いきさつ | 1・2日目<東京FT・太平洋上> | 3日目<苫小牧FT−納沙布岬> |
4日目<川湯温泉> | 5日目<サロマ湖徒歩縦断1> | 6日目<サロマ湖徒歩縦断2> |
7日目<稚内・宗谷岬> | 8・9日目<苫小牧FT・東京FT> |
5日目<サロマ湖徒歩縦断1> |
多分に漏れず、早く寝たせいで午前3時半頃に目が覚めた。気温零下5度。 またお腹が減ったので最後のうどんを作ろうとして、エビアンを麺にぶっかけると麺の上でみるみるカチンコチンになってしまった。 一瞬、愕然としたが温めれば問題ないのだ。 さて、今日はサロマ湖突入なのでちょっとだけ対策をする。 セーターを着る。靴下を3枚履く(カイロ入り)。ゴム長を履く。 これだけでいいのか?! 始発の列車で網走まで行き、バスに乗り換える。 しばらく走ると左手に凍っている網走湖、さらに行くと右手に能取湖が見えてくる。 能取湖は中央から西にかけて帯状にかなりの範囲で結氷していなかった。 生まれて初めて見る凍った湖に興奮しつつも、その結氷していない部分に不安を感じた。 午前9時半頃。運転手さんに訊いて栄浦六号バス停で降りる。 北海道の地名表記は不思議で、「東五線」「西三線」とか「六号」とか、これは道路の名前かそれとも町名なのかさっぱり分からないのである。そう言えば京都もそうだなあ。「なんとか通り上ル」とか。 さて、方角が分からなくなったので(^_^;途方に暮れるが、なんとこんな所に一人の通行人の姿を発見。 逃してなるものかと、 「ちょっといいですか?(地図を出して)あのー、こっちの方に行きたいんですけど、どこを目指して歩けばいいですか?」 「あっちへ向かって行くと、ネイチャーセンターがありますから、そちらの方へ向かって行けば。」 「あー、そうですか、ありがとうございます。」 「今は雪で道路が使えないですから大変かも・・。貸しスノーモービルがあるんですけど、ちょっと高いんですよねー。」 「そーうですか・・。いや歩いていきますから大丈夫です。」 「そうですか、じゃ。」 「どうもぉー。」 通行人のさわやか兄ちゃんに別れを告げ、ついにサロマ湖に向かって歩き出したのである! サロマ湖東端に架かる橋を越えると、兄ちゃんの言っていたネイチャーセンターらしき建物があり、道路にはゲートが。湖にはミズスマシのように動き回るスノーモービルが数台。 脇目もふらず進むと、道はオホーツク海の方へ向かっていることに気がついた。 湖畔沿いのルートを目論んでいたので、轍から外れて修正しようと踏み出した瞬間、ズボボッと膝まで雪に埋まってしまった。 「うわーなんじゃこりゃああ!」 ズボズボと歩いてようやく湖畔までたどり着いたときにはすっかりヘトヘトになってしまった。 「雪深いところは危険だ!このままでは3日位かかっちゃうかもしんない。」 岸辺の積雪の少ないところを選んで歩くことにした。 そして、ひたすら歩く歩く歩く。 すると、なぜだか湖口とそこに架かる橋が見えてきたので、岸辺から少し高いところにあると思われる道路に上ろうとするが、積雪と砂と荷物のせいで上れない。 2度目の挑戦。荷物を降ろして引きずり上げようとするが、それ以前に自分の体が登り切れていない。(^_^; 焦る。 もういやんなっちゃって、そのまま荷物を2、30メートルほど引きずるとコンクリートの堤防にたどり着いた。 堤防の上には雪が無く、荷物を置いて偵察に行くことにした。 すると、橋の付近は積雪も少なく、何日か前の足跡も残っているから登れると判断。 なんとか、第二湖口を越えることに成功した。 どうして第二湖口など作る必要があったのか、ということは橋の東側の案内板に記してあった。 |
サロマ湖第2湖口の概要 |
サロマ湖ではホタテガイ、カキ、エビなどが漁獲され、なかでもホタテを 中心とする養殖漁業が盛んに行われております。 しかしサロマ湖は広大な面積の割合には湧別側湖口が狭いためオホーツク 海と湖内との海水交換が少ないため養殖漁場の水質が悪化してきている。 このため北海道では昭和48年度から昭和54年度で20億7千万円をかけ新た に湖口開削(導流水路W=50m L=380m)して海水の交流量を増大するこ とにより水質改善を図り栽培漁業に寄与しております。 |
常呂町 |
第二湖口は、割と速いスピードで湖水が海に流れていて、その周囲は結氷していなかった。 話はそれるが、写真を撮るに当たって割と古めのバカ○ョン(この表現についてはバカでもちょんっと押せば写るぞ、という解釈しか認めません。)カメラを持っていったのだけど、寒さのせいでモーターが変になってしまい、 「うぃーん。」 と巻き上げてくれるはずが、 「うぅいんうぅいんうぅいん。」 と、多少Hな響きを醸し出すようになってしまい、その将来を憂う今日この頃。 とにかく、歩き続ける。 歩き続けると、「ワッカの水」(湧き水があるらしい)に到着した(12:00)。 いくらサロマ湖とは言え天気が良いので気温は2度。 どんどん体から水分が逃げていくのである。既にエビアンも空になってしまったので淡い期待を寄せたが、予想通り凍っているらしく一滴も湧き水は出なかった。 「のどが乾いたよーう!!」 思わず叫びつつ、積もった雪を手ですくってほおばるのであった。 さらに歩く歩く。20kgの荷物を背負って。 歌う。トーコの「Bad luck on love」「Loopな気持ち」 森高千里の「Everybody's Got Something To Hide Except Me And My Monkey」(長いタイトルだな)。 森高の「Everybody's 〜」は、この後湖口を渡りきるまで頭を離れなくなる。 14:30 雪が舞い始め、気温が零下になったので思い切って早めに設営を開始する。 納沙布岬でテントが凍ってしまって、上手く設営できなかったのを考えてである。 ぼっさぼっさの雪の中、設営が完了して一息つくと辺りはシーンとしていて、 「辛い」 「さみしい」 「泣きそう」 「夜は寒いんだろうな」 「まだ10Kmも歩いていないんだろうか、位置が分からない」 「周りに誰もいない」 「ホントに死んじゃうかも」 後悔か、もう引き返すに引き返せない所まで来たせいか、突然情緒が不安定になって号泣する。 寂しがり屋が無茶するとこうなってしまう見本である。 一通り泣き終わった後、ウイスキー(当然ストレート)をあおりつつ、 「明日の朝さえ来れば暖かいバス電車に乗れる・・・。」 ぼそっと独り言を吐き、暮れかける日の向こうへ意識は遠のくのであった。(意味不明)
|
いきさつ | 1・2日目<東京FT・太平洋上> | 3日目<苫小牧FT−納沙布岬> |
4日目<川湯温泉> | 5日目<サロマ湖徒歩縦断1> | 6日目<サロマ湖徒歩縦断2> |
7日目<稚内・宗谷岬> | 8・9日目<苫小牧FT・東京FT> |