買取り
 二の二 附則第六条の三第一項及び第六条の四第一項に規定する業務
 三 附則第七条第一項に規定する業務
 三の二 附則第八条の二第一項に規定する業務
 四 次条第一項に規定する特別保険料の収納
 五 前各号の業務に附帯する業務
2 機構は、特別資金援助を行うときは、一般勘定から、当該特別資金援助に係る破綻金融機関の保険事故につき保険金の支払(第五十四条第一項から第三項までの規定により計算した保険金の額に基づいてするものをいう。)を行うときに要すると見込まれる費用に相当する金額を、特例業務勘定に繰り入れるものとする。

(特別保険料等)
第十九条 金融機関は、平成八年度から平成十三年度までの間、第五十条第一項に規定する保険料のほか、機構の特例業務(前条第一項に規定する業務をいう。以下同じ。)の実施に要する費用に充てるため、機構に対し、特別保険料を納付しなければならない。
2 第五十条、第五十一条第一項及び第五十二条の規定は、前項の特別保険料について準用する。この場合において、第五十一条第一項中「機構が委員会の議決を経て定める率(以下この条において「保険料率」という。)」とあるのは、「附則第十九条第三項に規定する特別保険料率」と読み替えるものとする。
3 特別保険料率は、特例業務に要する費用の予想額(前条第二項の規定による一般勘定から特例業務勘定への繰入れにより賄われると見込まれる費用の額を除く。)及び金融機関の財務の状況を勘案し、政令で定めるものとする。この場合において、政令で定める特別保険料率は、特定の金融機関に対し差別的なものであつてはならない。
4 機構は、第五十条第二項(第百二十二条第四項及び第二項において準用する場合を含む。)に定めるところによるほか、第五十条第一項若しくは第百二十二条第一項の規定又は第一項の規定にかかわらず、定款で定めるところにより、協定銀行の保険料、負担金及び同項の特別保険料を免除することができる。

(基金の設置)
第十九条の二 機構は、特例業務勘定にその健全性を確保し、かつ、特例業務を円滑に実施するための基金(以下「特例業務基金」という。)を置き、附則第十九条の四第二項又は第三項の規定により政府が交付する国債をこれに充てるものとする。

(特例業務基金の使用等)
第十九条の三 機構は、附則第十八条第一項第一号から第三号まで(第二号の二を除く。)に掲げる業務(同項第三号に掲げる業務にあつては、附則第七条第一項第二号に規定する損失の補てんに係る業務に限る。)を行う場合において、特例業務勘定の健全性を確保し、かつ、これらの業務を円滑に実施するため必要があると認めるときは、これらの業務の別に応じ政令で定めるところにより計算した金額を限り、特例業務基金を使用することができる。
2 機構は、前項の規定によるほか、機構が附則第十八条第一項第一号から第二号の二までに掲げる業務の終了の日として政令で定める日において特例業務勘定に累積欠損金として内閣府令・財務省令で定めるところにより計算した金額があるときは、当該金額(機構が同日までに行つた特別資金援助又は譲受債権等に係る損失の補てんに係る機構の費用又は損失のうちに破綻金融機関で政令で定めるものに係るものがあるときの政令で定める金額、機構が同日までに行つた附則第六条の三第一項の規定による資産の買取り(附則第十条第一項の規定により協定銀行が機構の委託を受けて資産の買取りを行う場合を含む。)に係る機構の費用として政令で定める金額及び機構が同日までに行つた附則第六条の四第一項の規定による損失の補てんに要した金額として政令で定める金額の合計額を控除した金額)を限り、特例業務基金を使用することができる。
3 機構は、前二項の規定により特例業務基金を使用した場合において、その使用に係る金額の全部又は一部が返還されたときは、その返還された金額を特例業務基金に充てるものとする。
4 第四十三条の規定は、特例業務基金に属する現金の運用について準用する。

(政府からの国債の交付)
第十九条の四 政府は、特例業務基金に充てるため、国債を発行することができる。
2 政府は、前項の規定により、七兆円を限り、国債を発行し、これを機構に交付するものとする。
3 前項の規定により交付するものとされている国債の額に相当する金額のほか、政府は、第一項の規定により、六兆円を限り、国債を発行し、これを機構に交付するものとする。
4 第一項の規定により発行する国債は、無利子とする。
5 第一項の規定により発行する国債については、政令で定める場合を除くほか、譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができない。
6 前各項に定めるもののほか、第一項の規定により発行する国債に関し必要な事項は、財務省令で定める。

(国債の償還等)
第十九条の五 政府は、機構が附則第十九条の三第一項又は第二項の規定により特例業務基金を使用するため、前条第二項又は第三項の規定により交付した国債の全部又は一部につき機構から償還の請求を受けたときは、速やかに、その償還をしなければならない。
2 政府は、国債整理基金特別会計に所属する株式に係る平成九年度以後の売払収入金を、前項の規定による償還に要する費用の財源に優先して充てるものとする。
3 前条第一項の規定により発行する国債は、国債整理基金特別会計法(明治三十九年法律第六号)第二条第二項の規定の適用については、国債とみなさない。
4 平成九年度から特例業務勘定の廃止の年度までの間における日本電信電話株式会社の株式の売払収入金(以下この項において「特定期間売払収入金」という。)に係る日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法(昭和六十二年法律第八十六号)第六条第一項の規定の適用については、平成九年度から当該廃止の年度までの間においては、特定期間売払収入金は、同項の売払収入金に該当しないものとみなす。

第十九条の六 政府は、附則第十九条の四第一項の規定により発行した国債の円滑な償還を確保するため、前条第二項の規定による財源のほか、国債整理基金特別会計法の規定による繰入れを適切に行うものとし、当該繰入れに要する費用に充てるための財源の適切な確保に努めるものとする。

(借入金及び債券の特例並びに政府保証)
第二十条 機構は、第四十二条第一項又は第二項の規定によるほか、附則第十八条第一項第一号から第三号の二までに掲げる業務を行うために必要があると認めるときは、政令で定める金額の範囲内において、内閣総理大臣及び財務大臣の認可を受けて、日本銀行、金融機関その他の者から資金の借入れ(借換えを含む。)をし、又は債券の発行(債券の借換えのための発行を含む。)をすることができる。
2 第四十二条第四項及び第四十二条の二の規定は、前項の規定により機構が資金の借入れ又は債券の発行をする場合について準用する。
3 第一項の規定により発行される債券については、これを第四十二条第一項の規定により発行される債券とみなして、同条第五項から第九項までの規定を適用する。

(特例業務基金の残余の処分等)
第二十条の二 機構は、特例業務勘定を廃止する場合において、特例業務基金に附則第十九条の四第二項又は第三項の規定により交付した国債のうち償還されていないものがあるときは、その償還されていない国債を政府に返還しなければならない。
2 政府は、前項の規定により国債が返還された場合には、直ちに、これを消却しなければならない。
3 機構は、特例業務勘定を廃止する場合において、第一項の規定により返還することとなる国債のほかに特例業務基金に残余があるときは、当該残余の額を国庫に納付しなければならない。

第二十条の三 機構は、特例業務勘定を廃止する場合において、特例業務勘定に剰余金として内閣府令・財務省令で定めるところにより計算した金額があるときは、当該金額を、附則第十九条の三第一項及び第二項の規定による特例業務基金の使用に係る金額の合計額から同条第三項の規定により特例業務基金に充てた金額の合計額を控除して得た金額(次条第二項において「基金使用額」という。)を限り、国庫に納付しなければならない。

(特例業務勘定の廃止)
第二十一条 機構は、平成十四年度末において、特例業務勘定を廃止するものとし、政令で定めるところにより、その廃止の際特例業務勘定に属する資産及び負債を一般勘定に帰属させるものとする。
2 機構は、前項の規定により特例業務勘定に属する資産及び負債を一般勘定に帰属させた後に、特例業務基金の使用に係る金額の返還がされたとき、附則第七条第一項第二号の二の規定による金銭の収納(附則第十八条第一項第三号に掲げる業務に係るものに限る。)をしたとき、又は特別資金援助に係る資産の買取り若しくは特例資産譲受人等からの資産の買取りにより機構が取得した資産(以下この項において「特定資産」という。)につき政令で定める事由により利益が生じたときは、その返還がされた金額、その収納をした金銭の額及びその生じた利益の金額として政令で定める金額(特定資産につき政令で定める事由により損失が生じているときは、当該利益の金額から当該損失の金額として政令で定める金額の合計額(この項の規定により既に利益の金額から控除した金額を除く。)を控除した残額)を、基金使用額から前条の規定により国庫に納付した金額を控除して得た金額に達するまでを限り、国庫に納付しなければならない。

(区分経理の特例等)
第二十一条の二 附則第八条の二第一項に規定する債権処理会社(以下この項及び次条第三項において「債権処理会社」という。)及び協定銀行は、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法第十二条の二第二項第二号及び附則第八条の二第二項第二号の規定にかかわらず、債権処理会社の業務の終了のため、同法第八条に規定する譲受債権等であつて預金保険法の一部を改正する法律(平成二十三年法律第四十五号)の施行の際現に特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法第十二条の二第二項第二号に規定する勘定に属するもの(以下この条において「住専債権」という。)を当該勘定から協定後勘定に移転することができる。この場合において、協定銀行はその移転した住専債権の額に相当する金額を、協定後勘定から同号に規定する勘定に繰り入れるものとする。
2 前項の規定により協定後勘定に移転した住専債権については、附則第七条第一項第五号に規定する譲受債権等とみなして、附則第七条から第九条まで及び第十条の二から第十五条までの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、附則第七条第一項中「資産又は」とあるのは「資産、」と、「の管理」とあるのは「又は附則第二十一条の二第一項の規定により協定後勘定に移転した同項に規定する住専債権の管理」と、附則第十一条第一項中「又は特別協定」とあるのは「 、特別協定」と、「について」とあるのは「又は附則第二十一条の二第一項の規定による繰入れのために必要とする資金について」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。
3 協定銀行は、第一項の規定による住専債権の移転を行うときは、附則第八条の二第二項第二号の規定にかかわらず、協定後勘定から特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法第八条に規定する損失を補填するために必要な金額を同法第十二条の二第二項第二号に規定する勘定に繰り入れることができる。

(課税の特例)
第二十二条 協定銀行が協定の定めにより附則第八条第一項第一号に規定する内閣総理大臣のあつせんを受けて行う破綻金融機関等の事業の譲受け等又は同項第二号に規定する機構の委託を受けて行う資産の買取り(以下この条において「協定に基づく譲受け等」という。)により不動産に関する権利の取得をした場合には、当該不動産に関する権利の移転の登記については、財務省令で定めるところにより当該取得後三年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税を課さない。
2 協定銀行が協定に基づく譲受け等により取得をした土地又は土地の上に存する権利の譲渡(租税特別措置法第六十二条の三第二項第一号イに規定する譲渡をいう。)は、協定銀行に係る同条並びに同法第六十三条、第六十八条の六十八及び第六十八条の六十九の規定の適用については、同法第六十二条の三第二項第一号に規定する土地の譲渡等には該当しないものとする。
3 前条第三項の規定による繰入れが行われた場合における債権処理会社については、所得税法等の一部を改正する法律(平成二十三年法律第   号)附則第二十三条第二項各号に掲げる事実が生じた法人とみなして、同項の規定を適用する。この場合において、同項中「当該各号に掲げる事実の区分に応じ当該各号に定める日」とあるのは、「特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成八年法律第九十三号)第十二条第二号の承認の日以後十五年を経過する日」とする。

(法律の適用)
第二十三条 附則第十八条第一項の規定により特別の勘定が設けられている場合には、次に定めるところによる。
 一 第三十四条第一号の規定の適用については、同号中「保険料の収納」とあるのは、「保険料の収納及び附則第十九条の規定による特別保険料の収納」とする。
 二 第四十条の二の規定の適用については、特別資金援助及び預金等債権の特別買取りは同条第一号に掲げる業務に該当しないものとみなし、附則第十八条第二項の規定による一般勘定から特例業務勘定への繰入れは第四十条の二第一号に掲げる業務とみなす。
 三 第四十二条の規定の適用については、特別資金援助及び預金等債権の特別買取りは同条第一項に規定する業務に該当しないものとみなし、附則第十八条第二項の規定による一般勘定から特例業務勘定への繰入れは第四十二条第一項に規定する業務とみなす。
 四 第五十一条第二項の規定の適用については、附則第六条の三第一項、第六条の四第一項、第七条第一項及び第八条の二第一項に規定する機構の業務(附則第七条第一項に規定する機構の業務にあつては、附則第十八条第一項第三号に掲げるものに限る。)並びに特別資金援助及び預金等債権の特別買取りは第五十一条第二項に規定する機構の業務に該当しないものとみなし、附則第十八条第二項の規定による一般勘定から特例業務勘定への繰入れは第五十一条第二項に規定する機構の業務とみなす。
2 附則第六条の三第一項に規定する機構の業務が行われる場合における第百五十二条の規定の適用については、同条第三号中「第三十四条」とあるのは、「第三十四条及び附則第六条の三第一項」とする。
3 附則第六条の四第一項に規定する機構の業務が行われる場合における第百五十二条の規定の適用については、同条第三号中「第三十四条」とあるのは、「第三十四条及び附則第六条の四第一項」とする。
4 附則第七条第一項に規定する機構の業務が行われる場合には、次に定めるところによる。
 一 第四十一条の規定の適用については、同条中「一般勘定(前条第一号に掲げる業務に係る勘定をいう。以下同じ。)」とあるのは、「一般勘定(前条第一号に掲げる業務及び附則第七条第一項に規定する業務(平成十四年四月一日以後に開始するものとして政令で定めるものに限る。)に係る勘定をいう。以下同じ。)」とする。
 二 第四十二条の規定の適用については、附則第七条第一項に規定する業務(平成十四年四月一日以後に開始するものとして政令で定めるものに限る。次号において同じ。)は、第四十二条第一項に規定する業務とみなす。
 三 第五十一条第二項の規定の適用については、附則第七条第一項に規定する業務は、第五十一条第二項に規定する機構の業務とみなす。
 四 協定銀行が承継銀行と合併する場合における第九十六条第一項の適用については、同項第一号中「当該承継銀行の合併(当該合併後存続する法人又は当該合併により設立された法人が機構の子会社でないものに限る。)」とあるのは、「当該承継銀行の合併」とする。
 五 協定銀行が特別危機管理銀行と合併する場合における第百二十条第一項の適用については、同項第一号中「存続する合併(当該合併後に存続する法人が機構の子会社でないものに限る。)」とあるのは「存続する合併」と、同項第二号中「設立する合併(当該合併により設立された法人が機構の子会社でないものに限る。)」とあるのは「設立する合併」とする。
 六 第百五十二条の規定の適用については、同条第三号中「第三十四条」とあるのは、「第三十四条及び附則第七条第一項」とする。
5 附則第八条の二第一項に規定する機構の業務が行われる場合には、第百五十二条の規定の適用については、同条第三号中「第三十四条」とあるのは、「第三十四条及び附則第八条の二第一項」とする。
6 附則第十五条の二から第十五条の四までに規定する機構の業務が行われる場合には、次に定めるところによる。
 一 第四十一条の規定の適用については、同条中「一般勘定(前条第一号に掲げる業務に係る勘定をいう。以下同じ。)」とあるのは、「一般勘定(前条第一号に掲げる業務及び附則第十五条の二から第十五条の四までに規定する業務に係る勘定をいう。以下同じ。)」とする。
 二 第四十二条の規定の適用については、附則第十五条の二から第十五条の四までに規定する業務は、第四十二条第一項に規定する業務とみなす。
 三 第五十一条第二項の規定の適用については、附則第十五条の二から第十五条の四までに規定する業務は、第五十一条第二項に規定する機構の業務とみなす。
 四 第百四十六条の規定の適用については、同条第一号中「及び第百一条第七項」とあるのは、「 、第百一条第七項及び附則第十五条の四第七項」とする。
 五 第百四十七条の規定の適用については、同条第二号中「及び第百十八条第四項」とあるのは、「 、第百十八条第四項及び附則第十五条の四第七項」とする。
 六 第百五十一条第一項の規定の適用については、同項第三号中「及び第百一条第七項」とあるのは、「 、第百一条第七項及び附則第十五条の四第七項」とする。
 七 第百五十二条の規定の適用については、同条第三号中「第三十四条」とあるのは「第三十四条及び附則第十五条の二から第十五条の四まで」と、同条第八号中「及び第百十八条第二項」とあるのは「 、第百十八条第二項及び附則第十五条の四第五項」と、「及び第百十八条第四項」とあるのは「 、第百十八条第四項及び附則第十五条の四第七項」とする。
7 附則第十五条の五に規定する機構の業務が行われる場合には、次に定めるところによる。
 一 第四十一条の規定の適用については、同条中「一般勘定(前条第一号に掲げる業務に係る勘定をいう。以下同じ。)」とあるのは、「一般勘定(前条第一号に掲げる業務及び附則第十五条の五に規定する業務に係る勘定をいう。以下同じ。)」とする。
 二 第四十二条の規定の適用については、附則第十五条の五に規定する業務は、第四十二条第一項に規定する業務とみなす。
 三 第五十一条第二項の規定の適用については、附則第十五条の五に規定する業務は、第五十一条第二項に規定する機構の業務とみなす。
 四 第百五十二条の規定の適用については、同条第三号中「第三十四条」とあるのは、「第三十四条及び附則第十五条の五」とする。
8 次の各号に掲げる場合における当該各号に定める規定の適用については、当該規定中「第五十四条第一項から第三項まで」とあるのは、「附則第六条の二」とする。
 一 附則第六条の二第一項の保険事故に係る破綻金融機関の預金等に係る債務を他の金融機関が引き受ける場合 第二条第十一項
 二 附則第六条の二第一項の保険事故に係る第五十三条第一項に規定する保険金の支払の請求があつた場合 第五十八条第一項
 三 附則第六条の二第一項の保険事故に係る破綻金融機関が営業の一部を他の金融機関に譲渡する場合 第五十九条第二項
 四 機構が附則第六条の二第一項の保険事故に係る破綻金融機関(第百二十七条第一項各号に掲げる金融機関に限る。)から預金等の払戻しのために必要とする資金の貸付けの申込みを受けた場合 第百二十七条第一項
9 第五十四条の二第一項の場合において、附則第六条の二第一項の保険事故が発生したときにおける第五十四条の二の規定の適用については、同条第一項中「前条第一項から第三項まで」とあるのは「附則第六条の二」と、同条第二項中「前条第二項」とあるのは「附則第六条の二第二項」とする。
10 第五十四条の二第一項の場合において、次に掲げる規定により機構が保険金の額を計算するときにおける当該規定の適用については、当該規定中「第五十四条第一項から第三項まで」とあるのは、「第五十四条第一項から第三項まで並びに第五十四条の二第一項及び第二項」とする。
 一 附則第十六条第一項
 二 附則第十八条第二項

(罰則)
第二十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした機構の役員又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。
 一 附則第十条第三項若しくは第九項、附則第十一条第二項(附則第十五条の五第八項において準用する場合を含む。)、附則第十五条の二第五項、附則第十五条の三第三項又は第十五条の五第五項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
 二 附則第十六条第一項又は第十七条第一項の規定による報告をしなかつたとき。
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
 一 附則第十四条(附則第十五条の五第八項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 二 附則第十四条の二(附則第十五条の五第八項において準用する場合を含む。)の規定による立入り又は現況の確認を拒み、妨げ、又は忌避した者
 三 附則第十四条の二(附則第十五条の五第八項において準用する場合を含む。)の規定による機構の職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
 四 附則第十四条の二(附則第十五条の五第八項において準用する場合を含む。)の規定による帳簿等の提示を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは帳簿等につき説明をせず、又は偽りの記載をした帳簿等を提示し、若しくは帳簿等につき偽りの説明をした者

第二十五条 法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの(以下この条において「人格のない社団等」という。)を含む。以下この項において同じ。)の代表者(人格のない社団等の管理人を含む。)又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、前条第二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同項の刑を科する。
2 人格のない社団等について前項の規定の適用がある場合においては、その代表者又は管理人がその訴訟行為につき当該人格のない社団等を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

   附 則 [平成10年10月16日法律第133号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して十日を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第二条及び附則第十六条から第十八条までの規定は、平成十一年四月一日から施行する。

(第一条の規定による改正に伴う経過措置)
第二条 金融再生委員会設置法(平成十年法律第百三十号)の施行の日の前日までの間における第一条の規定による改正後の預金保険法(以下この条から附則第五条まで及び附則第九条において「新法」という。)の規定の適用については、新法中「金融再生委員会」とあるのは「内閣総理大臣」とする。
2 第一条の規定による改正前の預金保険法(以下この条から附則第五条まで及び附則第九条において「旧法」という。)の規定により大蔵大臣その他の国の機関がした認可、承認、認定その他の処分又は通知その他の行為は、新法の相当規定に基づいて、金融再生委員会及び大蔵大臣その他の相当の国の機関がした認可、承認、認定その他の処分又は通知その他の行為とみなす。
3 第一条の規定の施行の際現に旧法の規定により大蔵大臣その他の国の機関に対してされている申請その他の行為は、新法の相当規定に基づいて、金融再生委員会及び大蔵大臣その他の相当の国の機関に対してされた申請その他の行為とみなす。
4 旧法の規定により大蔵大臣その他の国の機関に対し報告、提出その他の手続をしなければならない事項で第一条の規定の施行の日(以下「施行日」という。)前にその手続がされていないものについては、これを、新法の相当規定に基づいて金融再生委員会及び大蔵大臣その他の相当の国の機関に対して報告、提出その他の手続をしなければならない事項についてその手続がされていないものとみなして、新法の規定を適用する。
5 第一条の規定の施行の際現に効力を有する旧法の規定に基づく命令は、新法の相当規定に基づく命令としての効力を有するものとする。

第三条 第一条の規定の施行の際現に旧法第二十六条に規定する理事長、理事又は監事である者は、それぞれ施行日に新法の相当規定により理事長、理事又は監事として任命されたものとみなす。この場合において、その任命されたものとみなされる者の任期は、新法第二十七条第一項の規定にかかわらず、施行日における旧法第二十七条第一項の規定による理事長、理事又は監事のそれぞれの任期の残任期間と同一の期間とする。

第四条 平成十年度において新法附則第二十条第二項において準用する新法第四十二条の二の規定により政府が新法附則第二十条第一項の借入れ又は債券に係る債務の保証をする場合には、旧法附則第二十条第二項において準用する旧法第四十二条の二の規定に基づく国会の議決を経た金額(平成十年度に係るものに限る。)の範囲内においても、これをすることができる。

第五条 新法附則第二十二条第一項の規定は、施行日以後に同項に規定する協定に基づく譲受け等により不動産に関する権利の取得をする場合における同項に規定する登記に係る登録免許税について適用し、施行日前に旧法附則第二十二条第一項に規定する協定に基づく譲受け等により不動産に関する権利の取得をした場合における同項に規定する登記に係る登録免許税については、なお従前の例による。

第六条 第一条の規定の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第七条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、第一条の規定の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(第二条の規定による改正に伴う経過措置)
第十六条 第二条の規定の施行の日前に同条の規定による改正前の預金保険法(以下「旧法」という。)附則第六条の三第一項の規定によるあっせんがされた特定合併(同項に規定する特定合併をいう。)に関し機構が行う同条から旧法附則第六条の八までの規定による資金援助及び旧法附則第七条第一項の規定による業務については、なお従前の例による。

第十七条 第二条の規定の施行前にした行為及び前条の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係る第二条の規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第十八条 前二条に定めるもののほか、第二条の規定の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成11年7月16日法律第87号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十二年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
[各号略]

   附 則 [平成11年8月13日法律第125号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 [平成11年12月22日法律第160号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第九百九十五条(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律附則の改正規定に係る部分に限る。)、第千三百五条、第千三百六条、第千三百二十四条第二項、第千三百二十六条第二項及び第千三百四十四条の規定 公布の日
 二 第三章(第三条を除く。)及び次条の規定 平成十二年七月一日

   附 則 [平成12年5月31日法律第91号]

(施行期日)
1 この法律は、商法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十号)の施行の日から施行する。

   附 則 [平成12年5月31日法律第93号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十三年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 附則第四条第一項の規定 公布の日
 二 第一条、第二条、第四条及び第五条並びに附則第二条、第三条、第四条第二項、第十三条、第十八条、第十九条、第二十三条及び第二十四条の規定 公布の日から起算して、一月を超えない範囲内において政令で定める日
 三 附則第二十二条の規定(中央省庁等改革関係法施行法(平成十一年法律第百六十号)第五十三条の改正規定に限る。) 平成十二年七月一日
 四 附則第十条第一項、第十四条及び第二十二条の規定(中央省庁等改革関係法施行法第五十三条の改正規定を除く。) 平成十三年一月六日

(経過措置)
第二条 前条第二号の政令で定める日(以下「政令で定める施行日」という。)前に第一条の規定による改正後の預金保険法(以下「新預金保険法」という。)第四十九条第二項に規定する保険事故が発生している連合会(新預金保険法第二条第一項第六号から第八号までに掲げる者をいう。以下この条及び次条において同じ。)その他これに準ずるものとして政令で定める連合会については、新預金保険法の規定は適用しない。
2 前項の連合会のうち、政令で定める施行日以後にその事業及び財産の状況が再び正常になったと認められるもので、金融再生委員会及び大蔵大臣(労働金庫連合会にあっては、金融再生委員会及び大蔵大臣並びに労働大臣)が指定するものについては、その指定をした日から、新預金保険法の規定を適用する。

第三条 連合会は、新預金保険法第五十条第一項の規定にかかわらず、政令で定める施行日から起算して一月以内に、政令で定める施行日を含む事業年度において納付すべき保険料を納付しなければならない。
2 前項の保険料の額については、新預金保険法第五十一条第一項中「当該保険料を納付すべき日」とあるのは「預金保険法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十三号)第一条の規定の施行の日」と、「月数」とあるのは「月数のうち同日を含む月以後の月数」とする。

第四条 預金保険機構(以下「機構」という。)は、政令で定める施行日前に、第一条の規定による改正前の預金保険法(以下「旧預金保険法」という。)附則第七条第一項に規定する協定銀行(次項において「協定銀行」という。)との間で新預金保険法附則第七条第一項の規定の例による協定(以下「新協定」という。)を、政令で定める施行日以後その効力が生ずるものとして締結するものとする。この場合において、旧預金保険法附則第七条第一項の規定により締結された協定(次項において「旧協定」という。)は、政令で定める施行日以後その効力を失うものとする。
2 前項の場合において、政令で定める施行日前に旧協定の定めにより協定銀行が行った旧預金保険法附則第八条第一項第一号の申込み、協定銀行と機構との間で締結された同号の契約及び同項第二号の委託の契約、機構がした同項第三号から第五号までの承認並びに協定銀行がした同項第八号の委託は、協定銀行と機構との間で新協定に基づき別途の取扱いをするものを除き、それぞれ、新協定の定めにより協定銀行が行った新預金保険法附則第八条第一項第一号の申込み、協定銀行と機構との間で締結された同号の契約及び同項第二号の委託の契約、機構がした同項第三号から第五号までの承認並びに協定銀行がした同項第八号の委託とみなす。

第五条 第六条の規定による改正後の預金保険法(次条並びに附則第七条、第九条及び第十条において「新々預金保険法」という。)第四十条第三項の規定は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後に終了する事業年度に係る同項に規定する書類について適用し、施行日前に終了した事業年度に係る同項に規定する書類については、なお従前の例による。

第六条 新々預金保険法第五十四条及び新々預金保険法附則第六条の二の規定は、施行日以後に発生する新々預金保険法第四十九条第二項に規定する保険事故(以下この条及び附則第九条において「保険事故」という。)に係る保険金の計算について適用し、施行日前に発生した保険事故に係る保険金の計算については、なお従前の例による。

第七条 新々預金保険法第三章第四節の規定は、施行日以後に新々預金保険法第六十四条第一項の資金援助を行う旨の決定をする場合における当該決定に係る資金援助について適用し、施行日前に第六条の規定による改正前の預金保険法第六十四条第一項の資金援助を行う旨の決定をした場合における当該決定に係る資金援助については、なお従前の例による。

第八条 施行日前に第六条の規定による改正前の預金保険法第六十八条第一項に規定する緊急性の認定が行われた場合における当該認定に係る合併又は営業譲渡等については、なお従前の例による。

第九条 新々預金保険法第四章の規定及び新々預金保険法附則第十七条の規定は、施行日以後に発生した保険事故に係る預金等債権(新々預金保険法第七十条第一項に規定する預金等債権をいう。以下この条において同じ。)について適用し、施行日前に発生した保険事故に係る預金等債権については、なお従前の例による。

第十条 機構は、施行日前に、第六条の規定による改正前の預金保険法附則第七条第一項に規定する協定銀行(次項において「協定銀行」という。)との間で新々預金保険法附則第七条第一項の規定の例による協定(次項において「新々協定」という。)を、施行日以後その効力が生ずるものとして締結するものとする。この場合において、第六条の規定による改正前の預金保険法附則第七条第一項の規定により締結された協定は、施行日以後その効力を失うものとする。
2 前項の場合において、施行日前に第六条の規定による改正前の預金保険法附則第七条第一項の規定により締結された協定の定めにより協定銀行が行った第六条の規定による改正前の預金保険法附則第八条第一項第一号の申込み、協定銀行と機構との間で締結された同号の契約及び同項第二号の委託の契約、機構がした同項第三号から第五号までの承認並びに協定銀行がした同項第八号の委託は、協定銀行と機構との間で新々協定に基づき別途の取扱いをするものを除き、それぞれ、新々協定の定めにより協定銀行が行った新々預金保険法附則第八条第一項第一号の申込み、協定銀行と機構との間で締結された同号の契約及び同項第二号の委託の契約、機構がした同項第三号から第五号までの承認並びに協定銀行がした同項第八号の委託とみなす。
3 新々預金保険法附則第八条第一項第二号の二及び第十条の二の規定は、施行日以後に生じた新々預金保険法附則第八条第一項第二号の二に規定する利益及び新々預金保険法附則第十条の二に規定する損失について適用し、施行日前に生じた当該利益及び損失については、なお従前の例による。

第十一条 信託会社が第七条の規定の施行の際現に信託財産として所有する同条の規定による改正後の信託業法(以下この条において「新信託業法」という。)第十条第二項に規定する登録社債等(次に掲げる要件のいずれをも満たすものに限る。)については、施行日において当該信託会社が当該登録社債等につき信託の登録を受けたものとみなして、信託法(大正十一年法律第六十二号)第三条第一項の規定を適用する。この場合において、信託会社が信託の本旨に反して当該信託財産を処分したときは、受益者は、同法第三十一条ただし書の規定にかかわらず、処分の相手方及び転得者においてその処分が信託の本旨に反することを知っていたとき又は重大な過失によってこれを知らなかったときに限り同条の規定による取消しをすることができる。
 一 当該登録社債等につき、施行日前に、当該信託会社が、社債等登録法(昭和十七年法律第十一号)第五条の移転の登録を、新信託業法第十条第二項に規定する内閣府令、法務省令の定めるところと同一の方法により信託財産である旨を明示して行っていたこと。
 二 当該登録社債等につき、前号の移転の登録をした時から施行日の前日までの間に他の登録(社債等登録法第五条の担保権の登録その他の内閣府令、法務省令で定める登録を除く。)がなされていないこと。
 三 この法律の施行の際、内閣府令、法務省令で定めるところにより当該登録社債等が信託財産であることが明示されていること。
2 信託会社が第七条の規定の施行の際現に信託財産として所有する新信託業法第十条第三項に規定する登録国債(次に掲げる要件のいずれをも満たすものに限る。)については、施行日において当該信託会社が当該登録国債につき信託の登録を受けたものとみなして、信託法第三条第一項の規定を適用する。この場合において、信託会社が信託の本旨に反して当該信託財産を処分したときは、受益者は、同法第三十一条ただし書の規定にかかわらず、処分の相手方及び転得者においてその処分が信託の本旨に反することを知っていたとき又は重大な過失によってこれを知らなかったときに限り同条の規定による取消しをすることができる。
 一 当該登録国債につき、施行日前に、当該信託会社が、国債に関する法律(明治三十九年法律第三十四号)第三条の移転の登録を、新信託業法第十条第三項に規定する内閣府令、財務省令の定めるところと同一の方法により信託財産である旨を明示して行っていたこと。
 二 当該登録国債につき、前号の移転の登録をした時から施行日の前日までの間に他の登録(国債に関する法律第三条の質権の登録その他の内閣府令、財務省令で定める登録を除く。)がなされていないこと。
 三 この法律の施行の際、内閣府令、財務省令で定めるところにより当該登録国債が信託財産であることが明示されていること。

第十二条 第十一条の規定による改正後の金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第四章の二の規定は、施行日前に金融機関(同条の規定による改正前の金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(以下この条において「旧更生特例法」という。)第二条第三項に規定する金融機関をいう。)又は証券会社(旧更生特例法第二条第四項に規定する証券会社をいう。)について再生手続の申立てがあった事件については、適用しない。

(罰則の適用に関する経過措置)
第二十三条 この法律の各改正規定の施行前にした行為及びこの附則の規定によりなお従前の例によることとされる事項に係る各改正規定の施行後にした行為に対する罰則の適用については、それぞれなお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第二十四条 附則第二条から第十二条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に際し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成12年5月31日法律第97号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。ただし、附則第四十八条の規定は、預金保険法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第九十三号)第六条の施行の日(平成十三年四月一日)から施行する。

   附 則 [平成13年3月30日法律第7号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十三年四月一日から施行する。[後略]

   附 則 [平成13年6月27日法律第75号] [抄]

(施行期日等)
第一条 この法律は、平成十四年四月一日(以下「施行日」という。)から施行し、施行日以後に発行される短期社債等について適用する。

   附 則 [平成13年6月29日法律第80号]

 この法律は、商法等改正法の施行の日から施行する。

   附 則 [平成13年11月9日法律第117号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。[後略]

 (その他の経過措置の政令への委任)
第十六条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置(罰則に係る経過措置を含む。)は、政令で定める。

   附 則 [平成13年11月28日法律第129号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、平成十四年四月一日から施行する。[後略]
(罰則の適用に関する経過措置)
2 この法律の施行前にした行為及びこの法律の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [平成14年5月29日法律第45号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 [平成14年7月3日法律第79号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十四年八月一日から施行する。[後略]

(政令への委任)
第三十五条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の規定の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成14年12月13日法律第155号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)の施行の日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第三条 この法律の施行前にした行為及びこの法律の規定により従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

   附 則 [平成14年12月18日法律第175号]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十五年四月一日から施行する。

(経過措置)
第二条 金融機関(この法律による改正後の預金保険法(以下「新預金保険法」という。)第二条第一項に規定する金融機関をいう。以下同じ。)が、新預金保険法第五十条の規定により平成十五年四月一日に開始する営業年度(同条第一項に規定する営業年度をいう。以下同じ。)に納付する次の各号に掲げる保険料の額は、新預金保険法第五十一条第一項及び第五十一条の二第一項の規定(次条及び附則第四条において「保険料計算規定」という。)にかかわらず、各金融機関につき、当該各号に定める金額とする。
 一 一般預金等(新預金保険法第五十一条第一項に規定する一般預金等をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされるもの及び新預金保険法附則第六条の二の三の規定により決済用預金とみなされる特定預金に該当するものを除く。次条第一号において同じ。)に係る保険料 平成十五年三月三十一日に終了する営業年度の各日におけるその他預金等(新預金保険法附則第六条の二第一項第二号に規定するその他預金等をいう。)の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、保険料率(新預金保険法第五十一条第一項に規定する保険料率をいう。次条第一号及び附則第四条第一号において同じ。)を乗じて得た金額
 二 決済用預金(新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する決済用預金をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされる一般預金等及び新預金保険法附則第六条の二の三の規定により決済用預金とみなされる特定預金を含む。次条第二号において同じ。)に係る保険料(新預金保険法第六十九条の二第一項の規定により決済用預金に係る保険料とみなされる特定決済債務に係る保険料を含む。次条第二号及び附則第四条第二号において同じ。) 平成十五年三月三十一日に終了する営業年度の各日における特定預金(新預金保険法附則第六条の二第一項第一号に規定する特定預金をいう。)の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する率を乗じて得た金額

第三条 特定決済債務(新預金保険法第六十九条の二第一項に規定する特定決済債務をいう。第二号及び次条において同じ。)について各日においてその額を計算することが困難なものとして内閣総理大臣の承認を受けた金融機関が、新預金保険法第五十条の規定により平成十六年四月一日に開始する営業年度に納付する次の各号に掲げる保険料の額は、保険料計算規定にかかわらず、各金融機関につき、当該各号に定める金額とする。
 一 一般預金等に係る保険料 平成十六年三月三十一日に終了する営業年度の各日における一般預金等の額の合計額を平均した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、保険料率を乗じて得た金額
 二 決済用預金に係る保険料 次に掲げる金額を合算した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する率を乗じて得た金額
  イ 平成十六年三月三十一日に終了する営業年度の各日における決済用預金の額の合計額を平均した額
  ロ 平成十六年三月三十一日に終了する営業年度の各日における特定決済債務の額の合計額を平均した額に準ずる額として政令で定めるところにより計算した額

第四条 一般預金等(新預金保険法第五十一条第一項に規定する一般預金等をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされるものを除く。第一号において同じ。)のうち政令で定めるもの(第一号において「要調整一般預金等」という。)、決済用預金(新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する決済用預金をいい、新預金保険法第六十九条の二第二項の規定により決済用預金とみなされる一般預金等を含む。第二号において同じ。)のうち政令で定めるもの(第二号において「要調整決済用預金」という。)及び特定決済債務について各日においてその額を計算することが困難なものとして内閣総理大臣の承認を受けた金融機関が、新預金保険法第五十条の規定により平成十七年四月一日に開始する営業年度からこの法律の施行の日(以下「施行日」という。)から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日の属する営業年度(会社法(平成十七年法律第八十六号)の施行の日以後にあっては、事業年度。以下この条及び次条において同じ。)までの間の営業年度に納付する次の各号に掲げる保険料の額は、保険料計算規定にかかわらず、各金融機関につき、当該各号に定める金額とする。
 一 一般預金等に係る保険料 次に掲げる金額を合算した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、保険料率を乗じて得た金額
  イ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整一般預金等以外の一般預金等の額の合計額を平均した額
  ロ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整一般預金等の額の合計額を平均した額に準ずる額として政令で定めるところにより計算した額
 二 決済用預金に係る保険料 次に掲げる金額を合算した額を十二で除し、これに当該保険料を納付すべき日を含む営業年度の月数を乗じて計算した金額に、新預金保険法第五十一条の二第一項に規定する率を乗じて得た金額
  イ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整決済用預金以外の決済用預金の額の合計額を平均した額
  ロ 当該営業年度の直前の営業年度の各日における要調整決済用預金及び特定決済債務の額の合計額を平均した額に準ずる額として政令で定めるところにより計算した額

第五条 前三条の営業年度の各日は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十五条第一項(長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第十七条、信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第八十九条第一項、協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)第六条第一項及び労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第九十四条第一項において準用する場合を含む。)に規定する休日を含まないものとする。

第六条 新預金保険法第五十四条から第五十四条の三まで及び第六十九条の二の規定は、施行日以後に発生する保険事故(新預金保険法第四十九条第二項に規定する保険事故をいう。以下この条及び次条において同じ。)に係る保険金の計算について適用し、施行日前に発生した保険事故に係る保険金の計算については、なお従前の例による。

第七条 新預金保険法附則第六条の二の三の規定により決済用預金とみなされる特定預金に係る平成十七年三月三十一日までに発生した保険事故に係る保険金の額については、当該特定預金は、平成十七年四月一日以後も決済用預金とみなす。この場合における新預金保険法第五十四条の二第一項の規定の適用については、同項中「元本の額(その額」とあるのは、「元本の額及び利息等の額の合算額(その合算額」とする。

(権限の委任)
第八条 内閣総理大臣は、附則第三条及び第四条の規定による権限を金融庁長官に委任する。
2 金融庁長官は、政令で定めるところにより、前項の規定により委任された権限の一部を財務局長又は財務支局長に委任することができる。

(罰則の適用に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第十条 附則第二条から第七条まで及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に際し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成16年6月2日法律第76号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、破産法(平成十六年法律第七十五号。次条第八項並びに附則第三条第八項、第五条第八項、第十六項及び第二十一項、第八条第三項並びに第十三条において「新破産法」という。)の施行の日から施行する。[後略]

(預金保険法の一部改正に伴う経過措置)
第九条 施行日前に決済債権者(金融機関(第八十八条の規定による改正後の預金保険法(以下この条において「新預金保険法」という。)第二条第一項に規定する金融機関をいう。以下この条において同じ。)に対して決済債務(新預金保険法第六十九条の二第一項に規定する決済債務をいう。以下この条において同じ。)に係る債権を有する他の金融機関(当該他の金融機関から当該決済債務に係る債権を取得した者を含む。)をいう。以下この条において同じ。)につき当該金融機関に対する他の決済債務の負担の原因が生じた場合における決済債権者による相殺及び施行日前に金融機関に対して決済債務を負担する他の金融機関(当該他の金融機関から当該決済債務を引き受けた者を含む。以下この条において同じ。)につき決済債務に係る債権の取得の原因が生じた場合における当該他の金融機関による相殺については、新預金保険法第六十九条の四第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

   附 則 [平成16年6月18日法律第129号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(経過措置)
第二条 改正後の預金保険法(以下「新法」という。)第六十八条の二(新法第六十九条第四項及び第百一条第七項において準用する場合を含む。)又は第百八条の二(新法第百八条の三第八項において準用する場合を含む。)の規定は、この法律の施行の日(次項において「施行日」という。)以後に行われる株式交換等(新法第六十八条の二第一項に規定する株式交換等又は新法第百八条の二第一項に規定する株式交換等をいう。以下この項において同じ。)について適用し、同日前に行われた株式交換等については、なお従前の例による。
2 新法第六十八条の三(新法第六十九条第四項及び第百一条第七項において準用する場合を含む。)又は第百八条の三の規定は、施行日以後に行われる組織再編成(新法第六十八条の三第一項に規定する組織再編成又は新法第百八条の三第一項に規定する組織再編成をいう。以下この項において同じ。)について適用し、同日前に行われた組織再編成については、なお従前の例による。

第三条 この法律の施行の際現に改正前の預金保険法(以下この条において「旧法」という。)第百五条第三項の決定に従い預金保険機構が旧法第二条第九項に規定する株式等の引受け等を行った銀行等(同条第五項第五号に規定する銀行等をいう。以下この条において同じ。)であって、当該銀行等が行った株式交換又は株式移転により当該銀行等の完全親会社(商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百五十二条第一項に規定する完全親会社をいう。)となった銀行持株会社等(旧法第二条第五項第一号又は第三号に掲げる者をいう。)の子会社(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第八項に規定する子会社又は長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第十三条の二第二項に規定する子会社をいう。以下この条において同じ。)であるものに対する新法第百八条の二及び第百八条の三の適用については、この法律の施行の際に新法第百八条の二第一項の認可を受けて株式交換等(同項に規定する株式交換等をいう。)を行ったものとみなす。この場合において、当該銀行等が当該銀行持株会社等と連名で旧法第百五条第二項に規定する経営の健全化のための計画を内閣総理大臣に提出しているときは、当該銀行等(当該銀行持株会社等を含む。)は、この法律の施行の際に新法第百八条の二第三項の規定により同項に規定する経営健全化計画を提出したものとみなす。

(罰則に関する経過措置)
第九条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(その他の経過措置の政令への委任)
第十条 附則第二条、第三条及び前条に定めるもののほか、この法律の施行に際し必要な経過措置は、政令で定める。

   附 則 [平成16年6月18日法律第124号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、新不動産登記法の施行の日から施行する。[後略]

   附 則 [平成16年12月1日法律第147号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

   附 則 [平成16年12月3日法律第154号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。[後略]

   附 則 [平成17年7月26日第87号] [抄]

 この法律は、会社法の施行の日から施行する。[後略]

   附 則 [平成17年11月2日法律第106号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日(以下「施行日」という。)から施行する。[後略]

   附 則 [平成18年6月2日法律第50号] [抄]

(施行期日)
1 この法律は、一般社団・財団法人法の施行の日から施行する。[後略]

   附 則 [平成18年6月15日法律第75号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成十九年四月一日から施行する。

   附 則 [平成18年12月15日法律第109号] [抄]

 この法律は、新信託法の施行の日から施行する。[後略]

   附 則 [平成19年6月1日法律第74号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、平成二十年十月一日から施行する。[後略]

(預金保険法の一部改正に伴う経過措置)
第七十条 株式会社商工組合中央金庫が、預金保険法第五十条第一項の規定により施行日を含む事業年度に納付する保険料については、同項ただし書の規定は、適用しない。

   附 則 [平成20年6月13日法律第65号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。[後略]

   附 則 [平成23年5月20日法律第45号] [抄]

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第五十八条の三の改正規定は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(罰則の適用に関する経過措置)
第六条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第七条 前条に定めるもののほか、この法律の施行に際し必要な経過措置は、政令で定める。

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