小学生の頃、鉄道模型に入れ込んでいた。プラレールみたいなおもちゃではなく、精密なスケールモデルのNゲージ。
Nゲージは、軌間つまりレールとレールの間隔が9mmで縮尺が1/150(日本国内の鉄道の場合。標準軌では1/160。この辺を詳しくすると長くなるので省く)の鉄道模型で、軌間16.5mmのHOゲージと合わせて二大勢力を誇っている国際的な規格なのです。
この鉄道模型は、金属製レールに流れる電気を車輪から車体内のモータに取り込んで走行させたりライト類を点灯させたりすることができるので、精巧なミニチュアとして、乗り物好きな小学生の心を奪わないわけがなかったのです。
ただ、その世界は主として10代から大人のものであって、製品の価格設定はビンボーな子供の手が届きにくいものでした。
車両1両が1000円から2000円。編成に1つ必要なモーター付きの車両は4000円から8000円というもので、身近に見る列車を再現しようものならば1万円の高き壁が見えてくる次第でした。
私は当然、同一系列で揃えられたスマートな列車など用意できるわけもなく、1つ1つ買った機関車電車客車貨車などを混結して「リアリティ無い…」とため息をつきながら、エンドレスに組み上げた線路の上ををぐるぐると走らせていたのです。そして現物で満たされぬ欲求は、鉄道模型雑誌やメーカーのカタログ(昔も今も有料!)を眺めることで昇華されていました。
そしていつの間にかコンピュータを手に入れ、興味は移っていってしまうのです。
もちろん当時仕入れた鉄道に関する知識の多くは残りました。路線や時刻表、列車種別に関しては旅行の際に今も活きています。
さて、前置きはともかく、当時デパートやおもちゃ屋で定価で買っていたその鉄道模型が、通販で2割引とかの値段で買えることにふと気が付きました。
夢中でオンライン店舗を見ていると当時の物欲が…。ではなく、メーカーのカタログが欲しくなりました。
二大完成品メーカーと組み立てキットメーカー一社のカタログ(それぞれ千数百円もするのだ)を注文すると「1つだけ車両買ってみよう…」いう気持ちになり、定価2000円くらいの車両を1つカートに入れました。
国鉄(JR)のキハ40系気動車(きどうしゃ。ディーゼルエンジンを動力とする車両)。全国各地の非電化線で走っていました。
私が初めて実物に触れたのは小学生の頃、京都に旅行したときに、京都駅から山陰本線の花園駅まで乗ったときだと思います。
電車とは違う、ディーゼルエンジンの重い響きと走り出しの鈍重さにカルチャーショックを感じました。
今でも各地で、広島周辺では芸備線や岩徳線で現役です。塗色は変わっていますが。
ちなみに、形式の「キ」は気動車を表します(「モ」は電動車)。
「ハ」は普通車を表します(旧三等車。「ロ」はグリーン車で旧二等車。「イ」は現行形式ではないが旧一等車)。
その後の数字も意味はあるけど、省略。
【キハ40-2000 06.08.21】
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